概要
硬骨魚綱・コイ目・コイ科・コイ亜科・フナ属に属する魚の総称。ユーラシア大陸の湖・沼・河川に広く分布。漢字表記は『鮒』。食用魚として重要な種もある。
全長約15~40cm。もっと大きくなる種もある。
姿は鯉に似るが口ひげを欠き、体高がやや大きく側扁する。
体色は銀白色で、背は暗褐色を帯びる。
「釣りは鮒に始まり鮒に終わる」といわれるなど、釣魚として親しまれている。
アムール川原産のギベリオブナを品種改良して作出したのが観賞魚の金魚である。
ちなみにフナ類は日本人なら誰もが知っている馴染みの深い魚にもかかわらず、日本産魚類の中で最も分類が困難な淡水魚の一つとも言われている。
いくつかの種や亜種が知られているものの、実際形状でに区別しようとすると識別点が文献によってバラバラだったり曖昧だったり、中間的な形質のものが居たり雑種が居たり、実はどうとかと非常に難しい。
また遺伝子解析をした結果、オオキン、ギン、キン、ナガ、二ゴロブナは区別出来なかったという研究もある。
また、それぞれにどの学名があてられるかの混乱や、後述の一覧でやたら「フナ属の一種」が多発している事から察せられるように未だまだ名前が無いような種や個体群が幾つもあるなど、詳細を記しだすととんでもない文字量になる魚なのだが概略にとどめておく。
フナの一覧
琵琶湖淀川水系固有種。菱形に近い体型で目が下の方にある。
- ギンブナ(メイン画像、マブナとも)
最もよく見られるフナ、メスしかおらず、自らのクローンを産む。…のだが、稀に雄が存在するフナ類と有性生殖を行う事が近年分かってきた。
琵琶湖固有種。鮒寿司の材料。
三方五湖や諏訪湖、東北、北陸地方の日本海側に生息する体高が低いフナ。ニゴロブナの近縁種。
関東や東北に生息する小型で金色のフナ。
西日本に生息する大型で金色のフナ。
- フナ属の一種 (琉球列島産)
沖縄に生息するギンブナに似たフナ。長い期間ギンブナと混同されていたが、近年の遺伝子解析から別種であると分かった。
ギンブナと違い、オスがいる。
- フナ属の一種 (北海道産)
北海道に生息するフナ。赤褐色で体高が低く、尾柄部に横帯がある。通称「エゾアカブナ」。
- フナ属の一種 (台湾産)
台湾に生息するフナ。石垣島に移入されている。
- フナ属の一種 (中央アジア系)
カザフスタン~モンゴルに生息するフナ。
ヨーロッパに生息するフナ。体高が高く、丸い。
中国やロシアなどに生息するフナ。金魚の原種という説もあった。
- 中国産フナ (Carassius auratus)
中国などにいるフナ。金魚の先祖とされている。和名は無い。
時折発見される突然変異のオレンジのフナ。まとまった個体群が生息している場所もある。なお、国の天然記念物に指定されている春採湖のヒブナは、在来のフナ類が放流されたキンギョと交雑したものが起源と判明している。
中国産フナのヒブナを改良して出来たフナ。
鉄色でヒレの長いフナ。天然記念物に指定されている地域もある。