概要
作中でもたびたびそれを意識した演出がなされている。
影山は中学時代「北川第一のコート上の王様」と名を馳せており、多くの他校生には影山が実力者であることから恐れられつけられた異名として広まっている。しかし、この異名は北川第一のチームメイトによってつけられたもので、実は「自己中な王様、横暴な独裁者」という意味合いを込めて独りよがりなプレースタイルをチームメイトが皮肉ったものであった。
そのため、本人はこの二つ名で呼ばれることをひどく嫌っている。
ちなみに、彼の中学時代の先輩である及川は、この呼び名から「影山の先輩=王様より上=大王様」という連想のもと日向に「大王様」と呼ばれている。その名に相応しい実力者である。
また彼も影山が「コート上の王様」と呼ばれてるのを聞いた時は「誉れ高い」と思っていたが実際の試合を見て意味が違うことを理解した。
烏野に進学後、チームプレイを意識するようになっていく影山は「独裁の王様」から脱するようになり、単行本8巻の表紙では「脱・“孤独の王様”」と題して王様の衣装を脱ぎ捨てる様が描かれている。
このようにして「王様」の地位を返上した影山であったが、「支配者っぽくて1番かっこいいだろうが!!」と自ら言っていたようにその本質はあくまで「王様」であった。
「自分が一番上手いから全て自分のいうことを聞け」と言っていたのが「孤独の王様」であった中学時代。烏野に入ってからは中学時代の反省・後悔からスパイカーの言葉にならない細かな要求すらも満たしたセットアップを行い、脱「王様」を果たした。しかしそのスパイカーの要求に応えることを重視したスタイルは宮侑から「おりこうさん」と揶揄された。
そしてそれを受けて。影山が理想と信じるトスを上手く決められない烏野のチームメイト。それに激高した影山は「俺は良いトス上げてます!もっと決めて下さい!」と思わず中学時代の王様のような言葉を言ってしまう。自分が言った言葉に激しい戸惑いと後悔を憶える影山…であったがそこに反ってきたのが「王様って何でダメなの?」という日向の暢気すぎる言葉であった。
結局のところ、「王様」がダメなわけではなく、チームメイトの意見を聞き入れない「独裁の王様」がダメだったのである。チームメイトの意見を全否定していたのが中学時代・逆にチームメイトの意見を聞き過ぎていたのが烏野入学以後、そこに日向他のチームメイトにより気づかされた末、影山は再びタオルの王冠を戴冠し、「コート上の王様」へと戻ったのである。
さらにその後も進歩した影山は、新たな境地に進む。それを最も象徴するのが「脅迫」と書いて「しんらい」と読むという表現である。稲荷崎高校戦で田中に対して挙げたトスが初出。
中学時代まではトスを上げた相手の力量もおかまいなしに自分が考える最高のトスを挙げていた結果、トスが無視される結果となっていた。これに対して脅迫(しんらい)のトスはスパイカーの力量を正確に見極め、その力量の最大限ギリギリを引き出すためのトスである。これは及川が得意としていたプレイである。
脅迫(しんらい)という言葉は「自分が上げたトスはスパイカーにとって最高のもの。これをきっちり打てるはず。打てなかったらそれはスパイカーの方が悪い」というもので、相手の力量を「信頼」しているからこそその力量を出し切ることを「脅迫」しているのである。
普通の選手にとっては重い脅迫(しんらい)であるが、日向は影山に対してもっとトスをくれと要求しており、脅迫(しんらい)を返されている。