概要
ホンダが郵政省(現:総務省及び日本郵政グループ)向けに製造していた原付バイクの通称で、スーパーカブの派生車種の一つ。
正式名は排気量別に50ccが「MD50」、70ccが「MD70」、90ccが「MD90」であり、カブをベースにしながらカブを名乗らない。
「MD」はMail Deliveryの略。
登場したのは1972年。
郵政省との共同開発で、郵便配達に特化して下記の特徴を持つ。
- 大型のフロントキャリア:郵便バッグを搭載するため。
- 大型のリアキャリア:郵便物を収容する大型の荷箱を搭載するため。
- 大容量の燃料タンク:航行距離を稼ぐため。
- 14インチの小径ホイール:小回りが利くようにするため。
- 専用の車体色:郵政レッドと通称される。
その他、ライトやハンドルなど細かい点も通常のカブから変更されている。
2008年に最後まで残ったMD90が生産終了。
一般的に郵政カブと呼ぶ場合はこの時までのモデルを指す。
後継は翌2009年に登場したスーパーカブ50MD/110MD。
こちらは市販仕様のスーパーカブ110PROがベースとなっており、同車が元々ビジネスでの使用に特化した設計のため、上記の郵政カブほど大きな変更は無い。
余談
郵政カブは一般販売されなかったが、かつては車両更新の際に中古車の払い下げが行われており、運が良ければ第三者経由で購入が可能であった。
その際は郵便マークの消去及び車体色の変更が義務付けられており、別の色で雑にペイントされている場合が多かった。
ただし郵政民営化以降は、企業コンプライアンスが厳しくなった為なのか、現在は払い下げは一切行われていない。
またツーリングライダーからは郵政仕様の荷箱を欲しがられることが多いが、残念ながらこちらも一般販売はされていない。
関連項目
ジャイロ ギア:郵政仕様が存在し、こちらを使用している郵便局もある。
礼子(スーパーカブ):初期の愛車がMD90。