概要
2021年8月12日から2022年6月1日まで連載された。中国の架空都市を舞台とした長編現代BL小説。
全272章(本編254章+番外編18章)で構成されている。2023年10月28日より日本語版「病案本 Case File Compendium」の連載配信が決定している。また、本国ではラジオドラマの制作が発表されている。
タイトル
「病案」とは中国語の医学用語で「病歴」「カルテ」を意味している。
病案本の拼音:bìng àn běnの頭文字をとって「bab」という愛称で親しまれている。
あらすじ
特殊な精神病を患う賀予は、かつて自身の専属医だった謝清呈と4年ぶりに再会する。反発し合う二人は赤いスカートの女が起こした事件をきっかけに、再び患者と医者としての関係を意識し始める。だが新たな事件が二人を襲い、その真相はやがて19年前に起きた謝清呈の両親の死亡事故へと繋がっていく──
※性暴力を含む暴力、残虐なシーン、自殺、殺人の描写あり。
用語・設定
- 沪州大学(hù zhōu/ルージョウ)
賀予が通う学校であり、謝雪の就職先。長い歴史がある。
- 夢幻島
沪州大学の敷地内にある花園湖の中心に位置する島。島の中心にはアウトドア部のキャンプがあり船や吊り橋を使って行き来する。
島内の洞窟には監視カメラがなく生徒たちに「秘密のユートピア」と呼ばれキャンプ以外の用途でも利用されている。その壁面や伝言帳には落書きから下世話な話まで、この洞窟を訪れた人たちの様々な心情が長年に渡り書き連ねられている。
- 成康精神病院
町の外れにある私営の古い病院。現在の院長は梁季成。
- 精神的エボラ
類稀な病気であり、今まで症例として記録されているのはたったの4人。賀予がその4人目である。
臨床データが少なく、過去の3例と一連のシミュレーションデータから病態を推測し治療するしかない。
共通する症例としてはホルモン系と精神系に先天的な欠陥を持つ。それが乱れた時は性格が大きく変わり、通常時の痛覚が麻痺し、発作が起きれば、狂い、血を好むようになる。他人や自身に対して強い破壊性を持つようになり、サイコパス的な人格となる。
肉体面では高熱と錯乱などの症状が起き、発作のたびに病状は酷くなり徐々に精神をと肉体を崩壊させる。
行為能力者から徐々に制限行為能力者になり、やがて完全に行為能力を失い狂人となる。
- シミュレーションデータ
精神的エボラを治療する際にも用いられている特別なデータ。あくまで予測データであり、もとになった人物は存在しないと言われている。
主役カップリング
賀予×謝清呈(賀謝)
攻めが賀予、受けが謝清呈で、カップリング表記は「賀謝」。
作品序盤では賀予が好きな相手は謝雪として描かれているが、公式カップリングは晋江文学城の作品紹介文に書かれている通り賀予×謝清呈である。
登場人物
主役カップリング
- 賀予(贺予/hè yǔ/ハー・ユー)
本作の主人公の一人。沪州でも有名な賀製薬の御曹司。
本編開始当時は19歳、身長は189cm。黒髪黒瞳で杏眼。
賀継威・呂芝書の息子で賀鯉という弟がいる。容姿端麗、頭脳明晰で大抵のことはそつなくこなすが料理は苦手。沪州大学芸術学部演出科の1年生。
幼少期から世界に数件しか発症例のない「精神的エボラ」という精神病に罹患している。この病気のため精神的に不安定な幼少期を過ごし、成長した今も社会に溶け込むために精神病患者であることを隠し、優秀かつ無害な人間の演技をし続けている。
- 謝清呈(谢清呈/xiè qīng chéng/シェ・チンチョン)
本作の主人公の一人。沪州大学医学部教授。
本編開始当時は32歳、身長180cm。黒瞳の桃花眼で陶磁器のような肌を持つ。
謝平・周木英の息子で、謝雪は妹。容姿端麗ではあるが家父長的思考と言動のせいで冷徹な印象を持たれやすく、賀予からは良く思われていない。肉体的・精神的にも非常に頑強。
21歳の時に賀継威に招かれ、賀予の主治医となり賀家に出入りすることになる。
両親が事故で他界したときは未成年で、まだ幼児だった謝雪を近所に住む両親の知人女性の助けを借りながら育ててきた。
とある事情で賀予の主治医の職を辞した後、大学教授となる。
作中で唯一賀予のことを「小鬼(クソガキ)」と呼ぶ人物でもある。
その他
- 謝雪(谢雪/xiè xuě/シェ・シュエ)
謝清呈の妹で沪州大学芸術学部演出科の新米講師。年齢は本編開始当時24歳、身長160cm。
容姿は謝清呈と同様の桃花眼をもつ美しい女性で、友好関係も広く溌溂としているが、ずぼらな性格で部屋の中はいつも散らかっている。
兄である謝清呈のことを尊敬しており、彼の手料理が大好物である。謝清呈をどうにか説き伏せて購入した5,000元の高級ドライヤーを賀予にわざと水没させられたが、本人はその事実を知らないままである。
- 陳慢(陈慢/chén màn/チェン・マン)
現役の警察官で本名は「陳衍(chén yǎn/チェン・ヤン)」。
何をするにも速過ぎて落ち着きがないため、家族から「もう少し静かにして欲しい」という意味を込めて陳慢と呼ばれている。
謝清呈の両親の部下だった兄の陳黎生が行方不明になり、落ち込んでいたところを謝清呈に慰められ、それ以降慕うようになる。
- 賀継威(hè jì wēi/ハー・ジーウェイ)
賀予の父親で賀製薬の社長。
- 呂芝書(lǚ zhī shū/リュー・ジーシュー)
賀予の母親で賀製薬の共同経営者。賀予とは仲が悪く、自身に似ている弟の賀鯉ばかりを可愛がっている。
- 賀鯉(hè lǐ/ハー・リー)
賀予の弟。賀予ほど賢くはないものの健康的で、呂芝書に似ているため可愛がられている。
- 謝平(xiè píng/シェ・ピン)
謝清呈と謝雪の父親。警察官であり、出世もして高位だったがとある事件でのミスが原因で妻の周木英と共に降格・左遷される。
- 周木英(zhōu mù yīng/ジョウ・ムーイン)
謝清呈と謝雪の母親。謝平と同じ警察官であり、行動を共にしていたが担当した事件でのミスが原因で謝平と共に降格・左遷される。
- 李若秋(lǐ ruò qiū/リー・ルオチウ)
謝清呈の元妻。恋愛に対しとても情熱的で謝清呈に一目惚れし数年間追いかけ続け、結婚まで押し切った。
- 黎(lí/リー)
謝家の隣人で黎おばさんと呼ばれる。若い頃に謝平・周木英夫妻の世話になり、近所に住むようになった。謝清呈と謝雪を我が子のように思っており、夫妻が亡くなった際には謝清呈と謝雪の生活のサポートをした。
離婚した謝清呈を再婚させようと何度もお見合いをセッティングしている。
- 白晶(bái jīng/バイ・ジン)
黎おばさんが謝清呈にセッティングしたお見合い相手。
- 衛冬恒(wèi dōng héng/ウェイ・ドンヘン)
賀家と並ぶ有名な財閥、衛家の三男。
- 蔣麗萍(蒋丽萍/jiǎng lì píng/ジアン・リーピン)
謝雪が講師をしてる沪州大学の新入生を担当する指導員。
- 庄志強(zhuāng zhì jiàng/ジュアン・ジージアン)
精神疾患を患うホームレス。
- 江蘭佩(江兰佩/jiāng lán pèi/ジアン・ランペイ)
成康精神病院に入院している50代前後の身なりの美しい女性。
- 梁仲康(liáng zhòng kāng/リアン・ジョンカン)
梁季成の兄。成康精神病院の元院長で、すでに死亡している。
- 梁季成(liáng jì chéng/リアン・ジーチョン)
成康精神病院の現院長。兄の梁仲康が死んだあと、ビジネスパートナーとともに病院を引き継いだ。
原作小説、メディアミックス
※晋江文学城で閲覧が可能である(2023/10/16現在)
小説
タイトル | 掲載サイト、出版社 | 備考 |
---|---|---|
病案本(中国語オリジナル版) | 晋江文学城 | ブラウザやアプリから読むことができる。第20話まで無料、21話以降は有料。一部ロックされている章や削除された描写がある。 |
病案本 Case File Compendium(日本語版)** | プレアデスプレス | 2023年10月28日より連載形式での配信が決定している。 |
Case File Compendium: Bing an Ben(英語版)** | Seven Seas Entertainment | 2024年2月発売予定。 |
※簡体字版・繁体字版・韓国語版・泰語版の発売が決定している。
ラジオドラマ
晋江文学城において中国語ラジオドラマ配信契約完了済み。
同人活動について
二哈和他的白猫師尊同様である。
同人活動については作者が以下のように注意書きを投稿していたが、現在は閲覧が出来なくなっている。
・完全に非商用であること
・金銭を伴う取引は完全NGである
・キャラクターを過度に貶める行為・キャラ崩壊(黒化)の禁止
・主役カップリング(賀謝)を分解しない、など
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関連リンク
※ストーリーや人物に関する重要なネタバレが書かれている。