概要
アメリカで開発された対空機関砲。低空で侵入してくる敵の攻撃機を迎撃することを目的に開発された。
F-15戦闘機などの航空機関砲として知られるM61バルカンをベースとした6連砲身の20mm機関砲と、それを半自動で作動させる一連のシステムからなる。
開発国のアメリカをはじめ、韓国などの西側諸国でも広く運用され、日本でも航空自衛隊が基地防空用に導入した。
M163対空自走砲はVADSをM113に乗せて自走化させたもの。
日本では2021年に空自が運用を止めたため、廃止済み。
逸話
VADS、実は射手用操作パネルの切替スイッチに『GROUND』、つまり水平射による対地射撃モードがある。対空用の20mm機関砲弾を毎分3,000発で水平射撃すれば、生身の敵兵であれば一瞬でミンチにしてしまうだろう。
これを活用したかは不明だが、某空自基地では陸自との警備訓練で毎回やられていた基地警備隊が業を煮やし、侵入者役の陸自部隊にVADSで20mm弾による水平射撃を敢行。もちろん訓練なので実際には撃たないが、レンジャー隊員を含む普通科部隊に壊滅判定を与えたという逸話がある。空自側にとっては心強い味方となったのだろうが、その後VADSは訓練出禁になったとかなんとか(空自側の教育にならないとの理由らしい)。
ちなみにこの話、どうも複数の基地で同じような話があったらしく……
- とあるレーダーサイトでは空自側の軽装甲機動車を奪取した陸自が正面突破を図ろうとした所(この時点で既に話がおかしいが)、正門にVADSが据えられていて「あんなのあるなんて聞いてねぇぞ」と正面攻撃を取りやめる。なお普通に迂回された。
- 千歳基地ではとりあえず指向させするだけで全滅判定を与えられるので無類の強さを誇った。格納庫の陰に隠れても命中判定にされた。
- 全滅判定喰らった陸自側が「ノーカン!ノーカン!」とブーイングの荒らしだった。
- VADSで全滅判定を喰らわされた陸自部隊が、翌年から最優先で狙って撃破したり、対抗のために対戦車誘導弾持ってきた。
- 奈良基地の基地警備隊に警備について聞いたら「VADSで薙ぎ払うからモーマンタイ」とか言われた。
- とある基地でも空自幕僚がVADSの水平射撃を提案したら現場隊員にしこたま怒られて却下された(仮に実戦でやったら周辺市街地への流れ弾甚大になるのは自明のため)。
……などなど、様々な話がある(参照:𝕏️(旧Twitter)での「VADS 基地警備」検索結果)
なお、VADSは基地警備隊ではなく基地防空隊の装備だが、どうやって基地警備に持ち出されたかは不明。いずれにせよ空自はVADSを退役させたため、もはや昔話であろう。