概要
週刊少年ジャンプの人気漫画「黒子のバスケ」の作者:藤巻忠俊や作品の関係各所に対して脅迫状が送りつけられ、イベントやグッズ展開に影響を与えるなど大きな騒ぎとなった。その後、2013年12月15日に犯人が逮捕され、事件は終焉を迎えた。
事件の流れ
事件発生
2012年10月12日、作者の藤巻忠俊氏の母校である上智大学東京キャンパスに、致死量の硫化水素を発生させる液体の入った瓶が置かれているのが発見され(直前に2ちゃんねるにおいて「喪服の死神」なる人物が犯行を示唆する文章を書き込んでおり、事実上の犯行声明だとされる)、これが1年以上にわたって続く脅迫事件の幕開けとなった。
関連イベントやグッズ展開への影響
それからほどなくして、アニメを放送していた毎日放送、ラジオ番組を放送していた文化放送、「黒子のバスケ」関連イベントを実施する予定だった施設、さらには作者の母校である高校にまで脅迫状が送りつけられ、遂には関連イベントの開催が中止へと追い込まれるに至った。同年の年末に開催されたコミックマーケット83でも「黒子のバスケ」関連のグッズ展開が中止され、ファンの間では不安が広がった。
翌年2013年の4月に、「黒子のバスケ」関連イベントを開催する予定だったイベント会場にまたしても脅迫状が送り付けられ、その中には「イベントを中止しなければ多数の死傷者が出ることになる」という物騒な文言が書かれていた。そのため、イベントはまたしても中止に追い込まれることとなった。
それからしばらくの間目立った動きはなかったが、その半年後の10月に、報道機関へ「『黒子のバスケ』関連の菓子に毒を入れて置いた」という旨の声明文が届いた。これを受け、一部のコンビニは「黒子のバスケ」関連の菓子類を撤去し、一番くじの取り扱いを取りやめた。
さらに、それとほぼ同時にTSUTAYAを経営するカルチュア・コンビニエンス・クラブにも「11月3日までに黒子のバスケの関連商品を撤去しなければ客に危害を加える」という内容の脅迫状が届く。これを受け、TSUTAYAは一時的に黒子のバスケ関連商品を撤去することとなった。
犯人逮捕、事件の終焉
警察は、防犯カメラに映っていた犯人と思われる人物の背負っていたリュックサックから、容疑者を特定。2013年12月15日に、大阪府に住む36歳の元派遣社員の男を威力業務妨害の疑いで逮捕した。男は大阪から高速バスで上京し、正にポストに脅迫状を入れようとしているところだった。警察の職務質問に対し、男は「ごめんなさい。負けました。」と述べたという。
その後の調べで、容疑者はかつて漫画家を志して専門学校に通っていたものの挫折し、漫画家として成功していた藤巻氏を妬んで犯行に及んだことを供述した。
その後
13日に東京地裁で初公判が開かれた。
罪状認否で起訴内容を認めた後、約15分間に渡って意見を陳述。
「反省はない。謝罪もしない」、「どんな判決でも控訴しない。服役を終えたら自殺する」などと述べている。
被告人に2014年8月21日、懲役4年6カ月(求刑・同)という判決が出た。
余談
犯人の男は刑の確定後、自書を獄中出版。その中で自身の過去を告白している。
書物によると子供時代から父親から視たいと言うと殴られるほどアニメや漫画を楽しむ事を親から許されない、同性愛者だと気づいて母親に告白すると人格を否定される等、教育の範疇を超えた仕打ちを受けていた。また男は、両親が『進学校に通う息子』である事を自慢するために男に進学させたとも語っている。また学校でもうまくいかず、教師にいじめの相談をしても何も対応してもらえず、孤立してしまったとも語っている。