説明
平安時代中期に描かれた3巻から構成される絵巻物である。
信貴山朝護孫子寺で修行していた命蓮上人が、修行していた頃の物語を面白味をこめて描き綴ったとされる。
「飛蔵巻」、「延喜加持巻」、「尼公巻」から構成され、現在は国宝に指定されている。
内容
飛蔵巻
京都山崎の郷にいた1人の貧者が、命蓮の教えに従って慈悲の心で毘沙門天を信奉して努力すると、数年のうちに大金持ちとなった。しかし慢心して命蓮の教えも忘れるようになり、寄付する米も惜しがり、托鉢も米倉に投げ入れた。するといきなり蔵が動き出して、転がり出た鉢が倉を乗せて空高く舞い上がって信貴山へ向かうように空を飛んでいく。
延喜加持巻
延喜年間、醍醐天皇が重病にかかったが、あらゆる祈祷や薬も効果がなかった。命蓮の法力の噂を聞いた勅使の一行が信貴山を訪れる。すると命蓮は「信貴山で毘沙門天にお祈りいたします」と答える。数日後、天皇の夢の中に護法童子が現れると、天皇の病はたちまち快復していった。
尼公巻
命蓮には信濃国に、尼公という姉がいた。彼女は20年ほど前に奈良へ修業しに行くと言って、故郷を出たまま弟を探しに出かけた。春の大和路を尋ねあぐねる中、東大寺の大仏殿で一夜を明かしつつ、弟の居場所を教えるよう祈り続けた。すると夢の中に大仏のお告げがあり、その教えに従って行くと、信貴山の中に弟の住み家を発見し、無事再開がかなった。
関連タグ
東方星蓮船:この絵巻物の物語をモチーフにしている。