概要
航空機の翼の形状や、穴の径と深さ、建物の高さと幅の比率など、様々な分野で使われるが、ここでは主に映像・画像について述べる。
映像のアスペクト比
メディアごとに定められた画像や映像の縦横の比率のこと。略してアス比と呼ばれる。
解像度は俗に「縦横のピクセル数」(本来は画素密度を指す)を意味するのに対し、アスペクト比は画面サイズの縦横比(画面アスペクト比)、またはピクセル数の縦横比(ピクセルアスペクト比)を指す。
画素が正方形であれば、画面アスペクト比とピクセルアスペクト比は一致するが、DVD-Videoなどは画素が正方形ではないため両者にはずれが生じる。アナログテレビ時代のテレビ放送の画面アスペクト比は4:3であったが、日本や北米、中米、韓国などで使われたNTSCの画素は縦長なのに対し、フランスを除く欧州で主流であったPALの画素は横長であったので、ピクセルアスペクト比はNTSCとPALで大きく異なっていた。
各メディアの画面アスペクト比
パソコンのディスプレイやテレビモニターなどのアスペクト比は、「解像度」に記述している。
テレビ
規格 | アスペクト比 |
---|---|
SDTV | 4:3 |
ワイドワンセグ | 16:9 |
HDTV | 16:9 |
携帯ゲーム機
機種 | アスペクト比 |
---|---|
ゲームボーイ | 10:9 |
ゲームボーイアドバンス | 3:2 |
ニンテンドーDS | 上下画面とも4:3 |
ニンテンドー3DS | 上画面5:3 / 下画面4:3 |
映画
名称 | アスペクト比 |
---|---|
スタンダード | 1.33:1(SDTVの4:3と同等) |
ヨーロピアン・ビスタ | 1.66:1 |
アメリカン・ビスタ | 1.85:1 |
シネマスコープ | 2.35:1(12:5) |
アスペクト比の歪み
画像や映像のアスペクト比が本来のものからずれていた場合、縦に引き伸ばされるか、横に潰れたようになってしまう(アスペクト比の歪み)。このような画像は、見る人に違和感や不快感を与える。
2010年代前半のスマートフォンの普及初期にはレスポンシブ対応サイト(端末の画面サイズに応じてレイアウトを最適化するWebサイト)において、aspect-ratio(アスペクト比を固定するCSSの機能)がうまく設定されておらず、アスペクト比が崩れた見苦しい画像を見かけることがよくあった。
画面アスペクト比が4:3であったSDTV時代のコンテンツと、16:9が主流の現在の再生機器ではアスペクト比が一致しないため、通常は画像や映像の左右に余白(レターボックス)を設けて対処するが、上下部分を切り捨ててしまう「貧乏ビスタ」にされてしまう事も少なくない。
近年のゲーム機では、アスペクト比が16:9のものが多いが、かつての携帯ゲーム機は特殊なアスペクト比のものが見られた。ゲームボーイアドバンスはゲームボーイの上位互換機であったが画面アスペクト比は異なっていたので、GBAでゲームボーイのタイトルを遊ぶ際には画像が横長に引き伸ばされてしまった。据え置きゲーム機でもファミコンなど昔の機種は画素が正方形ではないアナログテレビに合わせていたため、エミュレータで遊んだりプレイ画面をキャプチャーする際に歪みを生じることがある。
スマートフォンでも、iPhoneではアスペクト比が16:9であるホームボタン付き機種(iPhone SEなど)と、16:10(ノッチ除く)であるFace IDモデル(iPhone X以降のノッチ付きモデル)というアスペクト比が異なる機種が混在している。Androidに至っては20:9や22:9、2:1などあらゆる種類のアスペクト比や画面サイズの機種があり(現在は2:1以上のワイド画面が推奨されているが、過去には正方形画面の端末もあった)、あらゆる環境で快適にプレイできるゲームを作るのは至難の技である。