「どうか加瀬さんが…わたしのことを好きでありますように…!」
概要
『山田と加瀬さん』もしくは『加瀬さんシリーズ』と総称されている漫画。
百合アンソロジーコミックの『ひらり、』にて連載されていたが、2015年からは『ウィングス』『webウィングス』に移籍。現在は『山田と加瀬さん。』というタイトルで連載されている。シリーズ第9巻まで発売中(2024年4月現在)。
どこにでもいる内気な女の子と、誰からも好かれる人気者で陸上部のエースの女の子との純愛を描いた青春漫画。
各巻のタイトルは「○○と加瀬さん。」で統一されており「あさがおと加瀬さん。」は単行本第1巻のタイトルでもある。
物語
主人公の山田結衣は、園芸が好きな大人しい女の子。通っている高校では緑化委員として熱心に活動しており、夏休みが始まる少し前のこの日も花に水を与えに中庭に来ていた。
するとそこでは、隣のクラスの人気者で陸上部のエースである加瀬友香が、山田が植えたあさがおに水を与えていた。
あさがおをきっかけに話し合えた加瀬に、山田は徐々に惹かれるようになって行くが、女の子同士だからとその想いを胸に秘めたままにする。
しかし加瀬も、直に話し合う前から山田のことを気にかけており、夏休みに入っても山田に会いたいと想うようになる。
実は両想いだった2人は、この出会いをきっかけに親交を深めて行く。
登場人物
初登場時は高校2年生。部活には通っていないが、学校では緑化委員として休日でも熱心に活動している。
人見知りをするタイプで、男女問わず関わりの薄い相手との交流が苦手な子。
「山田」というどこにでもいるありふれた名字が苦手なようで、特にどんくさいという偏見を持たれるのを嫌がっている。
髪は整っているが、驚いたり戸惑ったりするとたまに癖毛のように頭に双葉の植物が生える表現が見られる。
隣のクラスの加瀬に強く惹かれており、後に正式に付き合うことになる。
内気な性格のせいで思い悩むことが多いが、加瀬のことが絡むと急に大声を出すような大胆な行動を取ることも。また、加瀬に匹敵するほど嫉妬深い一面もあり、しばしば拗ねてしまう一幕が見られる。
高校卒業後は加瀬を追うように上京。花仙女子大学に入学し、園芸について勉強している。園芸に関するバイトや部活動に励み充実した日々を送る。
その一方で、加瀬と会う時間が限られ寂しい気持ちや、寮で共同生活を送る加瀬の仲間への嫉妬心を募らせ思い悩むことも増えた。
しかし少ない空き時間を利用して加瀬に会いに行ったり、予定が合えばデートに出掛けたりと着実に仲は深まっており、状況に応じて加瀬を「ともかちゃん」と呼ぶこともある。
初登場時は高校2年生。加瀬さん。陸上部短距離走のエースで、100m走で12秒台を叩き出す実力を持つ。
ボーイッシュで、山田曰く「男の子よりかっこいい」雰囲気の女の子。
一方で恋愛には初心だったり、時には嫉妬に駆られ思い悩んだりとかなり乙女チック。時には山田を性的な目で見てしまうことも。
直に話すようになる前から山田のことを気にかけており、緑化委員として活動している山田をずっと見つめ続けていた。
その想いは無事に実ることになるが、山田に関心を持つ男子に敵意を向けたり、山田が他の誰かに取られやしないかいつも心配していたりするなど、どこか愛が行きすぎな面を持っている。
高校卒業後は東京にある日京体育大学へ進学。
1年生の間は寮生活を義務付けられており、練習や行事の忙しさもあって山田となかなか会えずヤキモキする毎日を送っている。
しかし事あるごとに山田の住むアパートを訪問したり、ペンダントを贈ったりするなど着実に仲は深まっており、状況に応じて山田を「ゆい」と呼ぶこともある。
- 三河(みかわ)(CV:木戸衣吹)
初登場時は高校2年生。テニス部所属。高校時代からの山田の親友。ファーストネームは不明で、山田からは「三河っち」と呼ばれている。
サバサバ系女子といったところで、クラスのムードメーカー的存在。
山田が加瀬と付き合っていることを知りながらも、女の子同士であることを特に咎めもしない、山田のとても良き理解者でもある。
高校卒業後は都内の専門学校へ進学。ことあるごとに山田や加瀬とも交流を続けている。
上京2年目になるにあたり、あろうことか山田と加瀬が自分の住むアパートの隣の部屋に引っ越してきて同居を始め、そのイチャイチャぶりに毎日呆れさせられることになる。
- 井上茜(いのうえ あかね)(CV:寿美菜子)
陸上部所属で加瀬の1学年上の先輩。
加瀬の加入で自身がレギュラーから外されることになるが、そのことを妬みもせず自身の力不足と認めており、運動部として強い心を持っている。
高校卒業後は東京に進学。後に加瀬も茜の学校の進学を目指すことになる。噂では「加瀬さんの元カノ」らしいが…?
- 相川まお(あいかわ まお)
加瀬とは同学年だが別の高校の女子高生。
陸上部に所属しており、中学時代から加瀬を一方的にライバル視しているが、なかなか顔も名前も覚えてもらえない。
実は加瀬から志望校を訊き出しそれに合わせて進学する高校を選んだのだが、肝心の加瀬が家から近い別の高校に変更し進学してしまったという事情がある。
高校卒業後は今度こそ加瀬に合わせて日京体育大学へ進学。加瀬と交流を深めたいと考えているが、恥ずかしさを感じなかなか踏み出せずにいる。
- 吉村華(よしむら はな)
山田が進学した大学で出会った同学年の女子大生。
山田とすぐに意気投合し友人となった。山田からは「ハナちゃん」と呼ばれる。
実家の花農家を継ぐため熱心に勉強中。
- 深見香織(ふかみ かおり)
加瀬が進学した大学の寮のルームメイト。
自由奔放な言動が目立つ加瀬にしばしば振り回される。加瀬と仲のいい「友人」である山田にはあまりいい感情を持っていない。
とある事情から他人とは壁を作り、自分からも他人のプライベートに踏み込まないようにしている。
ルームメイトとして、友人として、短距離走のライバルとして、分け隔てなく接してくれる加瀬にいつしか惹かれていく。加瀬が友人(山田)と同居するため退寮すると聞き、それを阻止しようと加瀬に短距離走の勝負を挑む。
アニメーションクリップ
2017年5月7日に短編アニメーション映像「キミノヒカリ」がYouTubeにて公開。
およそ5分ほどの本編で音声はなく、イメージソングである奥華子の『君の笑顔(album ver.)』をBGMに2人の出会いから始まる物語をダイジェストに描いている。
OVA
あなたの隣では 世界が咲いて見えました。
2018年6月9日から期間限定で劇場公開。監督は佐藤卓哉。上映時間は58分。
タイトルは『あさがおと加瀬さん。』であるが、内容は単行本の第2巻から第3巻までの物語が綴られている。
山田たちが高校3年生となった頃の時系列となっており、そのため新学期が始まり「私と加瀬さんはこの春から付き合っています。」と言うところから物語が始まる。
主題歌はかの有名な川嶋あい(I WiSH)のデビュー作である『明日への扉』のカバー曲。
山田役の高橋未奈美と加瀬役の佐倉綾音によるデュエット曲となっている。
主題歌