概要
無反動砲の一種。
大掛かりな筒にあらかじめ弾頭がセットされた状態で出荷されそのまま使用する。どちらかといえば発射器付きの対戦車弾であり再装填は出来ない。
無誘導弾で照準器も通常は単純な照星と照門を備えるだけ、間違いなく旧ドイツ軍のパンツァーファウスト先輩の遺伝子を持っている対戦車兵器。
運用としてはカール・グスタフの軽量廉価版である。
こちらは一発きりの使い捨てであり、射程でもやや劣っているものの、カール・グスタフ一つ分のコストでAT4を一個分隊に配布できる。
重量面でもカール・グスタフの改修により差が縮まってはいるが、こちらの方が明らかに軽量である。
現行のモデルはレイルシステムを装備し、様々な光学機器が取り付け可能で、ナイトビジョンを搭載すれば夜間でも正確な照準が可能となる。(とはいえゼローイングなどは行えないので、望遠や暗視といった視覚補助機器や、素早い照準を目的としたリフレックス・ホログラムサイトの取り付けが主)
ゴミは持って帰りましょう
使い捨てという言葉のイメージから、発射済みのチューブはその場に放棄されるイメージがあるが、実際にはよほどの緊急時でなければ持って帰る。
M72同様にM136は一部部品の再利用が可能というのもあるが、最大の理由はIEDとブービートラップ対策。
IEDの運用で一番難しいのは擬装や隠匿である。道端に圧力鍋が転がっていたり、昨日までなかった場所に車が止まっていれば明らかに不自然であり、遠くからでも容易に発見し警戒できる。
だが兵士が放棄するAT4ならば、戦闘が起きた場所ならどこに転がっていてもおかしくない。これをあらゆる兵士がそこら中に捨てていくと言う事は、戦場のどこにでもIEDを紛れ込ませ放題と言うことになる。
また、ブービートラップの材料やスイッチとしても使用できるため、
放棄されていたものを回収のためにと持ち上げたら筒の中から安全ピンの抜かれた手榴弾がポロリ、
トリップワイヤーに触れてしまったら偽装して宙吊りになっていたAT-4の中から複数の手榴弾がぽろぽろと、
AT-4自体には何もなくとも繋がれたワイヤーを介して爆弾の信管が作動したりAT-4という重しがなくなった事でトラップが作動、といったトラップに利用できる。
そんな状況が軍として望ましいわけはなく、使用済みであっても極力持ち帰る必要がある。
名称と由来
口径は84mmでそこからAT-4(エイ・ティ・フォー)と名づけられた。本当に偶然だが対戦車(AntiTank)の省略表記もATである。多少は狙ってたと思う。
アメリカ陸軍での名称はM136。
識別帯の色により弾頭の種類が分かるようになっている。
携行型歩兵用無反動砲の常として強力なバックブラストがあり本機も例にもれず盛大な噴煙を上げていた。
おかげで後方の広範囲が危険に晒されるのみならず、狭所で使用すれば射手自身も負傷する恐れがあった。
特に市街戦では不便であったため、塩水を噴き出すことで反動を相殺するCS(Confined Space=限定空間)型が作られた。後方の危険範囲を減少させ、また狭所での使用を可能にしている。
外見はごつい書類筒にしか見えない。