概要
1980年(昭和55年)10月28日、講談社より上下巻の単行本として刊行された。
野間文芸新人賞受賞作品。
当時起こったコインロッカー幼児置き去り事件を題材とし、生後間もなくコインロッカーに捨てられ、その後蘇生したキクとハシによる、都市への復讐を描いた小説である。
1981年(昭和56年)8月、FM東京にてラジオドラマが放送され、2016年(平成28年)には舞台化作品が上演された。
主な登場人物
キク(関口菊之)
主人公の少年。1972年(昭和47年)7月12日、駅のコインロッカーに遺棄された。棒高跳びが得意。
ハシ(溝内橋男)
1972年(昭和47年)7月19日、国電根岸線の関川駅コインロッカー三〇九番に遺棄される。歌の才能をミスターDに見出された。
アネモネ
数社と契約を結び、モデルとして働いている少女。
ガゼル
キクたちが引き取られた西九州の島の廃墟に住む男。1987年の夏、オートバイで崖から転落死した。
タツオ・デ・ラクルース
薬島に住むフィリピン人の少年。セブ市から1969年に来日したバンドマンとダンサーの父母から1971年の冬に生れた。
ミスターD
ハシのスポンサー。レコード制作会社を経営している。同性愛者で、清掃会社のアルバイトをしていたハシを見つけて買春した際、彼を見込んで歌手として送り出した。