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概要

我が国最高峰で日本百名山の一つでもある富士山はその山容の美しさと活火山として信仰の対象とされてきたこともあり、古文書で確認する限り少なくとも1000年以上も前から登頂目的の登山が行われている。
現在でもその知名度や登山口までのアクセスの良さ、山小屋や麓の日帰り温泉施設等の充実度などから日本の高山の中でも特に人気の高い山である。観光会社による多数の登山ツアーが組まれており、近年世界文化遺産に登録された事もあって外国人客も多い。最高地点である剣ヶ峰への到達だけでなく、火口の縁を一周する「お鉢巡り」、山頂や山腹から日の出を眺める「ご来光」、山頂の神社で開運グッズの購入目的の人も多い。

富士山には主に4つの登山口とそこから山頂に至る登山道があり、それぞれ標高1450〜2400mの間の5合目と呼ばれる山腹上にある駐車場までは自動車を利用するのが一般的である。

  • 静岡県側
  富士宮ルート・須走ルート・御殿場ルート
  • 山梨県側
  吉田ルート
各ルートは、距離、平均所要時間、登山口と山頂の標高差、山小屋の数と評判、景色やご来光の方角、
診療所や山マイカー規制の有無、混雑度などが千差万別であり、詳細は経験者や専門サイト、山岳地図等に知識や情報を求めて頂きたい。

一般客向け登山は基本的に毎年7月初旬の開山から9月前半の閉山までであり、その間御殿場口以外はマイカー規制でバスやタクシー利用となる。
それ以外の季節については、登山道自体は完全には閉鎖されず立ち入りの罰則規定もないため物理的及び法律的には可能である。しかし富士山は4000mにも近い高山であり、山脈に属しない独立峰でもある事から周囲に風除けになるような山々がなく、冬季の気候は非常に厳しく猛吹雪や熾烈な強風に襲われることもざらである。または山体自体が綺麗な円錐形かつ広大であるので、その斜面の雪面から滑落するとストッパーやクッションになるような障害物がなく、最悪1000m近くも高速落下し生還は絶望的となる。
熟練の登山家でさえ「ヒマラヤ級」の難易度と評し、実際問題毎年のように多数の死者を出す危険な場所である事から、登山経験の浅い人は言語道断である。

一般の夏登山シーズンにおいても、富士登山には登山中上級者としての経験や知識が求められる。
富士山は3000mを越える高山であり、標高が上がると空気も薄く気温も低くなり高山病の危険も増す。また天候も1年を通して急変しやすい環境であり、登山道も岩の段や砂利道が長く続きかなりの体力と落石への警戒が必要な山でもある。

知名度の高さから不十分な日程と装備で訪れて負傷する人が絶えない山でもあり、Tシャツ・サンダルなどふさわしくない装備で来る者もメディアで取り上げられて問題になっている。
山梨側の吉田ルートの5、7、8合目及び静岡側の富士宮ルート8合目に近辺の医科大学や公営総合病院が運営する診療所が設けてあるものの、設備の限界上応急手当くらいしか出来ないため、怪我や体調不良の際は自力で動けるうちに下山する他ない。なお自力下山が困難な場合は、山小屋や登山道の管理者が利用するブルドーザーに乗せてもらえる可能性はある。また安全上の問題で救急ヘリは7合目より上で急患を乗せる事は不可能である。
また富士山では夏期シーズン中に山頂までに至る駅伝とマラソン大会がそれぞれ御殿場口と吉田口で行われており、近年の流行もあってかトレイルランニングとして登山道を走って登り下りする者が増えて来ている。確かに各自治体がそのような大会を開いており、富士山でのトレラン行為自体は法令で禁止されてはいない。だが冷静に考えれば、富士山の様な環境下での走行行為は重度の高山病や心臓病などの発症や、転倒、滑落、他者との接触、落石を起こしやすくなるのは当然であり、登山道の路面やロープ外走行による高山植物へのダメージも危惧されている。複雑な問題ではあるが、大会中以外のトレラン行為は一切自粛して頂きたいところである。

富士山の山小屋についても多くの注意事項がある。富士山の山小屋は全て友人かつ宿泊客以外も利用できる有料トイレがあり、無人の避難小屋やテント泊の経験者にとっては非常にありがたい環境である。ところが、大広間やカイコ棚形式の寝台での雑魚寝や食事メニューの少なさに不満を持つ利用客も多く、無下に山小屋を批判したり宿泊せずに弾丸登山を強行する登山者も多い。確かに実際問題一部の従業員の投げやりな言動が指摘される事も多くあったが、山小屋をまるで通常のホテルや旅館だと思って過剰なサービスを求める客が多いのも事実である。弾丸登山も重度の高山病の発症や疲労による転倒、滑落、落石被害につながる事が多く、各自治体が公式に自粛を呼びかけるほどの危険行為であり控えるべきである。はっきりといえば、このような富士山の環境を理解・受け入れる事ができない者は訪れるべきではないであろう。

アウトドア用品ストアでは山開きの時期に合わせて登山装備のセール販売をする事が多く、富士登山の講習会を行っている大手チェーン店もある。初心者はいくつかの1000m前後の低中山で十分体力作りをし、可能ならば2000m以上の登頂を経験した上で、きちんと店や経験者に相談しながら装備を揃え、登山専用靴を履き慣らして行く事をおすすめする。

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