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放流の編集履歴

2024-02-12 18:20:56 バージョン

放流

ほうりゅう

魚類などの水生生物を逃がす事。また、派生したものとしてインターネット上で絵やシリアルコード、電子データなどを不特定多数に向け公開、配布する事。

概要

 放流とは魚類などの水生生物河川などに逃がすことである。陸生生物の場合には放流ではなく、対象に応じて放獣や放鳥、放虫などが用いられる。全て纏めた場合は放生とも。

 一般に善行とされがちだが、近年では生物多様性などに深刻な悪影響をもたらす可能性が高い事から多くの場合には推奨されず、善意の放流であっても取り返しの付かない悪行となりうる(後述)。


 SNS上などでは、電子の海や市場に流す意味合いから、イラスト等の作品や不要になったシリアルコード、チケット、電子データ等を不特定多数へ公開、譲渡する行為に対しても使われる。


放流の悪影響

 放流は「なんか手っ取り早く環境に良いっぽい事をしている雰囲気」を醸し出せるため安直に多用されている行為であるが、実態としてはこれらの安直な放流行為によって環境へ不可逆的な悪影響を与えている例が多く、素人が行うべきではない。


 放流による悪影響としては、外来種や外来個体群の侵入による生物多様性や地域性の喪失などが挙げられる。

 ブラックバスなどの放流が悪影響を与えているのはもはや常識であるが、近年問題となっているのはむしろ、日本に元から居た在来種国内外来種の放流である。

 「日本に元から居た種類なら良いんじゃね?」と思われるかも知れないが、ダメである。

 詳しくは素人が書いたピクシブ百科事典のこんな記事より、日本魚類学会が出している「放流ガイドライン,2005」を読んで貰ったほうが良いのだが、

ようは寄生虫感染症を持ち込んだり、遺伝的に偏った個体ばかりが殖え環境への適応力が下がったり、同じ種類であっても遺伝的に異なり各地域に適応していた個体群が交雑で滅びたりと、目には見えないが種を絶滅させかねないほどの悪影響をもたらす事があり、ある意味では目に見えるブラックバスなどよりも気付き難く対処も難しい厄介な問題を抱えているため、極めて慎重に実施すべき行為なのである。


 放流による悪影響を指摘した研究としては、サケの放流事業がサケやサケ以外の生物に対して負の影響を与えているとした北海道大学他の研究や、放流サケが残す子孫の数は野生のサケの3分の1程度であるしたアイルランドでの研究などがある。

 そもそも生息環境の悪化などの要因で減った場合には、生息環境の状況を改善しない限りいくら撒いても死ぬし、生息環境を改善したら放流しなくても勝手に殖える事が多い。


悪影響の実例

サケマス類

 イワナアマゴなどの日本在来のサケマス類は、複数の亜種や河川ごとに遺伝的に異なる個体群が分化しており高い地域性を有している事が知られているが、内水面漁業や釣魚の対象として人気が高く、漁協や釣人により盛んに養殖個体の放流が続けられた結果、殆どの河川で養殖個体との交雑が進み地域性を失いつつある。

 例えば、琵琶湖西部の河川ではナガレモンイワナと呼ばれる特徴的な模様を持つイワナが知られていたり、紀伊半島にはキリクチと呼ばれる顔が特徴的なイワナが居るが、どちらも漁協や釣人が持ち込んだ養殖魚との交雑が進み、ごく狭い範囲の支流に僅かに残るのみで絶滅が強く危惧されている。

 またイトウも河川ごとに大きな遺伝的差違がある事が判明しているが、釣り人や市民団体により別河川で捕まえた個体が盛んに放流されており個体群の消滅が危惧されている。


アユ

 アユも漁協や釣りの対象種として人気の魚種であり盛んに放流されているが、湖産アユと呼ばれる琵琶湖で採捕された稚魚が用いられる事が多かった。

 湖産アユは遺伝的な差違による問題だけでなく、冷水病と呼ばれる感染症を保菌しており、放流された河川のアユやサケマス類が冷水病に感染し死亡する例が続出した。

 さらに、稚魚に混じったハスやブラックバスなどの肉食魚や、オイカワなどの遺伝的な地域性が大きい魚種が湖産アユの放流とともに分布を広げ、外来種問題や遺伝的多様性の喪失を招いた。


ドジョウ

 ドジョウは良く知られた日本在来の魚であるが、食用や釣り餌としては良く似た中国産のカラドジョウと呼ばれるものが多く出回っており、これらが逸出や放流によって拡がり、交雑によって在来のドジョウは多くの地域で絶滅しつつある。

 現在では問題が認識され行われていないものの、かつては放鳥したトキのエサとして外来のドジョウを水田などに放流した例があるとされ、冒頭で述べた「なんか手っ取り早く環境に良いっぽい事をしている雰囲気」で悪影響を与えた例の一つである。


ゲンジボタル

 「なんか手っ取り早く環境に良いっぽい事をしている雰囲気」を出すために放流されがちな種の代表格であり、発光間隔が異なるなどの生息地ごとに地域差があるにも関わらず、餌のカワニナとともに乱放流され地域固有の個体群に影響を与えている。ニュースなどでも善行として報道されやすいが、近年では一般にも放流の悪影響も認知されつつあるため、記事のコメント欄やリプがプチ炎上する事も多い。


インターネッツへ放流の悪影響

 一度インターネット上に放流されたものを完全に削除する事は非常に難しいため、無断転載AI養分お前黒歴史といった、望まない形で使われ続ける可能性がある。また、二次創作作品や他人の著作物、シリアルコードなどを放流する事は、法律や規約違反となる事もあるため、放流行為には慎重さが求められる。

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