概要
本をきっかけに知り合った伊理戸水斗、綾井結女の中学生カップル。
交際関係は1年半に及んだものの、最後の半年ほどで一気に冷え込んでしまい、卒業式にあえなく関係解消。しかし、本当の修羅場はそれから2週間後だった……
奇しくも互いの親が再婚するという巡り合わせに遭い、同棲生活を余儀なくされる。さらに進学先まで被っていた事実が判明し、公私ともに顔を合わせる日々となった。
そもそも本心から嫌いになったわけではなく、かつての思い出を馳せる時間もなかったため、お互いが否応なしに意識してしまう。それでも関係を維持すべく「『ただのきょうだい』から逸脱した方が一日弟／妹(※)」というゲーム(という名のマウント合戦)をするように取り決める。
(※)同日生まれ。後に生まれた病院まで同じで、親同士もその頃からの知り合いで、再婚の理由もそこにあったことが明かされた。
破局理由
端的に言えば、単純なコミュニケーション不足が原因である。
回想シーンでひたすら思い込み、過度な期待をそれぞれ抱いていた様子が描写。物語序盤は「その際、互いにどう思っていたのか？」が焦点になっており、事後になって発覚するシーンが散見。
事の発端は、3年生に進級した直後。人見知りだった結女に友人ができ、話題が「結女の友人」ばかりになっていく。これに嫉妬して苛立ちを覚えた水斗は、「君の友人に興味はない」と強い口調で責めてしまう。この件に関しては、水斗がすぐさま非を認めて謝罪したものの、依然わだかまりが残る結果となった。
後日、水斗が見知らぬ女子と仲睦まじくする場面に遭遇。結女は「いつもの場所を奪われた」と思い込んでしまい、水斗のことを激しく責めてしまう。これが決定打となり、カップル間に亀裂が生じる。
さらに性交渉の寸前にまで至ったものの、互いに臆して何もなかった経緯がある。この際も「彼氏が親不在の中夜間に彼女を自宅に誘う」というシチュエーションだったため、揃って「そういう行為に至るだろう」と思っていたものの、前もって意思確認は交わされていなかった。結果二人とも緊張しきってしまい最後はガチガチになっていた結女を見かねて帰宅させるという結果に終わった。
この件について水斗は「先走って綾井を怖がらせた」、結女は「伊理戸くんにそのような意図はなかった」とそれぞれ認識。二人の意思そのものは合意できていたにもかかわらずそれを確認しなかったというべきで、お互いその気だったことが分かったのはきょうだいになってからであった。
他にも理想や期待で互いにフィルターをかけていたことは当人も理解している(曰く「解釈違い」)。
「ふたりピノキオ」の歌詞とED映像はこの事実を結女が追体験する内容になっている。
作中経過
きょうだいとして、家族として
未だ冷め切らぬ好意と別れた負い目、そして家族としても芽生えつつある情が複雑に絡みながら、かつては知らなかった素の互いの姿を知り、相手への理解はむしろ以前よりも深くなったことできょうだいとしての関係も一応の落ち着きを得た。
そして夏休みに水斗の実家を訪れたことで彼のルーツと前年の夏祭りに彼が現れなかった理由に触れた結女は、ついに自身の想いに折り合いを付けるに至り、"彼の心に未だ残るかつての自分を超える"ことを決意する。
