概要
07th Expansion制作の『ひぐらしのなく頃に』シリーズ及び『うみねこのなく頃に』シリーズに登場するキャラクター。
『ひぐらしのなく頃に』での“フレデリカ・ベルンカステル”
この作品では名前のみで登場する存在(『ひぐらしのなく頃に解』のアニメ版最終回では姿を現す)。
『ひぐらし』は物語が始まる前に『謎めいた詩』が画面に表示されるという演出をとっているが、この詩の作者として『Frederica Bernkastel(フレデリカ・ベルンカステル)』の名が末尾に添えられている。
ほとんどの場合、詩は六行で語られており、ある状況について淡々と語った後、最後の行で読者に何らかの印象を与えるという、四コママンガのような作風をとっている。
ネット上で『フレデリカ・ベルンカステルの詩』などで検索を行うと彼女の詩を閲覧できる。
また、『うみねこのなく頃に』の小冊子にて、ロノウェと共に詩を投稿するというまさかのコラボを起こした。
『うみねこのなく頃に』での“ベルンカステル卿”
千年を生きた奇跡の魔女。『確率がゼロではない限り、“必ず”奇跡を成就させる力』を持つ。元老院に名を連ねる大魔女であり、元老院では大アウローラ卿(フェザリーヌ)の後ろ盾により絶大な権力を得ていると言う。絶対の魔女・ラムダデルタ卿と同格の存在。
カケラ(いわゆるパラレルワールド)の海に漂う複数の世界を行き来できる航海者でもあり、戦人やベアトリーチェが居るメタ世界よりも更に上位世界に位置している。
奇跡の魔女と名乗るだけに非常に強大な魔力を有しており、ラムダデルタの様な大魔女で無い限り時間稼ぎすらままならない。作中で披露した技は空中浮遊・瞬間移動に加え、全てを飲み込む無慈悲なるリヴァイアサン、全てを穿つ無慈悲なるミステリ(EP8にて披露)とかなり大規模な攻撃。更には宇宙の創造と破壊までやってのけると言う、もはや神の如き力である。
極めつけには防御力も凄まじく高く、数百年の間「痛み」を感じた事が無い。ラムダデルタに小宇宙の誕生を体内から食らっても無事であった程。(流石に苦しんではいたが)
性格
理知的で冷静沈着。後述する過去の影響により、現在は暖かい感情を殆ど失っている。その為瞳に光が無く、シビアな物の見かたをする。自らを『世界で1番残酷な魔女』と称しており、作中では数々の残虐行為を働いた。
怒ると口が悪くなり、「死ね!ゲロカス妄想!」等の暴言も平然と吐き捨てる。
人間の運命を鑑賞し、時に干渉する。つまり時に貴方であり、貴方の唯一の友人でもある。
好きな物はワインと辛いもの。嫌いな物は退屈と学ばない者。
ラムダデルタとの関係
ラムダデルタとは友人関係であり、孤高に生きるベルンカステルにとっては唯一の友人でもある。友情を超えてもはや愛情と言える感情をお互いに持っており、相思相愛の関係。しかしその愛情は共にかなり歪んでおり、もはやヤンデレの域にまで達している。
過去
過去のゲーム盤にて、フェザリーヌ(羽入)と思わしき主が出口の無い壊れたスゴロクを作り、ロジックエラーに閉じ込められた経験がある。(漫画の描写から、この舞台こそがひぐらしのなく頃にである可能性が高い)
ロジックエラーから脱出出来る確率はあまりに天文学的数字であるにもかかわらず、脱出を失敗をする度に失敗した数を数えてしまい、無限にも等しい途方も無い時間を過ごす内に心を壊してしまった。だが奇跡に愛された彼女は、見事ロジックエラーから脱出する事ができ奇跡の魔女へと至った。
ラムダデルタ曰く、『この過去が影響し現在の意地悪で残酷な魔女へと変貌してしまった』らしい。
本編での活躍
本編では、無限の魔女・ベアトリーチェ卿の噂を聞き、魔女を殺す唯一の毒『退屈』から逃れる為に彼女の元を訪れた。
登場当初は主人公の右代宮戦人の協力者の様な立ち位置で共にベアトリーチェのゲームに挑戦していた。
しかしEP5以降の『展開編』である『うみねこのなく頃に散』からは、ベアトリーチェのゲームを乗っ取って自らがゲームマスターを気取るようになり、ラムダデルタと共に残酷な殺人ゲームに興じるようになる。
そして自らの分身である古戸ヱリカを六軒島に派遣し、戦人の探偵の立ち位置をエリカに奪わせようと画策。
結果、戦人・ベアトリーチェと対決する事となるが、エリカが敗北しベルンカステルは激怒。完全に呆れ果てた彼女は、主であるにもかかわらずエリカの最期を見届けず、挙句の果てには忘却の深淵へと投げ捨てると言う悪魔の所業を犯した。(後にベルンカステルが再度利用する為に拾われるが)
エリカが戦人に負けた事を受け入れられず、今度は自らが直接戦人・ベアトリーチェと対決すると決め、宣戦布告。
またEP4の別の時間軸となる1998年の世界では、戦人の妹である右代宮縁寿に干渉している。干渉当初は縁寿の協力者であるかの様な素振りをし、自らが縁寿の後見人となる事で縁寿を戦人の居るベアトリーチェのゲーム盤へと連れて行き、戦人と共にベアトリーチェを打ち倒す事を目的と見せかけていた。
が、彼女の真の目的は六件島の真相を暴き、ベアトリーチェの生み出した黄金郷を壊す事により魔女幻想を否定する事だった。
EP7・EP8では、縁寿を駒として利用した挙句縁寿に六件島の残酷な真相を見せる事で、彼女を絶望させ2回も挽肉にする。
これらの傍若無人な振る舞いに憤慨した戦人は、彼女と完全に訣別。六件島の真実を暖かいまま守り抜こうとする戦人・ベアトリーチェ率いる魔女達や人間達と、六件島の真相を暴こうとするベルンカステル・エリカはやがて全面戦争にまで発展。
戦人側に付いたラムダデルタは、やがてベルンカステルと敵対。お互いに全力だと思われた戦いは、宇宙を幾つも創っては壊す程の大激闘となる。
最終的にはうみねこシリーズを通して、真の悪役的な位置付けのキャラクターとなった。……が、EP8の後日談によると「悪役も案外楽しかったわ」との事。
これらの残酷で無慈悲な振る舞いは、「うみねこのなく頃に」と言うゲーム盤での演技に過ぎなかったのかもしれない。
ベルンカステルと古手梨花の関連性
『ひぐらしのなく頃に』に登場する古手梨花と、『うみねこのなく頃に』から本格的に登場するベルンカステルはいずれも容姿が酷似している。また、名前も言葉遊びであると指摘されている(古手梨花→フルデリカ→フノレデリカ→フレデリカ)。
それだけでなく、ベルンカステルは「奇跡の魔女」で、梨花は「奇跡」が信条という共通点がある他、いずれの担当声優も田村ゆかりである。
それもそのはず、梨花とベルンカステルは元々同一の存在である。
梨花とベルンカステルについては既に原作者の竜騎士07氏から、『ひぐらしのなく頃に礼』の賽殺し編で梨花の「繰り返す者」としての人格が本人から分離し、それがカケラの海(『なく頃に』シリーズにおける上層世界)を彷徨う中で魔女化した存在がベルンカステルと明かされている(『うみねこのなく頃に散episode8真相解明読本』のインタビューにて)。
これらの経緯のため、『ひぐらし礼』の賽殺し編の最後以降の梨花は『人間』としての人格と、『繰り返す者』としての魔女人格が分離した状態で、『人間』としての梨花には時間をループする能力は既にない。
前述のように『人間』としての梨花は現在も賽殺し編の世界で平和に暮らしており、時系列的に『ひぐらし礼』以降の話である『ひぐらしのなく頃に業・卒』で登場する梨花には時間をループする能力が健在のため、『ひぐらし業・卒』の梨花は賽殺し編で梨花から追放された「繰り返す者」としての魔女人格の方で、その魔女人格が訳もわからず『ひぐらし業・卒』の世界を彷徨い続け、それらの悲惨な経験を経て奇跡の魔女・ベルンカステルへと至るのでは?という考察がある。
「 わたしはもう『魔女』など辞めてしまわなくてはならない。今こそベルンカステルの魔女ではなく、古手梨花に戻らなくては 」
(『ひぐらし礼』賽殺し編の梨花より)
余談
名前にあるベルンカステルとは、ドイツの地名であり、ワインの産地としても知られている。
「ベルンカステル=クース」には、ニコラウス・クザーヌスという人物の生誕の地である。
彼は哲学者、神学者、数学者とも知られ、宗教による対立が激しかった中世ヨーロッパにおいても、他宗教・多民族、それぞれの立場の違いに理解を示し、寛容的な人物だったとされる。
「知ある無知」や「反対の一致」といった独創的な思想を唱えた。