前作『聖戦記エルナサーガ』は中世風の世界を舞台にしたファンタジー漫画だったが、今作はその数百(数千)年後の、現代風の世界を舞台にしたファンタジー作品となっている。
設定や世界観は前作と共通しているものの、大幅に時代が変わっており、かつての勇者や前作の主人公達や聖剣や魔法などといったものは伝説上の御伽噺と人々に認識されている。
その為、前作が「魔法が当たり前に存在する世界」だったのに対し、今作では「人々が魔法を忘れてしまった世界」となっている。
主人公のエルナも、前作では「唯一、一切の魔法を帯びぬが故に聖剣を抜いて世界を滅ぼし得る存在」であったのに対し、近作のエルナは「唯一、最強の魔法を使えるが故に世界を滅ぼし得る存在」として、まったく正反対のアプローチで異質な存在として描かれている。
時代は変わっても、「魔法が存在する世界」をリアルに描くという作風は健在で、魔法が忘れ去られ、科学の時代になった今作でも、「魔法のもっとも有効な使い道」として「暗殺」(武器を必要とせず、証拠も残らず、どんなセキュリティチェックも素通りし、何行かの言葉だけで人を殺せる)で使われたり、魔精霊法が麻薬の一種として流通したり、治癒魔法を神の奇跡と思い込ませて新興宗教を立ち上げるなど、現代に即した魔法の在りようが描かれている。
登場人物
- エルナ…主人公。女子高生。前作のエルナとシャールヴィの子孫にして最後の王族の一人。シャールヴィの血が濃いのか、髪は黒く、魔力が強い。が、性格はエルナ似。聖修道会にその強力な魔力を狙われる。
- ヴァル…エルナの近所に住む大学生。エルナの家庭教師でもある。ギムレー(考古学)研に所属しており、「魔法は実在する」という信念の元、魔道書の解読に励む。
- リョート…幼い頃からエルナを守る騎士として育てられた青年。
- ソーロッド…ヴァルに魔道書を横流ししたネット上の謎の人物。正体は前作の主人公達とともに戦った雷精ソーロッド。普段はウサギのような姿で現界する。
- バルドゥル…神の再臨を企む聖修道会の長。
- ベリエル…聖修道会に敵対する正統修道会の修道士。
- ニルソン…グードランド軍中佐。