セルゲイ・ウォン
せるげいうぉん
「何かに似てると思ったが…思い出した、アリンコだ」
CV:小西克幸
概要
アルタイ公国大使館・駐在武官でナギ・ダイ・アルタイの側近である、審議会メンバーの1人。
アルタイ公国陸軍少佐にして、ニナ・ウォンの養父である。
額の傷は反政府組織の鎮圧任務の際、その組織に拘束されていた幼少の頃のニナが発砲した銃弾が当たった場所から飛んで来た破片によるもの。
嘗ては「ノースハウンド」と呼ばれ怖れられたスナイパーで、ナギの兄達の謀殺や表沙汰に出来ない汚い任務に関わっていた。そのため、ナギの側近中の側近に就いている。
冷静で端整な容姿から女性にモテて、本人も女性に一声掛けるのを好むプレイボーイな性格。
終盤では、ワルキューレシステムとハルモニウムを破壊してナギを止めようとする。
それを阻止しようとしたジョン・スミスを返り討ちにするが、背を向けたところをナギに頭部を撃たれ、昏睡状態に陥ってしまう。
しかし、セルゲイを助けるために負荷を承知でハルモニウムを使ったニナにより、記憶を失ったものの一命を取り留める。
その後はニナの介護の下で静養生活を送っている。
当初は、関智一が演じる予定であったがスケジュールが合わず、代役として関氏が主宰する劇団のメンバーである小西氏が推薦されたという経緯がある。
漫画版
本作では、「セルゲイ・オーギュスト」として登場。
アニメ版とは違い、策略家でプライドが高く利己的な野心家であり、他者を自分のための道具としてしか見ていない。
苗字も異なるため、ニナとの扶養関係も無い。
また、アニメ版では楯祐一がオリジナルであったのに対し、本作では全くの別人という設定となっている。
ナギ・ダイ・アルタイの台詞から「アルタイの平民」出身であることが分かる。
故国の軍では少佐の地位に就いていたことから、ナギとも面識があるが、詳細は不明だが非常に険悪な関係でもある。
本編開始時点ではヴィントブルーム王国国軍大佐と宰相を兼任している。
その立場を利用し、王国の経済事情を圧迫してまで軍拡路線を推進している。その影響で街には失業者が溢れ返り、彼らが住むスラムがヴィントの社会問題となっている。
上述の理由から、部下であるタツヒコ・ゴロビッチ・ザイツェフIV世には、ヴィント市民を蔑ろにしている姿勢を疑問視されていた。
【警告】以下、漫画版のネタバレ注意!!
実は、本作における黒幕。
その身体の胸には、【漆黒の金剛石】のマスターストーンが埋め込まれていた。
争いが絶えず、不平等で、不可解で、不確実で、不安定で、不条理で、不公平で、そして不完全な世界に失望しており、力と恐怖による圧制で自分にとって「争いの無い平和な世界」を構築することを目的としている。
自らの野望の手駒として利用すべく、シュヴァルツにも力を貸している。同志名は「S」。
真白姫の秘密を知っており、彼女の双子の兄だったマシロに利用価値を見出した。
そして、真白姫に彼がいたガレリア辺境伯領を攻撃するように仕向け、孤児となったマシロを神学校に入学させ、密かに金銭的に援助していた。
本編開始の数日前、真白姫を傀儡の人形とするべく、自殺するように仕向けた(表向きは真白姫の暗殺)。
後に、真白姫暗殺事件後の混乱を防ぐことを建前にマシロを影武者として仕立てた。
そして、裏でシュヴァルツの末端や自殺した真白姫、更にはオトメの真祖であるフミ・ヒメノを操り人形にしていた。
風華宮での決戦で、マシロ達に対し、惑星エアルが実は地球の成れの果てであること、前作の漫画版におけるラスボスである媛星チャイルド・ヒルコから二つの貴石が生じ、それを「ある男」が求めた結果、この世界は歪んでしまったこと、マシロ達が偽りの歴史を教え込まれていた真実を語った。
マシロと3人のオトメ(アリカ・ニナ・エルス)の合体美力技によりフミ共々敗れるが、消滅間際にマシロに命乞いをして油断させた隙を突いて背後から串刺しにし、『真白なる金剛石』のマスターストーンを奪い取る。
それに【漆黒の金剛石】のマスターストーンを合わせて媛星チャイルド・ヒルコとなり、更にマシロ達との戦いで昇天したMAI・ミコト・ARISSAを除く全てのHiMEの刻印を吸収したことにより、悍ましい魔獣(外見は、HiME達のチャイルドとヒルコが融合したキメラ)へと変貌する。
その力を以て世界を滅し創り替えようとしたが、全てのオトメの力を借りて復活したマシロに倒され、巨悪に相応しい最期を遂げた。
自身の野望のためにマシロを含む多くの人の運命を弄んだ許されざる元凶であるが、彼の台詞には現代社会の不条理に対する不満や皮肉をストレートに当てはめたものが多かった。
マシロも双子の妹であった真白姫を利用した挙げ句フミに殺させたセルゲイの所業に怒りはすれど、道具として利用するためだったとはいえ自身の命の恩人でもあり、資金援助だけとはいえ養父的な存在でもあり、何かが違っていたら自分がセルゲイのようになっていた可能性を考えていただろうことから、複雑な感情を抱いている。
マシロからの最終的な人物評価は、「世界も他人も自分自身さえも愛せない悲しい人」であった。
後日譚の『嵐』では回想にのみ登場。
マシロとセルゲイの最終決戦は「セルゲイの乱」と呼ばれ、セルゲイは「恐怖の大魔王」という忌み名で呼ばれていた。