概要
斎藤隆介・作、滝平二郎・絵。
1982年に初版が発行され、現在に至るまで児童書のロングセラーとなっている本。もともとは1967年出版の単行本「ベロ出しチョンマ」の冒頭に記載されたプロローグ的作品であった。
斎藤隆介の「創作民話」の一つ。
あらすじ
貧しい村の心優しい10歳の少女・あやは山菜取りの帰りに道に迷ってしまう。そこで、山姥と出会う。山姥の周りには様々な美しい花が咲き乱れていた。山姥は「誰かのために優しいことをすると、それが花となって咲くのだ」と説明する。
そうして、あやは自分の足元に赤い花が咲いているのを見つける。山姥はその花が「お前が母親や妹のことを思って、祭りのための着物を買ってもらうのを辛抱した時に咲いた花だ」と話した。また、今まさに咲こうとしている小さな青い花は、「双子の赤ん坊の上の子が、弟を思って腹が減るのを辛抱することで咲かせている花だ」とも話した。山姥は花だけではなく、自分の巨体を生かして命がけで高波を防ぎ、村を水害から守った「八郎」や、燃え盛る山にかぶさって焼け死に、山火事を鎮火させた「三コ」の話をして、あやに「優しさ」というものを教えた。
そうして、あやが我に返ると、そこはもと来た道であった。あやは不思議な体験をしたことを親たちに話すが、笑って信用してもらえない。そうして、もう一度花さき山を見に行ったが、花さき山も山姥もとうとう見つからなかった。しかし、妹の世話をする中で、あやは「またおらの花が花さき山で咲いてるな!」と確信し、自分を励ますのだった。