燃ゆる大空とは、1940年9月25日公開の日本の戦争映画、およびその主題歌である。
概要
皇紀2600年記念映画として1938年に製作開始。陸軍省及び陸軍航空本部協力の下、実に947機の実機を用いて撮影した。
大日本帝国陸軍航空部隊の日中戦争における活躍と共に、少年飛行兵たちの成長や戦地での戦いを描く。
キネマ旬報ベスト・テン日本映画第8位。
ストーリー
熊谷飛行学校で教官を務める山本大尉は、元気溢れる少年飛行兵たちを一人前の飛行機乗りに仕立て上げる。
それから2年後の1938年、戦地に赴任した山本は立派な軍人となった教え子たちと再会する。しかしそこで伝えられたのは教え子の一人・田中が戦死したという報せだった。
戦闘機隊に属する行本と山村、爆撃機隊の佐藤ら生き残った教え子は山本との再会を喜び、共に戦地で戦う。
エンジン不調に陥り不時着した山村を救うために行本が強行着陸を試みるなど、戦火は激しさを増していく。
そして敵飛行場爆撃の任務中、佐藤の乗った爆撃機は右タンクに被弾して墜落してしまう。かろうじて無事だった機長の奈良大尉と佐藤は帰還を試みるが、途上で力尽きてしまった。
佐藤の弔い合戦とばかりに敵戦闘機と激闘を繰り広げる行本と山村。しかし敵編隊に取り囲まれ、行本の機が被弾してしまう。
スタッフ
製作:阿部豊
原作:北村小松
脚本:八木保太郎
監修:陸軍航空本部
構成・演出:阿部豊
出演者
山本大尉:大日方傳
行本生徒:月田一郎
山村生徒:大川平八郎
佐藤生徒:灰田勝彦
田中生徒:伊東薫
週番士官:清川荘司
仁礼部隊長:高田稔
大橋軍医大尉:長谷川一夫
能登大尉:龍崎一郎
横田中尉:三木利夫
稲葉少尉:真木順
教官:深見泰三
副官:原聖四郎
戦闘隊:中村彰、社栄一、沢村昌之助、沼田春雄、島壮児、谷三平
奈良大尉:藤田進
爆撃隊:佐山亮、永井柳太郎、大崎時一郎、鉄一郎、大杉晋、木下陽
看視兵:津田光男
戦闘機隊・爆撃機隊の隊員は「中村」、「大崎」など演者の名前そのままで呼ばれている場面がある。
登場兵器
余談
原作の北村小松は東宝ではなく松竹の脚本家。当初北村が書いた原作では従軍映画班のカメラマンが主人公で、飛行隊に助けられたカメラマンが飛行機乗りたちと行動を共にし、最後は爆撃機に便乗するという活躍を見せていた。阿部豊監督の意向によりシナリオは大幅に変更されることになったが、公文書を改変したとして問題になってしまったという。カメラマンも脚本の決定稿までは登場していたが、完成作品には一切登場していない。
また阿部は特撮に懐疑的であったことから極力実景での撮影を試みていたが、「迫力が足りない」として最終的には円谷英一の特撮シーンを追加している。円谷はこの作品で日本カメラマン協会賞を受賞している。
女優が一切出演しない映画は当時としても珍しく、長谷川一夫が軍医役として出演しているのは女性客の集客を考慮したためと言われている。
また当時『燦めく星座』がヒットしていた歌手の灰田勝彦が生徒役で出演している。
主題歌『燃ゆる大空』
本作の主題歌。1940年5月に日本コロムビアから発売された。
明るく躍動感のある歌詞と格調高い曲調から人気となり、また本編内でほとんど流れていないこともあって単独の軍歌として認識されている。
戦後も多くの歌手によるカバー版が制作されている。
『アニメンタリー決断』でもインスト版がBGMとして使用されているが、使用されているのは全て空母から攻撃機が発艦する場面であり事実上海軍航空隊のテーマとして使用されている。
関連タグ
故郷の空:登場人物が口ずさむ場面がある。
ハヤテのごとく!:1番の「騰(あ)がるぞ翔(かけ)るぞ 迅風(はやて)の如く」という一節からネタにされることがある。