概要
ダイソンの掃除機のCMのナレーションで使われるフレーズの一つ。ダイソンといえば吸引力というブランドイメージを確立した。
pixivでもニコニコ動画でも共通して、「吸引力の変わらないただ一つの○○」というタグがしばしば使われる。
仕組み
産業用途で使われる粉体分離器を家庭用掃除機向けに改良した、サイクロン式集じん方式を採用するのが特徴。
円筒形・円錐形の部屋に旋回気流を発生させて、吸い込んだゴミの粒子を旋回させて遠心力を作用させる。気流は捻じ曲がってそのまま吸い込まれるが、粒子は遠心力で外側に吹き飛ばされ、外筒に衝突して浮上力を失い、重力に引っ張られて気流に巻き込まれない下のスペースへと落とされる。これによって、ホコリや粒子をフィルターに到達する前に分離してしまう事で、フィルター詰まりを防ぎ、変わらない吸引力を実現している。
ダイソンの場合、大きなゴミを分離する最外部のサイクロンの次に、強力な旋回気流を生み出す小さなサイクロンを多数並列に並べて、細かい粒子の分離を可能にし、この2段階構成(一部3段階)とする事で家庭で拾われる幅広いゴミの分離に対応している。
吸引力が落ちないのが大きな利点であるが、反面その吸引力がそもそも弱いという欠点がある。吸引力を売りにしているために『吸引力が強い』と誤解されがちだが、実は『吸引力が強い』とは一言も言っていない。
サイクロンユニットの内部構造のため、複雑な風路やサイクロン気筒内での気流の捻じ曲げや衝突が複数回発生し、これが吸引の際に大きな抵抗となるために、気流のエネルギーが失われて吸引力が落ちてしまう。紙パック式やフィルター式で例えればフィルターがある程度詰まった状態で常時運転するようなもので、モーターの発熱や消費電力、吸引力の実測値といった面で不利になってしまう。このため、粉体ゴミの少ない環境では実用上利点が少なく、相当量の細かい粒子が吸い込まれる環境でないと他方式に対する優位性が発揮されにくい。
また、遠心力の働きが弱い細かすぎる粒子は分離できずに通り抜けてしまうので、その除去とモーター保護の為にもフィルターが必要である。このため、全く吸引力が落ちないという訳にはいかない。
加えて、サイクロンユニットの複雑な内部構造のために粉体ゴミが残留しやすいため、手入れを怠ると臭いの原因となる上に、汚れが落ちにくく乾燥もしにくいという理由から下手に水洗いする事も不可能である。
※2005年にナショナル、サンヨー、日立、三菱、ダイソンのサイクロン掃除機、そして比較対象としてナショナルの紙パック掃除機をテストした結果なのだが・・・。
ダイソンの商品は、残念ながらこの利点を除けば日本製品の品質に到底及ぶものではなかった。既に日本の消費生活センターからは、「確かに嘘はついてないけど、それ以外の面で酷すぎるよね♪」と言われてしまっている。特にパワーブラシが床面から離れた際に自動停止しない欠点は深刻とされていた(日本はその登場時から、単純な接触式スイッチにより自動停止させていた。そして日本におけるパワーブラシ(松下電器産業→パナソニックの表現ではパワーノズル)の創始者こそ、誰あろう松下電器産業、現在のパナソニックなのである)。また吸引力も、そもそももともとの吸引力が小さい。日本では消費電力1000Wで吸引仕事率200W以上が最低水準とされるが、ダイソンは消費電力1200Wに対し170Wしかなかったのである。ダイソンの主張通りなら、日本の掃除機が一番弱った時期でこれと対等というのが現実だった。
パナソニックはさすが白物家電の帝王、サイクロン機構だけではなく、家庭用掃除機に求められるすべての面において、現在のところ高評価を得ている。しかも、値段は約半分なのである。ついでに重量も約半分だったり。
それでもダイソンは掃除機の世界シェアNo.1であり、ダイソンのマーケティングが如何に上手いかが諜える。
現在のところ、ダイソン、パナソニックの双方ともこの点について言及していない。だが、たとえ訴訟合戦に発展しなくとも、ダイソンのこのコピーは虚偽広告と言うことになり、消費者庁から排除勧告を受ける可能性が高い。(事実、本国イギリスでは排除命令を受けている。)
実際には...
実際は『吸引力が変わらない』は誇張された表現であり、吸引力は少しずつではあるものの落ち、イギリスでは『誤解を与える』として排除命令を受けているが、日本では今も使われ続けている。
関連動画
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