「承知いたしました...」
演:松嶋菜々子
概要
2011年に放送された水曜ドラマ家政婦のミタの主人公。
生年月日は昭和50年12月25日生まれで年齢は36歳。本名は三田灯であるが阿須田家や周りのみんなからはミタさんと呼ばれている。阿須田家に派遣されてきた謎の敏腕な家政婦で感情や表情を一切表さず、言われたことをただ淡々とこなすまさにロボットそのもの。その為、常に無表情で涙や怒り、ましてや笑いなどの喜怒哀楽は一作見せず当初は周りからは気味悪がられていた。
特徴・能力
家政婦として家事全般における洗練されたスキルはもちろんの事、1秒単位にも及ぶ正確な時間感覚、他人の発言を一字一句間違えず覚える記憶力、相手の本質を見抜く洞察力を備え、あらゆる仕事を完璧にこなす。家事以外にも勉学・情報収集・遺失物捜索、さらに遊びやスポーツまであらゆる技能を備えており、顧客の要望には「家政婦」の域に留まらずあらゆる面で対応できる。
だが、それをいい事に決して許されない犯罪行為まで命令されてもその内容に関係なく「承知しました」の一言で何でもやってしまう。ただし、破壊行為や放火や殺人などのあまりに過激な依頼や、偵察や劇の練習などの気乗りしない様子の依頼をされたときは「それは(これは)業務命令でしょうか?」と確認を取る。ただし、怪我の手当て、床に落ちたゴミの処理、転倒した家具の修正など、明らかに必要な作業については指示されなくても行う。
これらの状況においても彼女は決して表情を表に出さず、常に無表情でたとえ「笑え」と言われても決して遂行する事はせず、自身の経歴や個人情報は一切明かすことは無い。それを強制させようとすると「お暇をいただく(この家の家政婦としての職を辞する)」と宣言している。
その反面、極度の低体温症なのか、体温も希衣や翼が驚くほど低い。物をぶつけられたり殴られたりしても全く動じず、一瞬で違う場所に移動するなど人間離れした能力を持っている。
更に自らはあくまで家政婦というスタンスであり、雇用主の家族の一員になる事は決してないと常に宣言している。その為、意見を求められた際も「それはあなたが決める事です」と突き放し一切関わろうとしない。
おまけに背後に立たれる事を嫌い、背後から触れられると反射的に相手を投げ飛ばしてしまう。
私生活
住民票上は晴海家政婦紹介所に住んでいるという事になっているが、業務時間外にどこで寝泊まりしているのかは晴海も知らず、劇中でも最後まで描かれる事はなかった。一度自宅を突き止めようと子供たちが三田を尾行した事があるが、角を曲がった瞬間に姿を消してしまい見失ってしまった。
休日には決まって遊園地内の飲食コーナーでファミリーセットを買って特定の席に座り、そこから閉園まで全く動かず何かを見つめるように過ごしている。晴海によるとこの遊園地に家族三人でよく行っていたという。
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この先、物語終盤におけるネタバレ注意!!
第8話においてなぜ彼女がこの様な不可解な性格になってしまったのか明らかとなった。
かつての彼女は現在とは真逆で表情は明るく常に笑いを絶やさない優しい人だった。だが、彼女の過去とある出来事をきっかけに彼女の性格が豹変してしまう。
壮絶な過去と悲劇
現在の苗字は亡き夫・三田直也と結婚後のもので、旧姓「仁村」で、出生姓は「市川」。
彼女はごく普通の家庭で生まれ育ち、両親の愛情に恵まれながら育っていた。
だが、幼少期の頃に家族で川遊びをしていた際に誤って川で溺れてしまい、優しかった父親が助けようとして灯は助かるが父親は溺死してしまった。
それ以来母親から、夫が溺死したのは娘のせいだと的外れな恨みを買い冷遇される。母親を喜ばせるために勉学や稽古事に励み、優秀な頭脳と多彩な能力を得たものの、結局母親には見向きもされなかった。後に母親は仁村氏と再婚し異父弟・美彦が誕生すると彼との差別的扱いに苦しむ事になる。やがて継父から劣情を抱かれるようになると母親にはますます憎まれ「お前の笑顔は周りの者を不幸にする」と毎日のように非難される。しかし当時から家政婦として仁村家に出入りしていた晴海明美や義弟の美彦の優しさが精神面的な支えとなり自分の努力は報われるなどの励まされたのを受け、懸命に笑顔を作り、いつか自身を愛してくれる人に出会う事だけを望みに暮らしていく。
大学入学後、海外での長期ボランティア活動に従事。その派遣先で出会った医師の三田直也と結婚し、現在の三田灯となり、息子・純をもうける。特技である料理を夫と息子が喜んで食べる姿が何よりの幸せであり、毎日のように笑顔で暮らしていたという。
しかし、彼女の結婚を機に義弟の美彦は唯一の義姉でもある灯を奪われた事から夫の直也を恋敵とみなす様になり、灯に対しても歪んだ愛情から彼からストーカー行為を受けるようになる。更に、直也がその真意を知らず自宅へ歓迎したのをいい事にあろうことか不貞まで迫られる。しかし、それを知った直也は美彦に対し厳しく叱責し、事なきを得るがそれに逆上した美彦は、「俺を誘惑したお前が悪い」と言い放ちと三田家にガソリンを撒き放火する。助けを求める純のため火の中に飛び込もうとするも消防士の制止により叶わず、唯一にして最愛の夫と息子を喪い未亡人となる。そして、張本人の美彦も灯を嘲笑うような形でそのまま火の中に飛び込み焼身自殺する。
遺された両親と義両親は、最大の被害者であるはずの灯に事件の全責任を押し付けるというあまりにも理不尽な行為を見せ、葬儀の際に参列者の前で焼香炉を投げつけた挙句「もう謝らなくていい。何もしなくていい。ただもう死ぬまで二度と笑うな」と謂れのない罵倒を受ける。こうして心的外傷を負い、二度と笑わないと誓い現在に至る。
以上の経験から、自分の意志で行動すると周りの人が不幸になったり自分が愛した人は不幸になると思い込んでおり、「ロボットのように命令された業務を遂行するだけでいい」という理由で家政婦の仕事に就いた事を告白する。
また夫と息子を追うべく死を望んでおり、何度も自殺を図ったものの全て未遂に終わったため、雇用主から自殺を命じられれば確実に死ねると画策し、わざと雇用主の怒りを買うために上記の様な過激かつ不可解な行動を取っている事も明かした。
後にその真意を確かめようと阿須田家の兄弟が墓参りに訪れ際に両親が共に他界している中、唯一の生存者で焼香枦彼女に投げつけ罵倒した義母に一連の行為を問い詰めたところ「言った覚えがない」と忘れる身勝手かつ無責任極まりない発言をした。その言葉に憤慨した兄弟は三田に対し謝罪を要求するも「謝ったところで息子は蘇るのかい?」と最後まで悪びれない素振りを見せ、去っていった。
そして三田自身も謝られる理由は無いと既に彼らとは絶縁に至った事が判明した。