映画「翼の凱歌」
操縦士と航空機関士である父親を墜落事故で失った2人の少年が、未亡人となった操縦士の妻の元で義兄弟として育てられ、兄は少年飛行兵を志願して陸軍航空隊の操縦者に、弟は航空機乗員養成所を経てテストパイロットへと成長し、それそまれ開発現場と戦場で活躍する有様を描く。
本作品は陸軍航空本部が後援し、養成所シーンはセットではなく実際の仙台地方航空機乗員養成所が撮影に用いられた。航空機も一部特撮シーンを除き、全て実機が用いられている。また照準器やオイルクーラーなどの機体の細部、エンジン起動から離着陸、アクロバット飛行などの詳細に至るまで描写され、第3の主人公とも言える一式戦闘機「隼」の姿を余すところなく描いている。言うならば本作品は「隼」のPVとも言える作品にも仕上がっている。航空機好きの人々にとっては知る人ぞ知る魅力的な一作。1940年(昭和15年)の映画『燃ゆる大空』、1944年(昭和19年)の映画『加藤隼戦闘隊』と並び、映像資料としても極めて希少性が高い。 終盤の空中戦のシーンではコレヒドールで鹵獲した実機のB-17が「出演」し、撮影に使用された。
主題歌「翼の凱歌」
曲名は映画と同じく「翼の凱歌」。
1942年にレコードが発売された。
A面翼の凱歌
※著作権のうち、歌詞は1992年末に、原曲は2015年末に失効し、パブリックドメインとなりました。よって歌詞とレコード音源を掲載します。
- 1
空を飛ぶ鷲 隼が
風切る翼に力在り
断じてやるぞの魂は
胸に雲より涌き上る
聞けよ爆音 翼の凱歌
- 2
熱と意氣との在る処
空を制して榮へ在り
燃へ立つ希望を 励げますは
吾等一億 民の聲
響け卋界に 翼の凱歌
- 3
鍛へ鍛へし この腕を
示すはこの日ぞ今日の日ぞ
輝き亘れる心こそ
晴れて一線 曇り無し
挙げよ勲し 翼の凱歌
- 4
空を㐧二の故郷と
語りて笑顔に煕り有り
攻めては敵をば粉と為し
迎へ撃ちては霧と為す
謳へ諸人 翼の凱歌