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38(t)戦車の編集履歴

2013-05-04 01:37:03 バージョン

38(t)戦車

さんはちしきちぇこせんしゃ

チェコ軍向けに開発されたが、完成するころにチェコはナチスドイツに併合されてしまった。完成車はドイツ軍で使用され、その後も自走砲の車台に活用された傑作軽戦車。

解説

プラガ社がチェコ陸軍向けに「LT-35」の後継軽戦車として開発し、1938年に「LT-38」の名称で制式化された。その後、チェコ陸軍はプラガ社に150両を発注した。

しかし、1両の完成も見ることなく1939年3月にナチス・ドイツによるチェコ併合を迎えることとなり、未完成だった150両のLT-38はドイツ軍により完成され、「38(t)戦車A型(PzKfpw.38(t)ausf A)」として制式採用された。

併合後も生産および改良が続けられ、1939年9月のポーランド侵攻から1941年6月の「バルバロッサ作戦」初期まで、アフリカ戦線以外でドイツ軍主力として活躍した。しかし、ソ連の新型戦車T-34に対抗することができず、徐々に前線から引き上げられ、戦車としては1942年6月に生産が終了した。


その後は、自走砲台専用車両として生産が続けられ、対戦車自走砲自走歩兵砲対空戦車駆逐戦車などが作られ、終戦まで活躍した。(これらの中には前線から引き上げられた車両を改造したものもある)


バリエーション

  • A型:無線機がドイツ軍仕様に変更された以外は、チェコ陸軍向けLT-38と同じ。
  • B/C型:操縦手前面装甲板の形状が違う以外はA型と同じ。B型とC型は生産時期の違いのみ。
  • D型:砲塔回転基部に破片防御用リングが導入された。
  • E/F型:ポーランド侵攻の教訓から車体前面装甲を25mm厚装甲板2枚重ねに強化。砲塔両側と戦闘室上部両側面の装甲も強化されている。また、リベット止めの一部を溶接に変更。E型とF型は生産時期の違いのみ。
  • S型:スウェーデン軍向け。チェコ併合より前にスウェーデンがLT-38を90両発注していた。しかし、併合により生産途中の90両はドイツ軍によって接収されてしまった。基本はA型と同じ。
  • G/H型:G型でさらに防御力が強化された。前面装甲が50mmの一枚構成になり、溶接箇所も格段に増やされた。H型はG型と同一車体で、エンジンが強化され自走砲向けに生産された。
  • K/L/M型:自走砲専用車両として、再設計された型。エンジンを車体中央部に移設し、砲を車両後部に搭載することでバランスを良くした。K/L/M型の違いは、搭載される砲の違いのよるもので、基本は同一型。

主な派生型

  • マーダーIII:砲塔と車体前部上面を撤去した38(t)戦車の車体に、75mm対戦車砲またはソ連から鹵獲した76.2mm砲を搭載した対戦車自走砲。38(t)戦車の車体を改造したH型と、専用車両を使用したM型がある。
  • グリーレ:150mm重歩兵砲を搭載した自走歩兵砲。38(t)戦車の砲塔と車体前部上面を撤去、改造したH型と、専用車両を使用したK型がある。
  • 38(t)対空戦車:自走砲専用車両の後部にオープントップの戦闘室を設け、20mm機関砲を搭載したもの。これに使用された専用車両はL型。
  • ヘッツァーII号戦車L型「ルクス」との競争に敗れた「新型38(t)戦車」のパーツを流用して開発された駆逐戦車。主武装は長砲身型のIV号戦車と同じ75mm砲/L48を装備していた。

38(t)のあゆみ

LT-35の後継型

1938年、のちの38(t)戦車こと「LT-38」は、チェコ軍の新型戦車として完成した。

この戦車は前作「LTvz.35」から足回りの設計を改善した型で、特にサスペンションなどは完全新規設計となっている。


だが翌年、ミュンヘン会談においてナチスドイツチェコ(とくにズデーテン地方)を併合する事とされてしまった。よりによってチェコの意見など一切無視で。

この成功によりヒトラーは『戦勝国などたいした事はない。連中は腰抜けだから「戦争するぞ」と脅せば何でも言うとおりにする』と増長し、のちのホロコースト、ひいては次なる戦争を引き起こす要因になるのだが、この時点では(チェコ以外の)どの国も『これで戦争は回避された!平和を守ったのだ!』と喜びに明け暮れていた。


LT-38から38(t)へ

さて、完成直後に国家を失った38(t)である。

ナチスドイツは1940年に生産会社「CKD社」を接収し、「ボヘミア・モラビア機械製造会社(BMM社)」として再出発させる。


これに伴い、続々と生産中だったLT-38もドイツ戦車「38(t)」として採用が決まる。

多少古臭い設計だったにしても、その性能は「攻撃力、防御力は互角、走行性能は38(t)が有利」という、初期のIII号戦車と比べても遜色ない性能だった為である。


これにドイツ規格装備(無線機など)を取り付け、さらに砲塔の乗り組み員を増やした。

38(t)戦車は数のそろわないドイツ戦車を補い、戦力を補った。

その高い戦闘力は電撃戦の立役者にもなっており、ポーランドフランスソ連の戦場を駆け回っている。


軽戦車の限界へ

だが、その性能も1941年には旧式化していた。

「バルバロッサ作戦」ではソ連のT-34KV-1には歯が立たなかったのである。

それでも戦車の不足はどうしようもなく、ナチスドイツは38(t)を生産し続けた。

戦車としては通用しなくても、せめて自走砲などの改造ベースにはできると考えたのだ。


最初に完成したのが「7.62cmPaK36(r)対戦車砲搭載38(t)対戦車自走砲」ことマーダーIIIである。

この砲の原型は大量鹵獲されたロシア製のF-22型76.2mm砲で、もちろん優秀な性能を誇る。

ナチスドイツはこれを基に自国製の砲弾や照準器を使えるように改造した。

初陣は1942年の春で、以降ソ連やアフリカで活躍している。


性能諸元(B/C型)

全長:4.61m

全幅:2.14m

全高:2.4m

重量:9.5t

エンジン:プラガ EPA 直列6気筒水冷ガソリンエンジン 125馬力

速度:最大42km/h

装甲:8〜25mm

武装:3.7cm KwK38(t) L/47.8 1門 7.92mm MG37(t) 2丁


登場作品


関連タグ

戦車 自走砲 駆逐戦車

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