概要
映像および文章をふくめたあらゆる創作作品において受け手のニーズとは合致せず、誰が得するのか、面白いと思えるのか疑問に感じる、要するに「誰得」と捉えられるシリアス展開の事。
その作品の事前発表時に受け手がその作品に対していかなイメージを抱いていたかにもよるが、その後に発信された作品の物語の中で描かれた登場キャラクターやその周辺の不幸および災難といったシリアスなイベントにおいて、受け手がそれに対して想像以上に理不尽だと感じ、結果“その作品に必要な要素”として受け入れられなかったり、あまつさえ“その作品を鑑賞する対象者”の期待を裏切っているとされた展開がこう呼ばれたりする。
あくまでそれは物語上の“溜め”であって、後でその不幸から立ち直ったり、乗り越えたりする王道展開を想定していたとしても、一度こういう印象を持たれてしまうといくらその先の話が明るいものであろうと以降の作品全体の評価を覆すのは難しくなったりもする。
特にこうした陰惨な展開が、後々の展開や結果において別に必要なかったという顛末になると、消費者に無駄なストレスを与えただけとして、作品自体が駄作の烙印を押されてしまう事もしばしばである。
誰得シリアスと言われやすい例
- 公開前の広告では平和的な作風と見せかけておきながら、実際にはハードで陰惨な内容だった作品。
- 日常系を志向した(あるいは期待された)作品における、キャラの挫折や死亡といった不幸な出来事。
- そもそもの作品設定がどうであれ、登場するキャラクターの扱いに関してとにかく受け手が理不尽かつ不条理だと感じた展開。
- キャラクターがそういう災難に遭うまでの過程が唐突あるいは適当に見えたような展開(世界観の説明不足、展開の伏線不足、リアリティを追求し過ぎた社会風刺)。
- ギャグとシリアスの釣り合いが取れておらず、永久にシリアス展開が続き、今後日常ギャグ展開に戻らなそうに見える展開。
- もとよりハードでシリアスな作品であったとしても、そのストーリーの途中で制作側の何かしらのイデオロギーや歪んだ心理が露骨に全面に押し出されてきて情緒や因果関係が断線。明らかに創作者らの内部でしか物語が昇華できておらず、視聴者や読者の大部分がついていけなかったパターン。
- 叙述トリックというオチであったものの、読者を傷付ける過程が最大の目的に見え(キャラが不幸になるのを期待させる、悪人に物語が都合良く回ると期待させる)、オチが目的ではなく言い訳に見え、読者の信頼の回復が難しかったパターン。
- 「ピカレスクロマン(作中で悪漢・悪女がその設定)」「R18G(不快さの理由が話ではなくエログロだと分かりきっている)」「単純に絵や演技や構成が下手過ぎる(メタな違和感、つまらなさゆえの無関心)」「ツンデレがなかなかデレない(デレる伏線はある)」「喜劇のみの構成か悲劇のみの構成(不安定)」等の明確な理由がないにもかかわらず、共感できる人物が1人もおらず、悪い意味でDQNしかいないキャラカタログとして完成されている。