ハンター(バイオハザード)
はんたー
概要
作中に登場する犯罪組織「製薬会社アンブレラ」が開発したB.O.W.(生物兵器)のひとつで、感染した生物の遺伝子を変質させる「t-ウイルス」を用いて生み出された。ウイルスを媒介にして、人間をベースに他の生物の遺伝子を融合させた結果、高い攻撃性を獲得。仲間と連携して標的を“狩る”ことから「狩人」と名付けられた。武装した、または散布されたウイルスに感染しなかった人間に対する「戦闘用の生物兵器」で、多くのプレイヤーを苦しめた存在である。
外見
ベースは人間だが、組み込まれた遺伝子の影響で骨格から大きく変質している。
肩幅が広くなり、両腕は大きく発達。脚部は肉食獣のようにかかとが高く浮き、常に折り曲がっているため身長はやや低い。
しかし全身は発達した筋肉に包まれており、特に上半身は頭と首の境目が分からなくなるほど。
前傾気味の姿勢も相まって全体像はゴリラなどの類人猿を思わせるが、逆に全身は緑色の鱗に包まれており、両の側頭部から背中にかけてはギザギザのトゲが連なっている。
そして手足には、ほとんど指と同化した巨大なカギ爪が備わっている。
これらの特徴から組み込まれた遺伝子はトカゲなどの爬虫類と思われるが、実は攻略本や公式の資料集などには明記されていない。
(「他の生物の遺伝子」「外見から爬虫類と推測されるが詳細は不明」など、ぼかした表記になっている)
性能
最大の特徴は、驚異的な身体能力にある。
強靭な筋肉と、踵が第二の膝関節のようになった脚部のバネによって2mを越す跳躍が可能。
その瞬発力で一瞬に接近し、勢いのまま獲物の首を爪で切り裂き絶命させる「首刈り」は多くのプレイヤーを恐怖させた。
また角質化した皮膚は防弾チョッキ並の強度を持ち、至近距離から散弾が直撃しても1〜2発は耐えてしまう。
性質は凶暴で、作中のファイル「飼育係の日誌」にもハンターと思わしき生物の観察の記録が乗っており、生きた獲物をなぶり殺しにしてから食べるという残虐性を備えている。
しかし、簡単な命令ならば理解、遂行できる知能も併せ持っており、攻撃目標を定めて無用な破壊を抑えることが可能。
さらに低コストでの量産も容易で、これらの特性からアンブレラが開発したB.O.W.の中では最初の成功例と評価され、後に様々な亜種が生み出されることになる。
亜種
ハンターα
第一作目から登場した基本型のハンター。
当初は「ハンター」とのみ記されていたが、後にシリーズが増えるにつれ初期型を表す「α型」に位置付けられた。
洋館の生物災害が発生する前に少数がクローン生産され、事故を利用した性能テストのためS.T.A.R.S.にぶつけられた。
主人公が洋館に戻った直後に出現し、以降中庭地下までの各所で待ち受ける。
不気味な雄叫びと共に何かが猛然と後を追いかけてくるムービーは強烈なインパクト。
開発の過程で街のホームレスが実験材料として利用されたらしく、多くの行方不明者が出ているようだが、おそらくアンブレラに揉み消されたのだろう・・・
リメイク版では新たに「相手にのし掛かり、爪で腹をかっさばいて絶命させる」攻撃も加わった。ボタン連打やディフェンスアイテムで回避可能だが、その際ダガーナイフを用いると、その場で爪を振り回して暴れるという罠がある。
また、画面を一瞥しただけでは分かりづらいが赤い鱗の変異種が存在し、通常はある程度プレイヤーキャラの体力が減らないと使わない「首刈り」を早い段階で放ってくる。
リメイク版の開発スタッフによると、ゲーム後半の難易度を上げるための強敵であると同時に、ウィルスに偶然感染して生まれたゾンビや原型の残る他の怪物とは違い、明らかに人為的に創り出された存在であることを示して、ストーリーが核心に近づいているのをプレイヤーに伝える役割とのこと。
ティックス
『無印』のセガサターン版に登場したハンターαの亜種。
爬虫類ではなくダニの遺伝子を組み込むことで、ハンターとは異なる姿に誕生したB.O.W.。
ダニの遺伝子を組み込んで作られた事で姿が若干異なっているが、それ以外の差異はない。
『無印』にはティックスに姿がよく似た「キメラ」というB.O.W.が登場するが、あちらはハエの遺伝子を使用しているので別物。
ハンターμ
『アウトブレイク』で登場した改良型のハンター。
上記のα型をベースとして、コスト削減と狭い場所での運用を考慮して開発された小型化モデルの試作品。
攻撃力は劣るものの、それ以外は通常のハンターと遜色ない性能を有しているとされる。
『3』で登場した改良型。
α型をベースに神経系統の改良を施したもので、銃弾を回避するほどの反射速度を獲得している。
『3』、『アウトブレイク』、『ダークサイドクロニクルズ』、『RE:3』で登場。
従来とは異なり、カエル等の両生類の遺伝子をベースに開発されたハンター。
人間1人を丸ごと飲み込んで絶命させる「丸呑み」という即死攻撃を持つ。
RE:3では姿形が大きく異なり、両腕がない代わりに数倍の巨体に変貌。格闘能力や俊敏性は持たないが、捕食された人間は跡形もなく処理されるため証拠が残らず、複数の人間を連続して捕食する事も可能。
ハンター改
『CODE:Veronica』に登場。
α型に周辺機器の「自走式監視器」を付与させることで、それがサーチした標的のみ襲わせる、という運用も可能になったため、兵器としての完成度はオリジナルよりも上。
アルバート・ウェスカーがアンブレラの敵対組織と共同で開発しロックフォート島に放った。
スウィーパー
『CODE:Veronica』で登場。
上記の「改」の爪に毒性を持たせたもので、体表も毒々しい赤紫色に変色している。
作戦区域内の敵兵の掃討が目的のため、「掃討者」と名付けられた。
ハンターエリート
『ガンサバイバー4』に登場。
兵器品評会でのお目見え用にα型に強化調整を加えた特別製で、本格的な実戦配備を目指した事実上の完成品。
全ての面で通常のα型を凌ぐ性能を誇る。
グリマー
『ガンサバイバー4』に登場。
無数の目がある頭部を除けば、外見がγ型に似ている。
密かに製造された個体であるらしく、詳細に関しては不明な点が多い。
『リベレーションズ』に登場。
従来のハンターに、さらにt-Abyssウイルスを投与したもので、体表の色は青みがかっている。
表皮の色を変えて姿を消す擬態能力を持ち、一度隠れられると特別な装置で見ないと姿を確認できない。
代わりにt-Abyssの特性によって凶暴性が増し、制御が困難となった。
余談
様々な作品に登場して主人公を苦しめるB.O.W.の代表格だが、そもそもこの生物兵器の開発はアンブレラ社にとって不要なものだった。
t-ウイルスの人間へのゾンビ化作用だけでも強力な兵器であり、通常の兵器システムと併用すれば十分利益をあげられるものだったためである。
しかし、アンブレラ総帥オズウェル・E・スペンサーは己の真の目的のため、採算を無視して研究を続行。
結果、後に“究極の生命体”と呼ばれるB.O.W.「タイラント」が完成するものの、主任研究員アルバート・ウェスカーがスペンサーの方針に疑問を抱き、「洋館事件」でのアンブレラ離反へと繋がっていくことになる。
因みにバイオ1での初登場時のムービーだが、オリジナル版のみ主人公のいる場所へ向かう際にご丁寧にもドアノブを持ってドアを開けているという演出となっている。
また映画版などの登場は2024年現在になっても映像作品での登場は一度もない。