概要
主人公のアーシュラに武芸のいろはを教えた師匠的な存在であるイスカル国の女将軍。第二話より登場。
名前のノチウサニはアイヌ語で「ノチウ」は「星」。「=サニ」は「=の子孫」という意。なので意味は「星の子」。
大きな黒い瞳に、アホ毛が一本のびたウェーブがかったロングの黒髪が特徴で、アイヌ風の民族衣装を着用している。大きく胸元が開いた、というより服に対して収まりきれないくらい大変立派なモノをお持ちである。服は上下一体のようだが、下半身は深いスリットが左右にあるので脚も脇から丸見えで、バンダナ、襟、腰布に国のシンボルと思われる渦潮のような模様がある。アーシュラとは師弟であると同時に姉妹のような関係性であり、強い信頼を置かれている。
南より蝗軍が攻め入ってきたということを伝えに「フラヌイの都」へやってきたアーシュラたちが到着すると同時ひと悶着おこしているアーラシュのところに現れる。敵国が攻めてきたという一大事のため「フラヌイ」では族長会議が開かれ、アーシュラは軍を動かし防衛戦をと進言する。しかし、連合はかねてより南からの蝗軍だけでなく北からもラスキア軍の脅威に迫られているため、南北に戦力を割くのに族長らは躊躇していた。もとより南側に位置するイスカル国が攻められるのは時間の問題であるため、その将軍であるノチウが軍を率いて防衛戦することを引き受けた後、「お前に武芸を仕込んだのは私だぞ」「蝗の千や二千蹴散らしてやる」「戦場で会おう」とアーシュラに言い残し別れた。
第三話より四話にかけて。蝗軍に攻め入られていた「シコツの砦」に向かったノチウ軍が戦闘を始める。ノチウは圧倒的な数の差があるので正面から戦わず、策を施すことにした。まず、砦の人間を避難させ蝗軍に逃げたと思わせ後を追わせる。その先は谷底の迷路となっており、待っていた雨と網で飛ぶ鎧をもつ蝗軍の機動力を奪う。続いて雨で緩んだ断崖にムックリ(アイヌの口琴楽器)を共鳴させ崩し、蝗軍を一網打尽にした。単純にして効果的な策略により、初戦は鮮やかな勝利を飾った。
第五話。アーラシュが天に召命され姿を消し、物語はその四百日後から続く。グレゴリオ暦でいうと一年一ヶ月。ノチウはそれまでの間、主人公の帰還を待って戦い続けていた。押し寄せる大軍相手に四百日、どうにか生存してはいるものの、戦況は良くない。圧倒的な戦力差に押されており、自国のイスカルまで落とされた。その後奇襲に後退を繰り返していたが、アーラシュが帰還したときには自軍が蝗軍に囲まれピンチになっていた。
ノチウの危機を知ったアーシュラは、仲間とともに救出作戦に来た。場所は火のはなたれた泥炭地。あちらこちらで黒い煙が上がっており、視界は最悪の状況でそこら中に蝗軍が潜んでいる。そんなところに救出に来たアーシュラたちはうかつに近づけば当然狙い撃ちにされてしまう。アーシュラを制止するその直後、敵からの矢が彼女の胸を貫いてしまう。
矢に撃ち抜かれた彼女は仲間に後退を命じ、自分はアーシュラの進むべき道を切り開くと覚悟を決め、集中砲火を受によって体中をズタズタにされ、上半身裸の状態になりながらも単身敵陣に特攻したが、敵の本営を前にして立ったまま絶命してしまう。
ノウチ絶命後、死体は蝗軍の指揮官により『八つ裂きにしてさらし者』にされそうになるが、それを制した同軍の剣士により「武士(もののふ)に対してふさわしい最後を」として『首を落とされさらし者』にされた。
ノチウの存在はアーシュラにとって大きなものであったため、この最期はアーシュラの戦意に火をつけた。指揮が上がった連合国は攻勢により蝗軍は撤退。戦いは一応の終結をした。戦い後、雪に埋もれていたノチウの首はアーシュラによって見つけられ抱きしめられた。