概要
全長は最大で1mになるが、普通は全長60cmぐらい。口元に二対の短いヒゲがある。
野生種(ノゴイ)と飼養種(ニシキゴイ)とに大別される。
ノゴイは体高が低く、ほぼ円筒形で体色は黒褐色を帯びる。
飼養種にはヤマトゴイ・ドイツゴイなどがあり、ノゴイよりも体高がやや高く側扁し、鱗の形状に特徴があったり、色彩が非常に派手なものが多い。
日本を代表する観賞魚のひとつであるのみならず、アジア圏では古くから食用とされ、嘗て日本において「魚の王」としては「大位の鯛、小位の鯉」として鯛と並び称された。中欧・東欧でも食用の伝統があり、中でもスラヴ人にとっては聖なる食材とされ、クリスマスの食卓に不可欠な食材となっている。
ただし英語圏、特に北米での鯉は「泥の中に住む汚い魚」というイメージが強く、食用には供されずもっぱら遊びとして釣られる対象となっている。
生態
鯉は口に入るものなら何でも食べる悪食な魚であり、水草、貝類、ミミズ、昆虫類、甲殻類、他の魚の卵や小魚など様々なものを食べる。
口に歯はないが、喉の奥に「咽頭歯」と言う歯に似た器官があり、貝殻などはこの咽頭歯で砕き割って飲み込む。咽頭歯の力は非常に強く、10円玉を噛んで曲げる位の威力がある。
コイの仲間は胃を持たない「無胃魚(むいぎょ)」と呼ばれる種類である。食道と腸が直接繋がっている。胃がないために満腹感をおぼえることがなく、胃がないことによる消化力のハンデを補うためにひたすら喰いまくる。にもかかわらず、過剰なまでの悪食により、大型サイズに成長できる。
生命力が非常に強く、陸にあげても数時間は生き、低温や汚水環境に強い。よく自治体などが「鯉が棲めるほど綺麗な水域」と喧伝して鯉を放流する事があるが、その認識については誤りと考えるべきである。
逆に火口湖や山間の小川など、綺麗すぎる水域では餌が足りず、鯉は餓死してしまう。
問題
日本ではブラックバスが生態系破壊問題に引き出されるが、世界的には鯉も「世界の侵略的外来種ワースト100」の一つに数えており、特に鯉を食す文化の無い国では猛威を奮っている。
鯉は各種水生生物を貪欲に食べてしまうので、往々にして土着生物の駆逐と河川環境の単純化の遠因になる。
生物多様性の観点からすれば元々鯉がいない水域に鯉を放流するのは有害ですらある。
しかし食料保存技術が低かった時代は、悪食で淡水域であれば大きく育つ鯉は貴重な動物性タンパク源であり、中国から輸入され多くの水域に持ち込まれた、その後冷蔵技術の発展や食文化の変化で消費量が減り外来種としての問題が大きくなっている。
ちなみに、ブラックバスは鯉とは対照的に意外にも汚水環境に弱い。
現在、日本原産の「地鯉(ジゴイ)」は滋賀県の琵琶湖の一部でしか確認できないほど、その数を減らしている。
余談
鯉と書いて「てがみ」とも読む。鯉の腹の中から白絹で書かれた手紙が出た「鯉魚尺素」という故事による。
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