あくまでも『大砲』の一種です!
見た目や仕様用途などから
・バズーカ
などとも呼ばれたりもするが、ロケットランチャーやバズーカは(ロケット推進装置をもった)ロケット弾を使用する。
だが無反動砲は(文字通り)装薬の爆発で砲弾を飛ばす大砲の一種であるため、まったく違うカテゴリに分類される。
さまざまな無反動砲
一口に無反動砲といっても、パンツアーファウストやカールグスタフ、AT-4のように個人が携帯できるものから、
- カールグスタフ
60式自走無反動砲やM50オントス自走無反動砲といった車両搭載の大型なものも存在する。
(ちなみに両方とも砲そのものは同じ)
- M50オントス自走無反動砲
変わりだねにはデイビー・クロケットという核砲弾を使用した無反動砲もある。
もちろん核兵器の一種に数えられる。
反動相殺の方法
デイビス式
前に砲弾を飛ばすほか、反動に見合う質量の物体を後方にも飛ばす。
(つまり前後に飛ばして相殺する)
「反動に見合う質量の物体(カウンターウエイト)」には微小なプラスチック片や塩水などが使われ、バックブラストが目立たないという利点がある。
つまり「たとえ室内から発射しても爆風に巻き込まれない」のだが、カウンターウエイト飛散距離は爆炎の到達距離よりも長いので、後方が危険なのには変わりない。
(とくに初期には同質量の金属塊を使う事もあった)
のちにプラスチックや金属の粉末を使うようになって安全性は向上した。
現在の自衛隊で使われている「パンツアーファウスト3」はこの方式である。
クルップ式
『ドイツ式』とも。発射の反動を逆方向の爆発で相殺する方式である。
砲弾発射・反動吸収の両方に装薬が必要で、もちろん余計に必要になる。
パンツアーファウストや、この改良型から発展したRPG-7はこの方法を採用している。
クロムスキット式
クルップ式の改良型で、『砲撃の際に発生した発射ガスをあつめ、まとめて後方に噴出して反動を相殺する』方法である。
砲弾の初速(=威力)は落ちにくいが、やはりバックブラストは盛大なので注意が必要。
他にも砲が複雑になるので、どうしても大型になってしまうのも欠点である。
106㎜無反動砲M40などが有名。
無反動は危険!
クルップ式・クロムスキット式は高温高圧のバックブラストを盛大に噴出するので、
・後方にいたために吹き飛ばされた
・発射ガスをモロに吸い込んで死亡する
といった事故も起こりうる。
また、いくら安全性が高いとはいえ、デイビス方式でもカウンターウエイトが勢いよく飛んでいくので
・室内のものが飛ばされて射手に当たる
・部屋の壁でカウンターウエイト(もしくは一部)が跳ね返り、射手に当たる
といった事故も考えられる。
どの方式をとるにせよ、(とくに閉所での)後方の安全確保は注意が必要である。
もちろん、
大量のバックブラストは敵に居場所がバレやすい
という事でもあり、『撃ったらすぐ逃げる』のは基本戦術となる。
もっとも、これに限らず無反動兵器の類はたいてい後ろが危険だったりするのだが。
ちなみに
クルップ式無反動砲の一種にRPG-7を挙げたが、これは正確にはグレネードランチャーの一種である。
(ロケットブースター付対戦車擲弾発射器)
パンツアーファウストの『射程が短い(およそ30m)』という欠点を補うため、RPG-7では砲弾後部にロケットを追加している。
無反動砲のように発射され、その後でロケットに点火することで射程の延長に成功。
最新モデル(RPG-7V2)では550~700mまでが有効射程となっている。
いちおう他にも『発射を炸薬で行い、推進をロケットで行う』ものは多いため、無反動砲として扱ってもそれほど問題はない。しかし、たまに年季の入った軍オタが猛烈に突っ込んでくることもあるので、そのあたりは注意したほうがよい。