詳細
名称は、ロシア語で「携帯式対戦車擲弾発射筒」を意味する「РПГ-7:Ручной Противотанковый Гранатомёт(ルチノーイ・プラチヴァターンカヴィイ・グラナタミョート)」の英字綴りである「Ruchnoy Protivotankoviy Granatomet」の頭文字をとった略称。
RPG-7は装薬に点火して対戦車擲弾を発射し、弾体が一定距離進んだ後に弾体のロケット燃料に点火することで更なる加速を生み出し射程と目標への貫通力を高めたロケットランチャーのような兵器である。
後方に発射ガスを逃がして反動を抑制する機能を持つため無反動砲に分類されることもあるが、構造上「砲」の定義に当てはめにくいため、名称によりグレネードランチャーに分類されることもある。
ややこしいので、「RPG」か「対戦車擲弾筒」の名称でカテゴリを独立させたほうがいい気がするが、新型は今後出て来そうにないのでこのままでいいのかもしれない。
同様の構造と特性を持つものに兄弟機のRPG-2、RPG-16、そして先祖であるドイツのパンツァーファウストなどがある。
構造単純、取扱簡便、低製造単価、再装填可能でありながら現代の戦車をも破壊し得る強力な破壊力を兼ね備える優秀な兵器であり、ロシアを中心に旧共産圏の国々が軍に正式配備している。中東やアフリカではこうした多くのコピー品が出回っている。
独特な投射軌道から単純なアイアンサイトでは直撃は難しいが、光学サイトを装着することで命中性を高めることは出来る。
しかし、初期の光学サイトは特定の(要するに米軍の)M48パットンシリーズの車高基準に作られていた上に安価ゆえに粗悪品も多くアイアンサイトで狙う方が確実に当たると言う話もある。
多くのコピー品が存在しているのはソ連が同盟国での製造にはライセンス料の類を徴収しなかったことも大きい。
ソ連崩壊によりロシアになった後はライセンス料が徴収されるようになったが、払う気がなかったり(中国の69式等)、改良を加えることでライセンス料を払う必要をなくしたり(ブルガリアのアーセナル社などの元ソ連衛星国企業)で継続して製造されている。
欠点として、兵器の構造上派手なバックブラストが出て射手の位置が撃った瞬間にバレてしまうことである。
そのため、撃った後、射手は撃った場所から移動しなければすぐに反撃されてしまう。
またこれだけの反動軽減装置を以ってしても発射時の反動はかなりのもので、素人が打てばスコープを頭にぶつけて怪我するレベルである。
2012年、なぜか日本は福岡県北九州市でヤのつく自由業者さんの所から発見された。
…いったいどこにどうやって使うつもりだったのかは未詳である。
その他の「RPG」(一部のみ紹介)
以下を参照すれば分かるとおりソ連(現ロシア)では、ざっくりといえば「爆発する系」の対戦車兵器の形式番号に「RPG」と振られるようである。
「RPG-7」の兄弟
- RPG-2・・・RPG-7の前身的な物、弾頭は推進力を持たないが、発射筒の構造は7に近い
- RPG-16・・・ソ連空挺軍向きに開発されたもので発射筒は分解可能。
無反動砲型
- RPG-18・・・アメリカのM72LAWのような伸縮式使い捨てタイプ。1972年以降はこのタイプが主流。
- RPG-28・・・タンデム弾頭式の使い捨てタイプ。筒の伸縮はしない。
- RPG-29・・・現在、ロシア軍に使われている後装填のもの。標準でタンデム弾頭となった。
- RPG-30・・・タンデム弾頭式の使い捨てタイプ。アクティブ防御に対応するために先行してデコイロケット弾が打ち出される。
手榴弾
- RPG-43・・・対戦車手榴弾(Ручной Противотанковый Граната)。投擲後、バネ仕掛けで露出する成形炸薬弾頭は布製の「尾」によって垂直に落下することで、戦車などに「トップアタック」を行うことが出来る。
フィクションでのRPG-7
かなりの高威力を発揮する兵器として登場することが多いが、RPGの通常弾頭は成形炸薬弾という特殊なもので広範囲への効果はそれほど無い。(成形炸薬弾のエネルギーの8割近くは周囲に散るので爆風や破片である程度の距離までは十分に殺傷能力がある)
基本破壊力は一点集中型であり、その貫通力は内部の炸薬に頼らなくても戦闘ヘリや装甲車の装甲ならブチ抜ける。
当然戦車の装甲も破壊できるが装甲材質の向上により、内部にまで致命傷を与えるには側面や上面などの装甲の「弱い」部分を狙う必要がある。
「ロケットランチャー」の名称で登場することもある。
また見た目もいかにもロケット砲的な、弾頭の露出したわかりやすい形なので、パンツァーファウストと並び漫画などでもよく利用されていることが多い。
が、PG-7L弾頭、所謂HEAT弾頭ではないものはRPGと気づかれないことがある。
弾頭形状の違う周囲の人間を爆圧で殺傷するサーモリバック弾頭や対人用の破片榴弾等、様々な弾頭がある。
ブラックホーク・ダウン等で対空兵器として使われ、撃墜を行っているために対空兵器としても扱える兵器という誤解も広がっている。
もちろん、上に向ければ空に向かって飛んでいくし、威力も対戦車兵器なので当ればヘリだろうが戦闘機だろうが撃ち落とすことはできる。
が、弾道が対地射撃とは異なるために光学サイトの目盛りは参考にならず経験による射撃が必要となる。それでも300mまでが命中の限界といわれている。
要するに、フィクションでは空中の目標にも一撃で当たるのがさも当たり前のように描かれることが多いが、実際は空中を動く目標に当てるのは難しいのである。
貨物輸送で移動速度が遅く回避機動を取ることの出来ない輸送ヘリ、兵員の降下などで静止しているヘリ、離着陸中で機動が制限されている機、等に奇襲的に用いるのが最も現実的、それでも当たるかどうかは五分五分、動いてる目標に対してはまず当てる事はできない。
なお、モガディシュの戦闘でのブラックホークの撃墜は破片効果を狙って空中炸裂するように時限信管にした弾頭で数百発打ちまくった結果の撃墜。
それにしても、まさか魔法少女が持ち出すことになるとはさすがに関係各位の想像を絶したであろうが。
エアソフトガンでのRPG-7
ルール上弾頭を撃ち出すことが出来ないため、コスプレ用の荷物になるかグレネードランチャー用カートを内蔵して単発式の散弾銃のようなものになっている。
変り種ではペットボトルロケット発射機になっているものもあるが、こちらもゲームでは使用不可。
バックブラストの代わりに水が噴出すことになる。
関連イラスト