概要
前作「イズミ幻戦記」が刊行レーベルであるスーパーファンタジー文庫の廃止にともなうシリーズ休止の後、レーベルを徳間デュアル文庫に移して刊行された続編が本作である。
2003年から2007年にかけて三冊が刊行されるも、途中でデュアル文庫自体も廃止されてしまい、2013年にトクマノベルズレーベルに移籍したのち、1~3巻を合本した上巻と、その続きを書き下ろした下巻が刊行されるという少々複雑な出版形態になっている。
あらすじ
京都の死闘にて、最強の合成人間(アーマノイド)であるアスカに敗北してしまった天下無敵のスーパーヒーロー、イズミ。
イズミの片方である叶省吾はこの戦いにおいて深いダメージを負い、同じくもう一方である渡辺拓己は行方不明となってしまう。
それから一年半後、サイボーグの傭兵如月士郎は、情報屋来見川翠とともに、拓己の行方を追って各地を旅していた。
いまだにマザーコンピュター「ジュリア」の勢力が衰えないなか、九州に「イズミの再来」と言われる人物が存在するという情報が飛び込んでくる。
大崩壊以後、九州は戦闘武装集団や無法者同士が血で血を洗う抗争を繰り広げるまさに修羅の国と化していた。
今まさに、その九州にて新たなる「戦記」の幕が開く・・・。
登場人物
・イズミ
言わずと知れた本編の主人公の一人にして、天上天下唯我独尊のスーパーヒーロー。
片割れである拓己が消息不明なため、京都の戦い以後姿を現していない。
・叶省吾
主人公の一人でイズミの一方の少年。前作の戦いで深い傷を負い、元々片方だけ見えなかった視力が両方とも失明してしまう。そのため常に特注のヘッドセットを着用している。
京都陥落以後、新たに建設された<京都・改>(キョウト・レヴ)の防衛評議会・議長という役職に就いている。
・渡辺拓己
主人公の一人で同じくイズミの片方の少年。京都での戦い以後、消息不明となる。
九州にて生存の情報が流れているが・・・?
・如月士郎
イズミの仲間で一匹狼のサイボーグ傭兵。イズミ=拓己生存の情報を掴み九州へ向かう。
・来見川翠
如月とともに拓己捜索の旅を続ける女情報屋。
女の武器を使った情報収集能力は健在。
・師英介
ジュリア抵抗組織、師ファミリーの頭領。
京都の戦いで使用した対ジュリア兵器、拡張バイオウェーブ増幅砲のおかげで今や第十一区(日本)中にその名前が鳴り響いている。
・大和嵐
九州の新興にして最強の武装集団、大和組の若きリーダー。顔の半分に古傷がある。
その圧倒的な威圧感とカリスマ性で組織をまとめあげ、わずかの間に九州の大半を支配化に置いた。「金剛の三角」の一人。
・ヒカル
大和組の幹部で、「金剛の三角」のひとり。
まだ若い少女ではあるが、女呼ばわりされる事を何よりも嫌い、男顔負けの胆力と戦闘能力で嵐を補佐する。
・狼
金色の眼を持つ、大和組の懐刀的な少年。「金剛の三角」のひとり。
大和組きっての凄まじい戦闘能力の持ち主で、「零番部隊」(ゼロバン)と呼ばれる嵐直轄の精鋭部隊を率い、対立組織の人間を容赦なく抹殺していく。その悪名は九州中の武装集団に恐れられている。
・耶麻田仁太
大和組の副リーダー。
実直かつ一本気な性格の持ち主で、嵐に一途に付き従う。
・蛸
大和組のマスコット(?)的存在。
大和組結成以前の嵐とはちょっとした因縁がある。
・九珠壮平
大和組の参謀的存在の壮年の男。
弟子の蔵人とともに、山中で隠者のような生活を送っていたが、ある時まだ一介の浮浪児にすぎなかった嵐と出会い、彼に大和組結成の道を示す。
・伊納市松
佐賀に本拠を置く武装集団、伊納社中の頭領。
大和組が台頭してきた際も、いち早く同盟を結び組織の安泰を図った老獪な人物。
・伊納公一
伊納市松の長男。
狡猾な父親とは違い、正面から大和組を叩き潰そうと目論む武闘派。
・伊納城二
伊納市松の次男。
品性をある程度わきまえた他の兄弟達とは違い、品性下劣なチンピラ。
彼の死により、大和組と伊納社中の内戦が始まる。
・伊納蜜
伊納市松の三男。
気性の荒い兄達とはまったく正反対の性格で、地下に引きこもって怪しげな物の製作に耽っている。秘中の秘である対ジュリア兵器、拡張バイオウェーブ増幅砲を自作できるほどの頭脳と技術力の持ち主。
・伊納楓
伊納市松の末子で、十三歳の少女。
蜜と同じく外には滅多に姿を現す事が無く、風間と裏で手を結び、独自の野望を成し遂げようと企む。
・貂宮ジャンヌ
大和組をはじめとするどこの武装集団にも与しない不可侵地帯<島原>の党首。
・テツ
下関で如月と翠が出会った少年。元「反地上者(アンチグラウンダ)」と呼ばれるならず者の少年達の集団の一人。見かけは十歳ぐらいの子供だが、過酷な環境で生きてきたため殺人も辞さないほどの冷徹さを持つ。イズミの舎弟を自称する。
・安楽新壱
和歌山からキョウト・レヴに商談のためにやってきた25歳の青年。
ある事から省吾の九州行の旅に同行することとなる。
・風間祥
ジュリア配下のアーマノイド教育係の青年。
アスカの育成のために九州に姿を現すが・・・。
・アスカ
五人目の少年体のアーマノイド。
究極の生命体と言われるアーマノイドのさらに究極形といわれる存在で、先行機であるユキ、サクラ、アオイ、カスミさえも彼の叩き台に過ぎない。
自我はまだたどたどしさが残るものの、京都の戦いではイズミを一蹴するほどの強大な力を見せつけた。
黒い髪と青い目を持つ。