概要
1984年に放送された『スーパー戦隊シリーズ』第8作『超電子バイオマン』において、ヒロインの一人である小泉ミカ/イエローフォーを演じた女優矢島由紀が第7話以降のアフレコを前に所属事務所のJACを退団。そのまま消息を絶った事件である。
波及
- この影響でミカは第10話「さよならイエロー」を以って終始イエローフォーのスーツ姿のまま戦死・埋葬されるという形で退場。
- 終わっていない第7~10話までのアフレコ部分は声優の田中真弓が担当し(当時のスーパー戦隊はオールアフレコであり、曰く「日本一声にうるさいマネージャー」の采配で選ばれたんだとか)、翌第11話「新戦士ジュン登場」から田中澄子が演じる新ヒロイン・矢吹ジュンが登場することとなった。
- ポスト志穂美悦子と呼ばれ、大きく期待されていた矢島の降板&JAC退団は東映&JAC両陣にとっても大きな痛手となり、JAC側はお詫びとして当時から既に人気だった真田広之と黒崎輝をファンサービスとしてゲスト出演させた(真田は13話、黒崎は35・36話に出演)。
経緯
- 主人公・郷史朗/レッドワン役の阪本良介が彼女が失踪する前日に事務所関係のいざこざから「私明日撮影サボるから」と言われたという話があり、阪本氏はこれを冗談と思って「いいよ。じゃあサボっちゃえば」と軽く返したところ、翌日矢島は本当に姿を現すことはなかったという事態が2010年に桂木ひかる/ピンクファイブ役の牧野美千子から語られている。
- 失踪理由は現在でもわかっておらず、「マネージャーと駆け落ちした」「同性愛関係の恋人と駆け落ちした」「監督とケンカして追い出された」等の様々な説が取り沙汰されているがいずれも面白半分で囁かれている証言とも呼べない憶測に過ぎず、これを裏付ける物証と言えるものは一切ない。
その後(?)
共演者談
- 消息は現在でも不明だが共演者の太田直人(高杉真吾/グリーンツー役)と牧野美千子の話によると、「2003年にオナベとなって千葉で働いているのを見かけた」との情報があったらしい。さらに2013年には「千葉県で男装ホステスとして働いている」という情報もあった。
プロデューサー談
- プロデューサーの鈴木武幸は自身の著書にてこの一連の騒動について触れており、彼女の失踪で現場が混乱したことから「降板するのはいいが一言で良いから謝罪して欲しかった」と述べている。
- 鈴木氏が同著で語ったところによると、失踪してしばらくは氏に話が伝わっておらず、事実を知ったのは鈴木氏の実父が亡くなり、自宅で営まれた葬儀に参列したスタッフが何やら言いたげな表情だったのを見て家の外に連れ出して話を聞いたところ、彼女が失踪したという事実を明かされたという。
- スタッフに「どうして早く言わないんだ」と叱責しつつも完成済みのフィルムをどうするかという心配に苛まれた鈴木氏は撮影済みのフィルム映像と脚本をチェックした結果、10話はミカをイエローフォーの姿のみの登場とし、同話で「戦死」する形に脚本を修正したという。
- 鈴木氏が同著で語ったところによると、失踪してしばらくは氏に話が伝わっておらず、事実を知ったのは鈴木氏の実父が亡くなり、自宅で営まれた葬儀に参列したスタッフが何やら言いたげな表情だったのを見て家の外に連れ出して話を聞いたところ、彼女が失踪したという事実を明かされたという。
余談
- 作中では反バイオ粒子によってバイオエネルギーが失われたという設定だが、にも拘らずイエローフォーの変身が解けていなかったりバイオロボがどうやって復活したのか説明がないなど設定と脚本、実際の描写が食い違うという突貫工事のような内容になっており、現場がいかに混乱したかが窺える。
- 前者に関してはそもそも役者がいないのだから当然の話である。
- スーパー戦隊シリーズの公式サイト「スーパー戦隊ネット」の中のコンテンツ「スーパー戦隊百科」のバイオマンのページで紹介されているのは初代イエローフォーである。そのため、不本意な退場劇ながら、公式での存在は特に抹消されてはいない。
- 同作にお詫びとして登場した黒崎輝はバイオマンの翌年放送された『巨獣特捜ジャスピオン』に主演することとなった。