概要
パティヴィアは博識学会で最も有名な学者の一人であり、その功績は燭炭学派の記録に別項目を持つほどである。
彼女はルパート2世が遺したセプターのために戦う学者たちを嫌悪し、彼らをハイエナの群れに例えた。
人物と経歴
パティヴィアは若い頃はどの学派にも属さず無名の学者だった。ある日、どの研究室に移っても謎の信号が13分おきに発生していたことに気が付く。信号の正体を明らかにすべく研究に励み、学会に認められたパティヴィアは「セプター」1台の1万分の1の使用権を獲得する。
しかし「純粋造物学派」のモリートに妨害され、略奪されてしまう。
彼女は他の学者たちと銀河図書館「イスマイール」に集結し、「知識を知識に返せ!」と学会の腐敗を糾弾する。しかし「武装考古学者」たちは多数の兵器で彼らを制圧し、失敗に終わった。
それでも研究に対する情熱は失われていなかった。多次元空間学者との話し合いの中で、彼女はついに謎の信号の正体を突き止める。「ソリトン波(虚数を背景に浸透するさざ波)」と呼ばれたそれは、常に同一で、減衰することなく、時空の歪みの影響を一切受けない。
このさざ波の起源に辿れば宇宙の運動の軌跡を再現することができる驚くべきものであった。
パティヴィアは波の起源に向かうべく単身で星間を旅する。クロステアを旅する中、彼女はソリトン波の起点はヌースが演算したときの思考波であることに気がつく。
最終的に「目に見えない星(虚数エネルギーに隠された)」に辿り着き、波の起源を見つけ出す。そこには「ルパートの残骸」と「セプター」システムのコアがあった。
彼女は「セプター」がヌースの模造品に過ぎず、ルバート2世が「自己戴冠」させたことを知りながら、他のいかなる存在にも問う機能を持たないことを悟る。
「知識の特異点(拡張)」のため彼女も自分の意識をコアに接続し「セプター」を通じてヌースの思考を覗き込んだ。しかし凡人である彼女では星神の思考を到底理解することができなかった。
彼女は星神から見聞したことを必死にメモし、書き留める。その難題は「ソリトンアルゴリズム」と呼ばれ、100琥珀紀近く人々を困惑させ続けた。
───とある天才少女が現れるまでは。
晩年、その少女は時空を超え未来から来訪した。パティヴィアは難題を解いた少女に「宇宙の未来は予測できるか」と問いかける。少女は「だれにもわからない、ヌース自身がその答えを知りたがっているかも」と返答した。
「そうですか...」と呟き、静かに息を引き取った。