概要
2021年4月に放送されたアニメ『スーパーカブ』では主に2つの炎上騒動が発生している。今までは関連タグ記事で取り扱っていたが、サブカル関連の事件・騒動の記事一覧で取り扱う内容があるため、独立化したのが本記事である。
騒動説明
騒動になる前
2020年5月にカクヨムで連載されていた小説『スーパーカブ』のアニメ化が発表された。その時公開されたティザーPVでは小熊が自転車で学校へ向かう時一時停止せず道路へ飛び出すシーンが流れ、それを見た者から「子供が真似をする」という意見が見られた。しかしこの時は作品の知名度がなかったこともあり、さほど騒ぎにはならなかった(ちなみにこのシーン、第一話でそのまま流れている。)。
それから2021年4月の2021年春アニメで放送開始。同じ山梨県を舞台にした『ゆるキャン△』を髣髴とさせる絵タッチに監督のこだわりである「主人公の感情で作品全体の色の濃淡が変わる」演出が好評を得て、次第に視聴者を増やしていった。第四話終了時点での評価は概ね高く、一部では覇権アニメ候補という評価すらあった。しかし第五話の礼子のスーパーカブで富士登山のシーンがこれまでとのギャップが大きい内容で、SNS上では戸惑いを隠せないコメントで溢れかえった。しかしこれが前座であったことは(アニメから見た人は)知る由もなかったのである。
二人乗り騒動
そして第六話「私のカブ」の最後に小熊が礼子を後ろに乗せて湘南海岸を二人乗りのスーパーカブで疾走する姿について放送後騒動が発生した。
「自動二輪免許を取得して1年も経ってない小熊が礼子を後ろに乗せて運転」について、現実であれば道路交通法71条の4第3項・第4項に違反しているが、放送直後に反応はフィクションということでほぼスルーされていた。しかし1週間後、弁護士ドットコムがこれを取り上げた際に応対したKADOKAWAの回答が「フィクションだから」で済ませたことにSAOの原作者である川原礫が反応し「フィクションだからでいいわけではない」と主張。さらに原作者のトネ・コーケンがそのニュースを引用し「道交法や先生の言いつけを守るヒロインは書けない」との発言が開き直りと捉えられて炎上した。この様子を見たハライチの岩井勇気が「現実と二次元がごっちゃになっている」とトネを擁護し、このツイートをスポーツ紙が取り上げたためアニメの枠を超えた大騒動に発展した。
そしてついに2021年6月6日放送のワイドナショーでこの件について取り上げられることに。作品紹介と騒動の経緯が紹介され(その紹介中コメンテーターの松本人志は大笑いしていた)、その後に出演者が議論。「日常生活を描いてると真似したい人が出てくるのでは」(金谷かほり)、「小説ではきちんと説明があるが、アニメで省かれていたかも」(古市憲寿)、「アニメでは省かれていたが、アニメの世界に法律を持ち出すのはどうかと」(岩井勇気)という意見が出たのち(金谷は作品を知らなかった、古市は小説を読んでいる、岩井はアニメも観ているという点を留意)、最後は松本人志が「コロナ疲れのストレスの発散に使われている」「みんなで正論を言い合って持論を述べていない」と述べ、議論を締めている。
カゴ乗せ騒動
二人乗り騒動が終息し、物語がクライマックスに向かっていた中、第十一話「遠い春」で再び騒動が発生する。
その前の話の最後にアレックス・モールトンに乗った恵庭椎が近道をしようと工事用道路を通ったところ沢に転落。家に着いた小熊が椎からの着信に気付いて電話に出たところ、救助を求めるものであった。小熊は以前に椎が工事用道路を通るのを見ていたことから探しに行ったところ転落している椎を発見。椎を救出たが、なぜか救急車を呼ばず、椎の目を覚まそうと小熊がビンタをし、椎を籠に乗せて小熊の家に向かったのである。
このシーンについて小説の部分と一部異なることや、トネ・コーケン自身が第十一話の脚本に関わっていたこともあり批判が殺到。これに対しトネ・コーケンは実際の地図を引用して「救急車を呼ぶより小熊がカブで運んだ方が早かった」などと支離滅裂な回答をしたため、「フィクションじゃなかったのか」など突っ込まれて炎上した。前回から間もない炎上だったため擁護する者はほとんいなかった。
原因
このような炎上が発生した原因であるが、まず小説できちんと説明されていた部分がアニメでは省略や改竄されている点である。最初の2人乗りについて小説では礼子が二人乗りは違反じゃないかときちんと指摘しているがアニメではその重要な部分が省略されていたり、カゴ乗せについても小熊は救急車を呼ぼうとしているが「親に心配かけたくないから」という椎の希望で家に運ぶことになったが、アニメでは小熊の判断で救急車を呼ばなかったことになっている。もしこの部分がきちんと描写されていればここまで炎上はなかったと推測される。
また、小説ではアウトローな部分が結構あり、例えば小熊の母親が別の男と一緒に蒸発したり、ナンパしてきた男に小熊が蹴りを入れたり、ある入院患者を階段から突き飛ばしたり、カブの補償を求めたところ保険屋の態度に掴みかかるなど、ヤンチャなことをしている別のバイク作品以上の描写が多々ある。しかしアニメでは監督のこだわりからそういった描写を消してしまい、さらに『ゆるキャン△』をイメージしたほのぼの系にしてしまった結果、アニメから見た者が勘違いをしてしまった部分がある(実際小説から知っている人は古市やハライチ岩井の擁護に沿った反応をしている)。
なにより炎上が拡大したのはKADOKAWAが適当な回答のうえ騒動の対応をトネ・コーケンに投げてしまい、投げられたトネ・コーケンがまともに対応できなかったことである。原作者のトネ・コーケンはTwitter(現:X)で以前からアウトローな部分をちらつかせたり、小熊役の声優である夜道雪に絡んだり、あげく小説には書かれていない「実はこういう設定だった」という追加設定を矢継ぎ早にツィート(※1)するなど内外でお騒がせなことをやっている。
このような作者に投げたのも問題だが、そもそもクレーム対応はコンプライアンス遵守やカスタマーハラスメント対策など企業や団体全体が行なうべき部分が強いことから、アニメ制作サイドまたは掲載元であるKADOKAWAが責任を持って対応すべきだったという意見もある。また、ハナから「フィクションである」というスタンスを取るのであればKADOKAWA、トネの双方がこうした指摘の対応をせず、黙殺したほうがよかったのではという見解もある(実際、少数の人間によるクレームに起因して発生する放火型の炎上はそうしたクレームを無視して相手が何も言わなくなるのを待つのが最適解とされている)。
このように様々な解釈の相違や対応の問題があり、炎上が拡大してしまったと推測される。
影響
作品そのものに関する影響
二人乗り騒動を受けてか翌第七話の本編では、コーヒーに隠し味のブランデーを注ぐシーンで飲酒検問の危険性を表す字幕が流れたり、その後も原作者による介入が行われるようになったが、前者は過剰ともいえる注意喚起という意見もあり、後者にいたってはカゴ乗せ騒動の炎上拡大にもなっている。
また、第四話までの覇権アニメの評価は一転2021年最大の炎上アニメという評価となってしまい、同じカクヨム産で同期アニメの作品も内容で騒動が起きたことから、カクヨムそのもののイメージが悪化する結果となってしまった。
なお、アニメ放送終了後1年足らずで小説の文庫版連載が終了し、「アニメの炎上が原因では」という声もあったが、その後もトネ・コーケンによるカクヨムでの掲載は続いており、また漫画のほうもコミックNewtypeで連載が行われている。
百科事典に関する影響
この炎上騒動に関してそれぞれのインターネット百科事典でトラブルが発生している。
ウィキペディアの当該記事で某ベテラン執筆者Aが炎上騒動を機に小説版、漫画版、アニメ版の内容を引用して加筆を行なったが、次第に裏設定や当初設定を否定する内容が多数あった作者のTwitterの内容まで引用を始め、作中には登場しない内容で埋め尽くされる状況になった(※2)。これに対し別のベテラン執筆者Bが整理を行なおうとしたところAが激怒してBを挑発し、Bも応戦してノートページで罵り合いに発展した。結局他のユーザーが仲裁に入り、Twitterの内容については削除する形で決着した。そもそもAは5ちゃんねるや個人ブログすら正当な出典物であると主張しており、本来であればこのような編集方針は歓迎されない(出典として認められない例を参照)が、炎上騒動でそのような者を呼び寄せてしまい、結果記事内容の崩壊とユーザー間の対立を招いたとされている。
ニコニコ大百科の当該記事も記事名が原因で口論に発展し、さらに原作者や声優に対しての中傷コメントで埋め尽くされた。これに対し運営会社のドワンゴは違反コメントに対して一斉BANを実施したが、その後も中傷コメントが止まらない状況となっている。なお、ニコニコ大百科の記事内で炎上騒動については一切触れていない。
ピクシブ百科事典は上記2事典と比較すると平穏であるが、記事名の解釈違いからタグ関連のトラブルが発生した(ルール追加で対応済み)。
脚注
※1:中にはカクヨムと文庫本を否定する設定を改めて発表したため読者が混乱に陥っている。
※2:「この設定はカクヨムではこうであったが文庫本と漫画ではこうであり、アニメではこう描かれたが、実は作者のツイートではこういう裏設定であった。また別の設定では(以下略)」という有り様で、悪く言うと読む側の立場を考えていない最悪のパターンである。この場合漫画やアニメは別記事化するのが最適だがAはそれすら否定している。
関連項目
カブぴょい:二人乗り騒動の関連タグ
こぐしい:カゴ乗せ騒動の関連タグ