概要
1998年にPC版(18禁)が発売。その後、実に11年を経た2009年に突然のテレビアニメ化、さらに2010年にはリメイク版がプレイステーション3に移植された。
主人公(藤井冬弥)はゲーム開始時点では森川由綺と恋人同士として付き合っていたが、由綺は現役アイドルであり、次第にすれ違う毎日となる。寂しさを紛らわすためや、由綺と付き合わせたくない周囲の思惑もあり、冬弥は他の女性と親しくなっていく。
シナリオ展開は「浮気ゲー」であり、当然ながら殆どのルートで由綺を振ってしまう展開になる(由綺と別れずにダラダラと三角関係を続ける結末も多い)。鬱展開になることも多く、前作『Toheart』とは一転している(その前の『痕』『雫』は凌辱ゲーでもあるので、むしろ回帰したと言えなくもない)。その後のLeafは『こみっくパーティー』や『まじかる☆アンティーク』といったライトな展開のゲームが続き、鬱になる展開の作品は『天使のいない12月』まで空くことになる。2010年には本作と直接繋がらない『WHITEALBUM2』が発売されている(10年後という設定)。
ゲームデザインは『雫』から『Toheart』まで連続したビジュアルノベルスタイルから一新して、日曜の夜に1週間のスケジュールを先行入力するAVG形式となっているが、発生イベントのランダム要素が強く攻略難易度は高め。
シナリオは繊細で詩情豊かだが、ライターを担当した原田宇陀児氏の個性が非常に強く出ており、会話中に衒学趣味の強いマニアックな芸術論が多々飛び出し、プレイヤーはおろか話を持ち出した主人公自身がついていけなくなる場面も多く、優柔不断で自意識過剰な主人公の性格や、彼の浮気を自己正当化しようとする独善的な態度も含め、評価が非常に分かれる。
アニメ主題歌『深愛』はその年の「第60回NHK紅白歌合戦」に出場した緒方理奈役の水樹奈々の歌唱曲に選ばれ、声優初かつエロゲー出身作品の曲が初めて紅白で歌われる快挙を成し遂げている。
登場キャラクター
TVアニメ
全26話で前半13話、後半13話と1クールずつに分けて放送された。UHFアニメの形態で、前半は2009年1月から3月に放送し、後半は2009年10月から12月に放送した。
主題歌
前半
- OPテーマ
「深愛」
作詞・歌 - 水樹奈々 / 作曲 - 上松範康(Elements Garden) / 編曲 - 藤間仁(Elements Garden)
- EDテーマ
「舞い落ちる雪のように」
作詞 - 須谷尚子 / 作曲・編曲 - 衣笠道雄 / 歌 - Suara
後半
- OPテーマ
「夢幻」
作詞・歌 - 水樹奈々 / 作曲 - 上松範康(Elements Garden) / 編曲 - 藤田淳平(Elements Garden)
第26話はエンディングテーマとして使用。
- EDテーマ
「赤い糸」
作詞 - 須谷尚子 / 作曲・編曲 - 松岡純也 / 歌 - Suara
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
第1話 | そう、あの時はもう、スイッチが入ってたんじゃないかなあ |
第2話 | ずっと前から仕組まれてた、そんな出会いって、信じる? |
第3話 | 手と手、肩と肩、背中と背中、それから。服の上からだっていいんだ |
第4話 | 想像を超えてわかり合えてるって、感じる時がある。逆の時も多いけどね |
第5話 | 邪魔をするのが、近しい人間だけとは限らない。知らない人ほど、手厳しい |
第6話 | 悩みを忘れるいい方法。他人のトラブルに首を突っ込んでみるってのは、どう? |
第7話 | イメージはどんどん構築しなきゃ。ただでさえ、端から崩れてくものなんだから |
第8話 | 時間がないときほど、多くのことができる。やってしまう。もちろん、恋だって |
第9話 | 思い出に気の利いたシナリオは要らない。口から出た瞬間、どうせみんなたわ言 |
第10話 | 一人相撲が虚しいのは、一人だからってだけじゃない。観客の目が、痛いんだ |
第11話 | 胸につかえていることを、時は解決してくれない。忘却のラベルを貼るだけで |
第12話 | 縛ること。欺くこと。奪うこと。与えること。どれより辛いのが、待つこと |
第13話 | 器が傾いてるのに、気づかなかった?水はもう一滴も残ってなかったからね |
第14話 | チューニングが合ったためしがない。もっと良好な場所があると思ってしまう |
第15話 | 見つからないものが、まわりを壊す。そこにないから、手の打ちようがない |
第16話 | 小さい頃を想って、恥ずかしさに身悶えすることがある。それに比べれば |
第17話 | バレてほしい嘘がある。信じてほしくないホントウがある。一つずつ、ある |
第18話 | 虫が良すぎるんじゃない?殻に閉じこもってるくせに、閉所恐怖症なんて |
第19話 | 飽きるから次に進めるという。大抵は、進む前にもう飽きてるみたいだけど |
第20話 | 恋愛は理屈じゃない。そう語り合う恋人達は、詩人、評論家、哲学者 |
第21話 | 別れ道まで戻りたいと思う。右にすれば良かったって。後悔だけのそんな道程 |
第22話 | 口べたで悩んでる?目で会話してみるといい、すぐにしゃべりたくなるから |
第23話 | 看病や手料理を期待して、風邪をひきたくなる。後の苦しみは想像もしない |
第24話 | 夜は何もしてくれないよ。色あせるのは太陽のせいだし |
第25話 | 他人が悪い。自分は悪くない。他人だけが悪い。自分だけが― |
第26話 | 僕達は一緒に座っている、一晩中、動くこともなく |
関連動画
関連タグ
表記揺れ・略称等
登場キャラクター
森川由綺 緒方理奈 澤倉美咲 篠塚弥生 河島はるか 観月マナ 七瀬彰
楽曲
その他
WHITEALBUM2 - 本作の10年後を舞台とする作品。
AQUAPAZZA - 本作のキャラクターが出場するアーケード・コンシューマー格闘ゲーム。
QOH - 本作のキャラクターが出場する同人格闘ゲーム。1990年代を代表する同人格闘ゲーム。
ここがあの女のハウスね - 本作のゲーム画像を用いたFLASH動画。続編でまさかの公式ネタ化された。