概要
外来種は外国から連れてこられた動植物だけだと思っている人も多いが、実際は国内間でも人間の手によって放たれた、または随伴して移動した生物は日本の在来種でも外来種とされ、これを国内外来種(国内移入種とも)と呼ぶ。
「えっ?日本の在来種だしいいんじゃないの?」と思うかもしれないが、国内のどこにでも同じ生物が分布している訳ではなく(特に日本は限られた地域限定の固有種が多数存在する)、放った生物がそこに元々生息しているとも限らない。
そして、放とうとした場所に同種の生物が生息していた場合でも、絶対に放っては行けない。
同じ種類でも地域によって遺伝子は微妙に異なり、さらに生態や形態も異なることもあり(地域個体群・亜種)、その地域の環境に適した独自の進化を遂げている。
ここに他の地域の同種が放たれると、その地域の同種と交雑してしまい、地域個体群の遺伝子が攪乱されてしまう。
その影響により、今まで対応できていた病気や環境変化、天敵などに対応できなくなり、その地域の個体群が絶滅してしまう可能性もある。
また、地域独自の遺伝子が失われると、新たな種への進化の可能性も失われてしまう。
よくある実例
- 漁協などが他の地域の魚介類を放流する。
- ホタルが見たいor観光に利用したいので、生息していない場所に買ってきた別の地域のホタル+餌のカワニナを逃がす。
- 荷物や植物などに付いて運ばれる
- 旅行先で捕まえた虫や魚などを家の近くに逃がす
- 鉄道や車の中にいたどこから来たか分からない虫を善意で外に逃がす
- 自分の好きな生き物を家の近くで見たい・捕まえたいなどという身勝手な気持ちから、他の地域で捕獲、または購入した生物を放す(蝶やタナゴ類、植物などに多い)
- 飼育・栽培していたものが逃げ出す
主な国内外来種
哺乳類
など
鳥類
など
爬虫類
- オキナワキノボリトカゲ(静岡県浜松市・九州)
- ニホントカゲ(八丈島)
- ミナミヤモリ(神奈川・静岡・八丈島・屋久島)
- オガサワラヤモリ(大東諸島以外)
- ニホンイシガメ(沖縄など日本各地)
- ミナミイシガメ(近畿地方)
- ヤエヤマセマルハコガメ(沖縄本島)
- スッポン(沖縄など日本各地)
- サキシマハブ(沖縄本島)
- ヒバカリ(伊豆諸島)
- アオダイショウ(八丈島)
など
両生類
- ニホンアマガエル(八丈島・日本各地)
- モリアオガエル(伊豆大島・神奈川県)
- アマミアオガエル(八丈島)
- カジカガエル(京都府井手町)
- ツチガエル(北海道)
- ヌマガエル(関東地方)
- サキシマヌマガエル(与那国島・大東諸島)
- ニホンアカガエル(伊豆諸島)
- トノサマガエル(北海道)
- トウキョウダルマガエル(北海道)
- ニホンヒキガエル(関東地方)
- アズマヒキガエル(北海道・伊豆諸島)
- ミヤコヒキガエル(大東諸島)
- アカハライモリ(八丈島)
- オオサンショウウオ(東海・関東・北陸など)
など
魚類
- スナヤツメ南方種(福島県)
- ニホンウナギ(琵琶湖など日本各地)
- ヘラブナなどのフナ類(日本各地)
- 日本産タナゴ亜科魚類全種(日本各地)
- オイカワ(日本各地)
- ハス(魚)(日本各地)
- カワムツ(関東・宮城県など)
- ヌマムツ(東日本など)
- ワタカ(関東・北陸・山陽・山口・九州)
- カマツカ(東日本・青森県など)
- ツチフキ(琵琶湖・関東など)
- ゼゼラ(日本各地)
- ニゴイ(静岡県など)
- ズナガニゴイ(静岡県)
- スゴモロコ(日本各地)
- コウライモロコ(四国・九州)
- イトモロコ(静岡・神奈川県)
- タモロコ(東北・九州)
- ホンモロコ(日本各地)
- モツゴ(東日本など日本各地)
- シナイモツゴ(北海道)
- ムギツク(東京都や群馬県など日本各地)
- ビワヒガイ(日本各地)
- カワヒガイ
- ウグイ(大阪府・屋久島など日本各地)
- マルタ(魚)(東京湾・多摩川)
- タカハヤ(東日本など)
- アブラハヤ(北海道など)
- ドジョウ在来系統(北海道・南西諸島など)
- シノビドジョウ(西表島)
- ヒガシシマドジョウ(静岡県の一部)
- オオガタスジシマドジョウ(東海・関東など)
- チュウガタスジシマドジョウ(東海・北海道など)
- イシドジョウ(福岡県の一部)
- フクドジョウ(東北地方・神奈川県)
- ホトケドジョウ
- ナマズ(東日本など日本各地)
- ギギ(魚)(東北・北陸・東海・四国・九州など)
- アカザ(東日本や岩手県など日本各地)
- イワナ(日本各地)
- ヤマメ(日本各地)
- アマゴ(日本各地)
- サケ(日本各地)
- マスノスケ
- ヒメマス(日本各地)
- クニマス(田沢湖)
- アユ/コアユ(日本各地の河川)
- リュウキュウアユ(沖縄島)
- ワカサギ(日本各地の湖など)
- オヤニラミ(日本各地)
- ウツセミカジカ/カジカ小卵型(石川県・新潟県など)
- ドンコ(関東地方?)
- ビワヨシノボリ(日本各地)
- シマヒレヨシノボリ(岐阜県・静岡県・愛知県・三重県など)
- オウミヨシノボリ(日本各地)
- カワヨシノボリ(関東地方)
- ウキゴリ(諏訪湖など)
- ヌマチチブ(琵琶湖や奥多摩湖、富士五湖、芦ノ湖などの湖)
- ミナミメダカ(日本各地)
- キタノメダカ
- クルメサヨリ(琵琶湖?)
- ハリヨ(三重県・大阪府・兵庫県など)
- 太平洋系陸封型イトヨ(鬼怒川水系・栃木県・新潟県・滋賀県など)
- トミヨ属淡水型
- クロダイ
- トラフグ(東京湾など)
- ヒラメ
など
昆虫
- リュウキュウベニイトトンボ(関東地方)
- アカハネオンブバッタ(近畿地方・四国)
- ヤブキリ
- スズムシ(日本各地)
- カマドコオロギ(日本本土)
- ヤマトゴキブリ(北海道)
- サツマゴキブリ(関東・東海など)
- オオカマキリ(北海道)
- クマゼミ(関東など日本各地)
- リュウキュウアブラゼミ(九州本土)
- クロイワツクツク(千葉県)
- アシビロヘリカメムシ(本州)
- ヒラタトガリカメムシ(南西諸島)
- タガメ(日本各地)
- ニホンミツバチ
- ケブカアメイロアリ(本州)
- アギトアリ(本州)
- ゲンゴロウ(日本各地)
- カブトムシ(北海道や沖縄など日本各地)
- クワガタ各種(日本各地)
- シロテンハナムグリ
- リュウキュウツヤハナムグリ(関東地方)
- アオドウガネ(関東)
- ドウガネブイブイ(沖縄)
- クワガタムシ類(日本各地)
- ゲンジボタル(日本各地)
- ヘイケボタル(日本各地)
- ヒメボタル(日本各地)
- ヤエヤママドボタル(沖縄本島)
- ナミテントウ(沖縄本島・石垣島)
- ツシママダラテントウ(大阪府など)
- ヨツモンカメノコハムシ(日本本土)
- タテスジヒメジンガサハムシ(日本本土)
- タケトゲハムシ(本州)
- オオシマゴマダラカミキリ(先島諸島)
- ツシマサビカミキリ(日本本土)
- マツノマダラカミキリ(青森県)
- ホシベニカミキリ(新潟県)
- ウスグロトラカミキリ(本州)
- ランミモグリバエ
- ナミアゲハ(日本各地)
- ジャコウアゲハ(兵庫県姫路市など)
- ギフチョウ(日本各地)
- ウスバシロチョウ
- クモマツマキチョウ
- アオタテハモドキ(関東)
- イシガケチョウ
- オオムラサキ(日本各地)
- アカボシゴマダラ奄美亜種(種子島?)
- ツマグロヒョウモン(関東・北陸など)
- ホシミスジ瀬戸内亜種(関東地方)
- フタオチョウ(奄美大島)
- ミドリシジミ(神奈川など)
- ウラゴマダラシジミ
- オオミズアオ
- オオスカシバ
など
甲殻類
など
その他の節足動物
など
軟体動物(頭足類・貝)
- マダコ(日本各地)
- カワニナ類(日本各地)
- キバウミニナ(沖縄本島南部・石垣島)
- ウスイロオカチグサ(日本本土)
- コハクオナジマイマイ(関東・近畿)
- ミスジマイマイ(新潟県)
- アズキガイ(関東地方)
- アズマニシキ
- キヌマトイガイ
- アサリ(日本各地)
- シジミ類(日本各地)
- アコヤガイ
- マガキ (日本各地)
など
菌類
など
その他の生物
- カムリザリガニミミズ(栃木県)
- エキノコックス(愛知県)
など
日本に在来個体群が分布するが、それとは別に国外の個体群が日本に侵入している種
- アカボシゴマダラ中国亜種(国内には奄美亜種が分布するが、放蝶ゲリラにより、関東地方に中国亜種が移入)
- ヒメフタオチョウ(迷蝶として石垣島で確認された事があるが、それとは別に日本本土各地で中国から輸入された榊に付いた蛹が羽化したものが確認されている)
- クロスズメバチ(沖縄に中国大陸の原名亜種と思われる個体群が移入)
- チャバネゴキブリ(アフリカ原産とされているが、2023年に古墳時代の遺跡から発掘され、在来個体群が存在していた可能性がある)
- ヤマトゴイ/コイ(日本にはノゴイが分布)
- タイリクバラタナゴ(国内には別亜種ニッポンバラタナゴが分布)
- モツゴ(中国産の個体群が侵入)
- ツチフキ(中国産の個体群が侵入)
- ドジョウ(中国・台湾・韓国・ロシアなどの個体群が侵入)
- タイワンキンギョ(沖縄の個体群は在来・外来が混在するとされている)
- サキグロタマツメタ(中国産の個体群が侵入)
- ボタンウキクサ(琉球列島の個体群は在来種の可能性あり)
- ホザキキカシグサ(日本では九州と沖縄だけに分布するが、国外産の個体群が愛知県などに移入)
など