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概要

M163対空自走砲とは、1960年代にアメリカ合衆国で開発された対空自走砲である。

M113装甲兵員輸送車の車体にM61をベースとした20mm対空ガトリング砲VADSを搭載したもの。捜索レーダーは持たず、敵機追尾レーダーのみを搭載している。同じくM113の車体に近距離地対空ミサイルを装備した、M730チャパラル地対空ミサイルシステムと合わせて野戦防空体制を構築するために開発された。

アメリカ陸軍では、後継となる筈だったM247サージェントヨークが量産配備されなかったため、M163はアメリカ陸軍における唯一の自走式対空砲になっている。しかし、現在のアメリカ軍は圧倒的な制空戦力で制空権を確保してから地上戦力を投入しており、低空域目標に対する対空戦闘も軽便なFIM-92スティンガーが担うようになったため、本車のような対空自走砲が活躍することはあまりなかった。1989年のパナマ侵攻では、対空戦闘ではなく地上部隊の支援を目的に派遣された。アメリカ軍での実戦投入は1991年の湾岸戦争が最後となった。

その後、本車は現役を退き、後継の対空自走砲もアメリカ陸軍には配備されなかった。

アメリカ陸軍が再び対空自走砲を装備するのは、2020年代にストライカー装甲車に30mm機関砲やスティンガー四連装発射機を装備させた「ストライカーIM-SHORAD」が開発された後のことである。

イスラエル国防軍では輸入したM163を「M163 Hovet」の名称で運用していたほか、1990年代にスティンガー四連装発射機を追加装備した「M163 Machbet」に改修。一部の車両はトーガ追加中空装甲を装着した「M163 Machbet Vayzata」に再改修された。

韓国陸軍では、M113をベースとした歩兵戦闘車AIFV」のシャーシを流用した国産装甲兵員輸送車「K200KIFV」に、M163と同じ20mm対空ガトリング砲VADSを搭載した「K263天弓」を開発・運用している。

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