概要
朝鮮半島で話される言語。おもに大韓民国(韓国)で話されるものを「韓国語」と呼ぶが、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)および中華人民共和国の一部で話される朝鮮語と同じ(発音・表記などに微妙な差が多く、方言程度の差はある)。学術系ではまとめて「朝鮮語」と呼ぶ事が多いが、会話集などでは「北朝鮮のではなく、韓国で使う言葉」と限定する意味で「韓国語」を使う事があるらしい。
朝鮮半島全土で使われているにもかかわらず「韓国語」と言うことに抵抗感を覚える人が親北朝鮮派を中心に多いが、そもそも日本は北朝鮮を国家として承認しておらず、「韓国」という呼称は大韓民国成立前の三韓時代から存在しているため、「韓国語」と呼称することには何の問題もない。
NHKの韓国語講座では北朝鮮への忖度かは不明だが「ハングル講座」という名称になっている。
通常はハングルで表記されるが、元々は漢字も使っていた。しかし韓国では1970年に普通教育での漢字教育を全廃し、1972年に選択科目として復活させた。そのため現在ではハングル世代と呼ばれる者が増え、漢字の使用割合は格段に落ちた。
北朝鮮は建国当初から漢字を全廃しているが、漢文教育は行われている。「金正恩」「平壌」といった漢字表記はあくまで外国語扱いである。
文法は日本語と似ているところが多いが、発音や基本語彙などは全く異なる。
元来は中国語等の漢字が読めない人向けにハングル文字が作られたと言われており、発音は東北弁やフランス語に似ている。
pixivでは、イラストやキャプション等に韓国語を使っている作品に「韓国語」タグが付けられている。
日本人と韓国語
韓国語は日本人にとって最も学びやすい外国語であるといわれている。発音こそ相違が大きいが、文法はよく似ており(言語学的には証明されていないが同系言語ではないかとも言われている)、語彙も漢語から取り入れたものが多く日本語からの類推が利きやすい。日本語文の「てにをは」を韓国語に入れ替えて漢語表現を韓国語読みすれば通じるほどである。
習得のきっかけはビジネスの関係で取得が必要だったり、友人や親戚に韓国人がいたり(朝鮮・韓国人はかつては在日外国人の中では突出して多かった。在日韓国人の日本社会への同化が進んだ結果、日本人の中には祖父母や曽祖父母が朝鮮半島出身、という人も少なくない)、大学の選択科目で選んだり、なにかしらの教養のためだったり、韓流ブームに便乗して韓国ドラマが面白いという理由で習ってみたり、と様々である。
しかし韓国語を習う日本人は概ね女性がメイン層で、主に韓流ドラマなどのブームによる影響が強く、一方実用に迫られて学ぶ人は少ないと言える。韓国語は韓国経済や韓国の国際社会における影響力があまり大きくなく、韓国人の方が英語や日本語の習得に積極的であるため日本人と韓国人の間で行われる商取引での需要が限られているからである。
先述のいわゆる韓流女子の韓国語学習においては、韓流ブーム初期の日本では学ぶ人が珍しかった(今でこそ多いが)。これについては長谷川聖子のエッセイ『韓流女子はじめました』48ページ「ハングルはじめました」に一例として記述されている。
なお、戦前の日本統治時代の韓国(朝鮮)の小学校では日本語と朝鮮語の両方を習わされていたが、年月が経つにつれ朝鮮語の授業数や公共の場での使用は制限されていった。1941年までには学校教育の場から排除、公共の場でも国語普及運動に押される形で日本語に徐々に置き換えられるまでに至った。
発音
まず発音は、清音と濁音を区別しない。その代わりに無気音(息を強く吐かない)と有気音(息を強く吐く)を区別している。現行のラテン文字表記では無気音に(ラテン語等の)濁音表記を、有気音に清音表記を当てはめているため、釜山(プサン)を「Busan」と表記している。
こう聞くと中国語と同じだと思うかもしれないが、本当の意味で清音と濁音を区別しない中国語とは違い、語頭では清音っぽく、語中や語尾では濁音っぽくなる傾向がある。
また、母音も子音も数が多く、ラテン文字で表記すると文字の種類が足りないので、2文字で1つの発音を表す例も多い。そのため日本語の話者には発音が難しく、例えば「イルボン」と言った場合、きちんと発音しないと、それが日本(일본)なのか一番(일번)なのかわからない、と言ったケースもある。
「つ=ちゅ」「ざじずぜぞ=じゃじぃじゅじぇじょ」と言い換える事で韓国人っぽくなる。
浜松:하마마츠(はままちゅ)や、静岡:시즈오카(しじゅおか)等。
外来語を表記する場合、ハングルに存在しない「F(PかHで代替)」と「Z(Jで代替)」が正しく表記できない(その発音が無い訳ではない点に注意。例えばハングルはパングルでは無い)
例えば日本にもFに類する日本語が無く、古くは「ハヒフヘホ(H)」で代替、現在では「ファフィフュフェフォ(F+)」で代替している。
基本語彙は異なるが、日本語よりも漢語から取り入れた言葉が多く、漢字表記も知っていれば理解する助けになってくれる。だが、前述の通り発音の種類が多いとはいっても、(ハングル表記では区別できない)同音異義語も少なくない。例えば신차(シンチャ)は「新茶」とも「新車」ともとれる。
発音ルール
韓国語には「標準発音規定」というルールがあり、音の同化(口蓋音化/鼻音化/流音化)、濃音化、ㄴ挿入というものが定められている。
文法
韓国語の文法はほとんど日本語と同じで、基本的には単語の逐語訳である程度通じる文章を作る事が可能である。ただし、
などの大きな違いがあるので注意が必要。
主な単語
体の部位
意味 | カナ表記 | 英字表記 | ハングル表記 |
---|---|---|---|
頭 | モリ | Meori | 머리 |
髪 | モリ / モリカラク | Meori / Meorikarak | 머리 / 머리카락 |
目 | ヌン | Nun | 눈 |
耳 | クィ | Gwi | 귀 |
歯 | イ | I | 이 |
牙 | オムニ | Eomni | 엄니 |
腕 | パル | Pal | 팔 |
手 | ソン | Son | 손 |
指 | ソンカラク | Son'garak | 손가락 |
指の爪 | ソントプ | Sontop | 손톱 |
拳 | チュモク | Jumeok | 주먹 |
脚 | タリ | Dari | 다리 |
足 | パル | Bal | 발 |
足の爪 | パルトプ | Baltop | 발톱 |
生き物
意味 | カナ表記 | 英字表記 | ハングル表記 | 備考 |
---|---|---|---|---|
動物 | トンムル / トンムㇽ | Dongmul | 동물 | |
イヌ | ケ | Gae | 개 | |
ウシ | ソ | So | 소 | |
ウマ | マル / マㇽ | Mal | 말 | |
コウモリ | パッチュイ / パクチュイ / パクチュィ | Bakjwi | 박쥐 | |
シカ | サスム / サスㇺ | Saseum | 사슴 | |
ゾウ | コキリ / コッキリ | Kokkiri | 코끼리 | |
トラ | ホラギ / ホラキ゚ / ホランイ / ポム / ポㇺ | Horang'i / Beom | 호랑이 / 범 | |
ネコ | コヤギ / コヤキ゚ / コヤンイ | Goyang'i | 고양이 | |
ライオン | サジャ / サヂャ | Saja | 사자 | |
魚 | ムルコギ / ムㇽコギ | Mulgogi | 물고기 | |
エイ | カオリ | Gaori | 가오리 | |
キンギョ | クンブゴ / クンブコ゚ / クンブンオ / クムブンオ | Geumbung'eo | 금붕어 | クム=金。プゴ=鮒。 |
サメ | サゴ / サコ゚ / サンオ | Sang'eo | 상어 | |
ライギョ | カムルチ | Gamulchi | 가물치 |