概要
独VWグループやルノー・日産・三菱アライアンスと並ぶ世界最大クラスの自動車メーカー。
本社は愛知県豊田市トヨタ町1。スローガンは「START YOUR IMPOSSIBLE」。本拠地である豊田市の市名はトヨタに由来しており、一企業の名前が市名になるというのは全国的にも稀である。豊田市の名前が有名なため勘違いされがちだが、創業は豊田市ではない(そもそもグループ創始者の豊田佐吉自身静岡県出身だったりする)。
2019年に日本企業としては初の売上高30兆円に達しており、単体でも名実ともに日本最大の企業である。その財力の規模から「トヨタ銀行」とあだ名されることもある。豊富な資金力から先進的技術の開発に積極的であり、ハイブリッドカーや燃料電池車を中心にエコカーの分野でも先駆的技術を多く持つ。
「販売のトヨタ」と呼ばれ、日本国内のシェア33%、世界販売でもブランド単独では1位と、個人・法人問わず販売力の圧倒的な強さに定評がある。日本国内の最量販クラスである軽自動車の販売には力を入れていない(ダイハツのOEMのみ)ため台数ベースではさほどでもないが、高価格帯になるほどトヨタのシェアは圧倒的になるため、利益率では軽自動車に強いホンダ・スズキを突き放している。2020年にはついに日本国内における登録車(軽自動車を除く乗用車)の過半数がトヨタ車になった。
トヨタは特定の旧財閥系には属さないが、経営者が三井グループの社長会である二木会メンバーであることから、三井系に属するとされることがある。トヨタは三井住友海上火災保険が主要株主の一つであり、海外での成功は三井グループの三井物産の功績によるところが大きいが、同じく二木会に加わっている東芝と同様、歴史的には三井系企業とは言い難い。
一方、住友系とは長く確執があった。1950年のトヨタの経営危機の際、取引を打ち切ってさっさと資金を引き上げていったのが住友銀行だった(実は三菱銀行も再建策に消極的だったが、取引打ち切りまでには至らなかった…が、そのことが原因で三菱UFJ銀行となるまで、取引は大幅に縮小してしまった)。結局トヨタは泣く泣くリストラを行い、その責任を取って創業者も社長辞任(その2年後に死去)に追い込まれてしまった。このときの支援が縁でトヨタは三井との関係を深めることになるのだが、逆に住友は事実上トヨタ出禁を喰らうことになった(出禁が解除されたのは三井住友銀行発足からである)。…それだけでなく、住友はトヨタの強い東海地区で伸び悩むことになった(三井住友銀行豊田支店は旧三井→さくら銀行系である)。この話にはさらなる後日談があり、プリンス自動車の経営危機の際、住友はトヨタから痛烈な仕返しを受ける羽目になっている。
他メーカーとの関係
デンソー、アイシン精機、アイシンAWといった部品メーカーをはじめ、日野自動車、ダイハツ工業、SUBARUといった自動車本体のメーカーを多く傘下に収めているほか、マツダ、スズキ、いすゞとも資本提携を行う関係にある。
系列企業以外では、浜松市を拠点とするヤマハ発動機およびスズキとの関係が特に深い。ヤマハとは2000GTやLFAの共同開発で知られ、ヤマハはトヨタのいくつかの車種にエンジン供給を行っている。スズキとは創業者同士が同郷である縁から「スズキが困った時には助けてあげるように」が豊田家の申し送りになっているといい、実際にトヨタの資金援助でスズキは1950年の経営危機を乗り切った歴史がある。また、3社とも自動車と並んでマリン製品も手掛けており、住宅業界との関わりもある(トヨタホーム、スズキハウス、ヤマハリビングテック(現トクラス))。ヤマハ、スズキとも二輪車メーカーだが、トヨタも1950年代にはスズキやトヨモータース(トヨタからスピンアウトしたオートバイメーカー)のバイクを販売していたことがある。なお、トヨタは2000年代の一時期電動アシスト自転車「ラクデス」を販売していたこともあるが早々に撤退した。
日米貿易摩擦が政治問題化していた1984年にゼネラルモーターズとの合弁でアメリカ合衆国カリフォルニア州にNUMMIを設立、2009年まで生産を行った。2010年にNUMMIの工場は米国の電気自動車メーカーテスラモーターズに移管されたが、この縁でトヨタは2017年までテスラ株を持っていた。
このほか、2020年にパナソニックと車載型蓄電池の製造会社「プライムプラネットエナジー&ソリューションズ」(PPES)を設立した。両社はミサワホームを合わせた3グループの住宅事業の統合を目指している。
車種の特徴
現行の自社生産車種はスポーツカーからピックアップトラックに至るまで非常に幅広いが、世界的な売れ筋を見ると、特に中上級クラスのセダンと本格的なSUVを得意としていることが分かる。代表的な車種としては、歴史の長い順にランドクルーザー、クラウン、ダイナ(現行は日野デュトロのOEM)、カローラ、ハイラックス...となる。
厳格な品質管理により優れた耐久性で知られ、特に発展途上国ではトヨタブランドに絶大な信頼がある。東南アジアや中東、中南米では大昔のトヨタ車が多数走り回っているところもある。「トヨタは壊れないが退屈」というイメージを抱かれがちだった先進国へのてこ入れのため、1980年代以降スポーツモデルの自社開発、レクサスなどの高級ブランド化戦略を推し進め成功を収めた。2017年にはスポーツカーおよびチューニングカーブランドのGRを立ち上げ、OEMや共同開発を駆使しつつ、GRスープラ・86・コペンGR SPORT、ヴィッツGRMN・GRヤリスなど趣味性の高いスポーツカー開発にも力を入れている。
近年は4代目プリウス以降で「TNGA(Toyota New Groval Architecture)」という思想を導入。設計から生産までの全般に渡る大改革を行っている。
販売チャンネル
トヨタは2020年にレクサス以外の全店舗で全車種を取り扱うようになるまで、日本では最後まで多チャンネル展開を行っていた。店舗によってターゲットとする客層が違っていたため、非常に高い販売力を持っていた。
- トヨタ店:主に法人向けや高級車を取り扱う。主な取扱車種はセンチュリー、クラウン、ランドクルーザーなど。救急車も専売で取り扱っている。店舗の看板は臙脂色に「TOYOTA」。
- トヨペット店:主にシニア向けの車種を取り扱う。元はトヨタ店から分かれたチャンネルで、歴史的経緯から大阪ではトヨタ店とトヨペット店の専売車種が他の地域と違っている時期があった。主な取扱車種はアルファード、プレミオ、ハイエース、マークXなど。教習車も取り扱っている。店舗の看板は緑色に「TOYOPET」。
- カローラ店:ファミリー向けの車種を主に取り扱う。もともとの名前はトヨタパブリカ店で、後にカローラ店に改称した(ただし宮城県のトヨタカローラ仙台はさらにトヨタオート仙台→ネッツトヨタ仙台に転換)。主な取扱車種はカローラ、パッソ、ノアなど。店舗の看板はオレンジに「COROLLA」。
- ネッツ店:若者向けの車種を主に取り扱う。元はトヨタオート店で、後にトヨタビスタ店が統合される形で新生ネッツ店となっている。主な取扱車種はヴィッツ、ヴォクシー、ヴェルファイアなどで、専売車種は「N」をかたどった専用エンブレムを装備していた。店舗の看板は青に「Netz」。トヨタオート店時代にはスプリンター、スターレットなどを取り扱っていた。
- トヨタモビリティ店:2020年以降に登場した店舗ブランド。東京地区で先行して展開され、全国での併売化後には既存のディーラーでもこのブランドに改称する店舗があらわれている。レクサス以外のすべてのトヨタ車を取り扱っているが、救急車、教習車については旧トヨタ店やトヨペット店でのみ取り扱うなどかつてのチャンネルの名残も感じられる。看板は白地にトヨタマークと赤文字の「TOYOTA」で統一してあるが、それ以外は特に統一されておらず、店舗によって見た目が多種多様になっている。
- レクサス店:レクサスブランドの車を専門に取り扱う。店舗の看板もトヨタマークを掲げておらず、レクサスのマークを掲げて「LEXUS」とだけ書いてある。取り扱い車種は看板に掲げていない。実はレクサス専門の販売会社はなく、運営している会社は一般のトヨタディーラーの運営会社である(そのため、通常のディーラーからスタッフがレクサスに異動することもよくある。例を挙げると、豊田市にはレクサスの店舗は2つあるが、レクサス挙母はトヨタ店系列の愛知トヨタ、レクサス豊田土橋はトヨペット店系列の名古屋トヨペットがそれぞれ運営していて、すぐそばに愛知トヨタや名古屋トヨペットのディーラーがある)。
- トヨタディーゼル店:1957年から1989年まで設置。4トントラックや中型バス、マイクロバス、ランドクルーザー、ダイナ(トヨタ店と併売)を取り扱っていた。ただ、4トントラックや中型バスはいすゞ、日野、三菱日本(ふそう)、民生デイゼルの厚い壁に阻まれ、売れ行きなどがはかばかしくなかったため、後にトヨタカローラ店に転換するか、解散に追い込まれてしまった。しかも存在する地域がものすごく限られていた(ため存在しない地域では4トントラックや中型バス、マイクロバス、ランドクルーザーはトヨタ店扱い)。
- トヨタビスタ店:1980年から2004年まで展開。2004年にネッツ店に統合された。やや実験的な店舗で、ショールームをメインにしたり日曜日も営業していたりと今では当たり前のスタイルをいち早く取り入れていた。沖縄県には店舗が無かったため、ビスタ店専売車種は他の店舗で扱っていた。主な取扱車種はビスタ、ターセル、クレスタなど。現在はレジアスエースのハイエース統合で、かつてのビスタ店専売車種はラインナップから消えている。
モータースポーツ
モータースポーツ分野でも幅広い活躍を見せている。
日本メーカーでは初めてWRC、スポーツカー耐久の世界選手権(WEC)、CART(現インディカー)、インディ500、NASCARカップ戦、パイクスピークでチャンピオンになっている。
特にNASCARはアメリカメーカー以外では現在に至るまで唯一の優勝経験を持つ。
また2018年には待望のル・マン24時間レース、2019年にはダカール・ラリーも制して見せて大願成就を果たした。
ただしF1に関しては予選最高1位・決勝最高2位で、優勝経験がない。
また86やヴィッツ/ヤリスなどを用いたワンメイクレース、1日開催の「ラリーチャレンジ」などのグラスルーツ(草の根)のカテゴリの振興も手広く行っている。
2015年以降のワークスチームは「TOYOTA GAZOO Racing」を名乗り、一般向け市販乗用車の開発においてもサーキットやラリーでのデータを重視するようになった。
これまで販売された主な車種
軽自動車
ピクシスシリーズ
それ以外
ハイブリッド
プリウス/プリウスPHV
UNDER 1500cc
タンク/ルーミー
XP型車(ヴィッツ系列)
ヴィッツ
1500 to 2000cc
E型車(カローラ系列)
カローラ(カローラアクシオ)
カローラランクス/アレックス/オーリス/カローラハッチバック/カローラスポーツ
A型車(FR世代)→T型車(FF世代)
カリーナ/コロナ
アリオン/プレミオ
クラウンセダン(クラウンの名がついているが、こちらはビジネスセダン)
2000 to 3500cc
マークⅡ/マークX/チェイサー/クレスタ/ヴェロッサ/クレシーダ
マークXジオ(駆動方式からして違い、名前以外マークXとの関連性はない)
ブレイド(※オーリスに2400cc/3500ccを搭載し高級志向にしたモデル)
3500cc OVER
ダイナ/トヨエース(2トン-4トン積み)