概要
ベントラーベントラー
地球外より侵入した生物及び漂着物に対する処遇を在地球外生物に仰げ
首都圏民営警察外生物警備課における隠語である--。
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近未来、外星人と言われる地球外生命体が頻繁にやってくるようになった地球。彼らが巻き起こす様々なトラブルを処理して廻る外星課の面々と、それにちょっかいを出す外星人・クタムの日常を描くSFコメディ。
作者の趣味が窺える実に硬派なSFである反面、事件を解決していく様子が『お役所仕事』的なノリなのが特徴の、のほほんとした雰囲気の作品。『アフタヌーン』という雑誌の色をよく表している漫画である。
登場人物
クタム
認識票コードAC-59に登録されている外星人。蟹や海老のような外骨格生物に近い姿をしており、この作品の主人公とも呼べる存在である。外星人の中でもかなり博識な人物で、地球言語をほぼ一通り習得しているほか、他外星人の生態にもかなり詳しい。第一話にて、すみちゃんから「ベントラーベントラー」されたことをきっかけに、外星課をたびたび訪れている。
性格はお調子者で世話好き。が、地球文明に直に干渉しようとする気はないらしく、人類全体に対しては道化師ぶった傍観者の立場を崩すことはない。地球人の中でも「興味も畏怖も沸かず、素で接してくる」人種に好感を持っているようで、そのタイプの筆頭であるすみちゃんに興味を抱き、何かにつけてはしつこくつきまとっている。
しっぽは送受器官になっており、直に触れれば脳内で直接会話することが可能。また、ある程度の変態も可能らしく、身体を折りたたんだり、別の姿の外星人に擬態することも出来る。
牧原澄子
外星課に勤める婦女子。通称すみちゃん。この作品のもう一人の主人公。
外星人と接する立場にありながら、専門的な知識は皆無に等しい一般人。彼らにたいして興味も恐怖も覚えず、仕事以上のことはする気もさらさらない、ある意味近年の若者の代表例のような人物。反面、危機感が足りないところもあり、脳内に小型外星人が入り込んでしまったり、気を許した人造人間に危うく殺されそうになったりと、割と大変な事態に巻き込まれがち。そのマイペース具合からクタムから異常に好かれているが、本人はとことん毛嫌いしている。
外星課の面々
※メイン画像
外星人関係の事件が散発的であることから民間に委託されている外星課だが、その規模は非常に小さい。課長は三田いう壮年の男性で、これまた典型的なお役所人。騒ぎが大きくなることを好まない性格で、『事なかれ主義万々歳』と堂々と言い放つノリの軽さを持つ。
すみちゃんの先輩として市河という男性も在籍しており、外星課の面々の中では恐らく一番常識人。外星人にも興味を持っており、教授と共にクタムをシンポジウムに招こうとしたこともある。
チーム『1938』
米国の対外星組織。名前は火星人の襲来のラジオ放送が行われた年にちなむ。主な構成員は、マネージャーのパトリシア・ポート、エージェントのアレン、エンジニアのワイアット。民間組織ではあるが、軽いノリの外星課とは異なり、軍部との関係も密接。外星文明に積極的な干渉を試みており、日本に出現した外星戦車を回収しようとしたり、上空に浮かぶ電波受信装置を故意に墜落させようとするなど、人知れずきな臭い行動を続けている。
ロシア外務省保安部
ロシアにおける対外星組織。オレーグ・ケマルジャンと外星人のウーリャ・ドラグノフの二人が主な構成員。ナイフや重火器などを携帯しており、手荒な行動も辞さない組織だと思われる。
セルマ
※イラスト左
謎の外星人によって製造された人造人間。人間社会に紛れ込んで現地通貨を回収する使命をおびていたが、作戦失敗により孤立。行方不明の製造者を捜し出すべく、一時外星課に留まることになる。
何故か関西弁を操り、性格は無邪気で人なつっこい。…ように見えるのは、自分の計算通りに進めるための打算的なものであり、感情その他も周りの人間のものを表層的にシミュレートしているに過ぎない。自身の真意を見抜き、作戦にちょっかいを出してくるクタムを敵視している。
なお、髪飾りは一種の制限回路になっており、人間社会に溶け込むための思考フィルターの役割を果たしている。