概要
地下ダンジョンであった"黄金郷"から、1000年ぶりに蘇り地上に戻ってきた大陸の新たな王となったライオス・トーデンのあだ名であり異称。
悪魔を文字通り食らい世界を救ったこと、庶民が避けるような食材を好んで食していたことから。
歴史
この王が誕生した経緯を語るには、「ダンジョン飯」後半となる、迷宮内での冒険譚から語る必要がある。
妹ファリンを食らったレッドドラゴンを追って、魔物を食糧としながらダンジョン内を進んだライオスとそのパーティは、やっとの思いでそのドラゴンを発見・討伐し、死体から回収したファリンを蘇生、再会を喜びあった。
だがそれもつかの間、ダンジョンの主であった狂乱の魔術師の介入によって彼女は魔物化、またしても生き別れの身となってしまった。
さすがに大きなショックを受けたライオスだったが、レッドドラゴンが魔術師の支配を受けていたことから、ファリンを取り戻すためには魔術師を倒し、術を書き換えるしかないと判断、一時は説得もあって退却も視野に入れたが、自身にかけられた呪いを解く目的で接近してきたシュロー一行の一人「イヅツミ」を新たに迎え、そのまま迷宮攻略を続行。(4~6巻)
その道中、幽霊の手引きで1000年前の黄金城の住人が住まう空間に誘われ、彼らを解放する存在、ひいては新たなる王になるだろうという予言を受ける。
この頃から迷宮の力の源である翼獅子が関わり始め、封印された扉の開放や、自身が迷宮の主となり、新たに作り出すだろう世界を垣間見せるなどの助力が為されていくようになる。
また、竜の部位のみ食べてしまえばファリンの魂を引き離すことができるやも、というセンシの推測から救出のための具体的な糸口を見出し、狂乱の魔術師の邸宅を目指す。(7~9巻)
その後翼獅子の助けもあって魔術師の本拠に到達し、自らの知識と経験から導き出した作戦でキメラ化したファリンを撃破することにも成功する。そのままの勢いで狂乱の魔術師との戦いに臨むが、地形を自在に変え、伝説に名高い竜を多数喚び出すなど次元の違う能力を前にあわや全滅の危機に陥ってしまう。
しかし、ここでも持ち前の知識を総動員して竜たちの攻撃をいなし、魔術師の虚を突く形で拘束することに成功する。彼と食卓を囲み説得を試みるも、誤った解釈をされてしまい人間フォアグラにされかける。
紆余曲折あって魔術師の無力化には成功し束の間の休息を得るが、今度は迷宮の無力化を図るカナリア隊一行が追いつき、催眠を受けて行動不能状態に追い込まれてしまう。
カブルーの手により意識を取り戻すが、その間にマルシルが新たな迷宮の主となってその場から去ってしまったことに気付き、彼女の身を案じファリン救出をひとまず棚上げにしてマルシルと合流するために動き始めた(10~11巻)
マルシルと合流するも、マルシルはすでに迷宮の主として狂気に囚われつつあり、ライオスたちは目的の達成の邪魔になると判断され、軟禁されてしまう。
悪魔とマルシルは大勢の魔物を従え地上侵攻を開始。遂に結界が崩壊し、地上と迷宮の境がなくなる大混乱を引き起こす。
なんとか脱出に成功するが、悪魔を倒す方法がなく困惑するライオス。そこへ悪魔が語りかけてき、会話するうちに悪魔は「人間の欲望を永遠に味わいたい」という存在であることを知り、対処方法を思いつく。
悪魔を倒すため、再びマルシルと合流し彼女を説得してライオスは迷宮の主となったが、心の内にあった変身願望を見破られ、グルメガイドのページに落書きした「俺の考えたカッコいいモンスター」へと変貌する。
しかし、それこそがライオスの策略であった(多分)。
悪魔の「人の欲望を味わいたい」という欲望を知ったライオスは「俺の考えたカッコいいモンスター」の特徴に「欲望を消化する」という能力を後から書き加えていた。
「悪魔がぞっこんになる『欲望』とはどんな味なのか知りたい」と思ったが故であり、皮肉にも悪魔はライオスの欲望を叶えたことによって、存在し得ない筈だった自らの天敵を生み出してしまったのだ。
その事に気づき大慌てで抵抗を測る悪魔だったが、結果虚しく欲望を食い尽くされ「悪魔」ではいられなくなってしまい、元の存在へと還っていった。最後に「今一番の願いが叶わなくなる」という仕返しの呪いをかけて。
そしてダンジョン内の殆どの生命が外の世界へと無事吐き出され、人々に悪魔を倒したことが知れ渡ると、マルシルによって冷凍保存されていたファリゴン(ファリン+ドラゴン)を解体し、調理を開始。迷宮の攻略を祝う宴が始まる。
宴の最中に呪いから解放されたヤアドから黄金郷の王になるよう懇願され、悩みながら王になることを受け入れる。
また狂乱の魔術師によって地中深くに封じられていた黄金郷が地上に戻り、「島」と呼ばれていた地域が実は広大な大陸であったことが判明。
多くの人々の尽力もあり、ファリンの蘇生にもどうにか成功しこうしてライオスは悪魔を倒した英雄「悪食王ライオス」と呼ばれ、黄金郷を治める王として歴史に名を残すことになった。
かくして一介の冒険者から一国一城の主へと大出世を果たしたライオスだったが、一方で只の庶民であるために国の運営(政治等)を一から学びつつ行うこととなり、その結果死ぬほど苦労する羽目になった(マルシルを始めとした多くの人が支えてくれたおかげでどうにかやっていけた模様)。
また復活した黄金郷を狙って盗賊等がやってくる事もあったようだが、ダンジョンから脱出した魔物達が黄金郷周辺に住み着いたことに加え、悪魔が最後にかけた呪いが「魔物がライオスに近寄らなくなる」という形で発現した事により、黄金郷内に魔物が寄り付かないことによって皮肉にも魔物が国を守る一種の壁となり黄金郷は平和となった。
ちなみにこのことを知ったライオスは呪いの内容を察して納得すると共にひどくガッカリしたんだとか。
王となったライオスが政策として熱心だったのは「食」に関してで、主に食料の生産・調理・保存を重視し更にそれらに魔術や魔物を用いたものであった。
これらの行いは失敗することもあった(ライオスが率先して行った結果危うく食あたりで死にかけたりした)が大体は十分な成果を収め国はもちろん食糧難に苦しんだ諸外国も救った。
そんな黄金郷では普通の人々に加え、コボルトやオークといった他では生き辛かった亜人達も国民として平和に暮らすようになり、『悪食王』という物騒な異名こそ付けられたが、良き王として国を治めていったようだ(~14巻)
余談
悪魔の欲望を喰う形で引き継いだ事で、満腹を感じられない底なしの食欲となってしまい、王として働くために冒険者を実質廃業したことで太ってきたらしい。
また迷宮探索を最後まで共にしたケン助だったが、王になった頃にはすっかり動かなくなり、死亡してしまったとライオスは判断。迷宮恋しさを愚痴った事で、妹に近くの自然迷宮へ誘われ向かった際、自分の鎧と共に安置する事にした。
しかし、ケン助は実は仮死状態だったため、自然迷宮の魔力により息を吹き返し、ライオスの鎧を糧に成長し、100年後に「魔物の肉を求め彷徨う王の霊」と噂されるようになる。
なお、一度迷宮の主となったマルシルの願いによる「全種族の寿命の統一」に関しては、マルシル自身が「願いが叶わなかった」と発言、上記のケン助が100年後「王の霊」と噂されるようになったとのことから長寿化は無く、トールマンとしての寿命を全うした様子。彼の死後だれが国を継いだか・呪いが解けて国に魔物が戻ってきたかなどは明らかになっていない。
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