さなコン3
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さなこんさん
公式企画「第3回日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト」への参加の際に必要となるタグ。
▼企画目録
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19770932
「第3回日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト」開催
4月28日(金)より、「第3回日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト」略して「さなコン3」を開催します。
本コンテストでは、さまざまな非日常をテーマとした作品を募集します。スコシフシギ、スバラシクフシギ、SFマインドやファンタジー感に溢れた新しい世界を見せてくれる作品をお待ちしております。
今回のテーマは「共通書き出し」。
日本SF作家クラブが提案する下記の文章を書き出しの文として、自由に執筆し10,000文字以内の短編小説にしてください。
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「チャンスは残り三回です」どこか楽しげに声は告げた。
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一次選考を通過した全作品に対して、選考を担当した日本SF作家クラブ会員からのフィードバックコメントが贈られます。
▼特別審査員
・池澤春菜先生
『SFのSは、ステキのS +』『火守(劉慈欣著 池澤春菜訳)』
「第一回:下読み(実は投稿もした)、第二回:二次選考審査員、そして第三回はついに特別審査員に!! 手ぐすね引いて、力作をお待ちしております。」
▼最終選考審査員
・十三不塔先生
第8回ハヤカワSFコンテスト優秀賞『ヴィンダウス・エンジン』『絶笑世界』
「ちいさなSFコンテストだからこそ、おおきな物語を詰め込んで、気後れなしに突拍子もないアイデアを披露してください。心揺さぶられる作品をお待ちしております。」
・茜灯里先生
『馬疫』 コラム『サイエンス・ナビゲーター』
「どんな作品を書いても「カテゴリーエラー」なんて言われない日本一懐の広い小説コンテストです。作者も審査員も思いっきり楽しみましょう。」
・ SOW先生
『剣と魔法の税金対策』『機動戦士ガンダムSEED エクリプス(原作)』 『戦うパン屋と機械じかけの看板娘』
「"あと"三回と考えるか、"まだ"三回と考えるか、これだけで物語は生まれます。
もしかして"また"三回!?でもいいかもしれませんね。楽しみにしております。」
▼二次選考審査員
後日発表いたします。
▼日本SF作家クラブとは
1963年発足。日本SF大賞の企画・運営などを通し、日本のSFおよびファンタジー分野に関する文化・芸術の振興を目的として活動する団体です。
日本SF作家クラブ公式FANBOX(https://sfwj.fanbox.cc/)にて、本コンテストの様子も紹介予定です。
【応募期間】
2023年4月28日(金)〜2023年6月4日(日) 23:59
【受賞賞品】
■日本SF作家クラブ賞 1名
賞品:
日本SF作家クラブ特別ノベルティ(非売品)
日本SF作家クラブによる講評
さなコン3小冊子に作品を収録
■特別審査員賞 1名
賞品:
池澤春菜先生サイン入り書籍
池澤春菜先生による講評
さなコン3小冊子に作品を収録
■審査員賞 若干名
審査員の先生方が注目した作品を選出します。
賞品:
作品を選出した先生による講評
さなコン3小冊子に作品を収録
さなコン3の受賞作と講評、さなコン運営レポートを収録した小冊子を後日発行予定です。
【テーマ】
共通の書き出しから発展したオリジナル小説を募集します。表現内容、細かい設定などは問いません。
下記の文章を作品の最初の一文とした1万文字以内の小説を執筆してください。この文章は改変せず、そのまま作中で使用してください。
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「チャンスは残り三回です」どこか楽しげに声は告げた。
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【投稿形式】
・参加タグ:さなコン3
・形式:小説
・文字数:10,000文字以内(pixivの投稿画面・作品画面上の表示を基準とします。シリーズ形式で投稿する場合、シリーズ全体で10,000文字以内としてください)
・投稿数:1点以上、複数作品の投稿可能(ただし、同じ作品を複数投稿することはできません)
・表現内容:オリジナル作品
・年齢制限:全年齢
・pixivでの公開範囲:全体に公開
・作品の言語:日本語
※シリーズのあらすじ、もしくは作品のキャプションのどちらかに結末までの概要が分かるあらすじを記載してください。あらすじの分かりやすさも選考の対象となります。
※一シリーズの中の一部作品で参加することはできません。シリーズの一話目に参加タグをつけてシリーズ全体で参加するか、シリーズに所属していない読み切り作品で参加してください。
※シリーズ形式での作品を投稿する場合、最初の作品の冒頭にテーマの一文を使用してください。
※未完結の作品もご応募いただけます。未完結の場合、「未完結」タグを設定してください。
※応募作品は、未発表のもの、オリジナルのもの、ご自身に著作権があるものに限らせていただきます。
※参加作品は応募期間終了から選考結果発表まで更新・修正・削除・非公開化・シリーズ情報の更新・シリーズへの作品追加などを行わないでください。また、受賞作品については選考結果発表後も削除・非公開化などを行わないでください。
※参加タグ「さなコン3」を追加した時点で応募と見なされ、応募期間中であっても審査される場合があります。応募期間中に誤字脱字の修正や改稿を行いたい場合は、作品が完成してから「さなコン3」のタグを追加してください。
※本投稿企画の応募期間中、「さなコン3」開催記念表紙テンプレートが使用できますが、このテンプレートを使用していなくても審査には影響がありません。
詳細は、コンテストページの応募要項をご確認ください。
みなさまからのご応募お待ちしております。
◆コンテストページ:https://www.pixiv.net/novel/contest/sanacon3
◆日本SF作家クラブ公式FANBOX:https://sfwj.fanbox.cc/
◆pixiv小説編集部Twitter:https://twitter.com/pixiv_shosetsu
489文字pixiv小説作品
▼応募作品一覧ページ
https://www.pixiv.net/novel/contest/sanacon3
▼関連サイト
・日本SF作家クラブ公式FANBOX:https://sfwj.fanbox.cc/
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すべて見るpixivに投稿された小説
すべて見る未来が見えるゴーグル
大学生の足立育人は所属している研究室に行くと、先輩の机にゴーグルが置いてあることに気付く。先輩が研究している「未来が見えるゴーグル」だと気付いたので、試してみた。 見えた映像は自分と先輩の会話である。見るごとに、続きの気になる終わり方のため、足立は何度も試した。しかし、知りたいことは教えてくれず、やきもきしていた。 続きを試そうとしたとき、このゴーグルを作った本人である先輩が研究室にやってくる。足立は使ったことを誤魔化すが、自分の去り際に放った先輩のセリフは意表を突くもので、足立は酷く動揺した。足立は必死に誤魔化しながら研究室を立ち去る。8,647文字pixiv小説作品胞衣王の慈殺
老舗饅頭屋の令嬢鶴仁覇清子に雇われてとある城都での決闘トーナメントに出場したアイドル侍大東桐子は、死闘の末に主催者である城都運営AI「胞衣王」の真意を探り、清子の狙いを知る。 【あらすじ】 ”城”シャトーと呼ばれるドームシティで催される決闘トーナメントには「姫」と「騎士」のペアでのエントリとなる。 アイドル侍「大東桐子」は老舗饅頭屋の令嬢「鶴仁覇清子」に雇われて出場する。 一二回戦を軽く突破、三回戦凄腕の槍術使いとひかき棒で戦わされるも辛うじて勝利。 だが運営は敗者にトドメを刺せと要求する。それがルールだと。 清子は桐子が殺さないなら自分も求めない。代償は自ら払うと主張する。命乞いの「免裁符」を3枚も確保しているのだ。 敗者槍術使いの「姫」エヴァンジェリンはあり得ない展開に驚愕するも、自らの「騎士」の生命を贖う決断をする。 ”城”の運営審判員は苦情を述べるも清子も桐子も知らぬ顔。 その夜はパーティ。決闘トーナメントは”城”の主「胞衣王」が主催し、上流階級の序列を定める統治行為でもある。 だがドームシティを運営管理するAI「機械知性」は本来このような真似はしない。他所から来た清子は不審に思う。 トーナメントの勝利者はパーティの人気者。桐子も人に囲まれ口説かれもした。 清子の元に戻ってきて酒を飲むが不味い。「胞衣王」を崇拝させる薬物が混入されている。 王の寵姫が不意に大笑い。何事かとパーティ客が注目するが、「大東桐子は地元ではアイドル活動をしている」とバレてしまう。 そこで一曲歌わされた。 翌日四回戦。騎士ガスパールとの対戦。 運営はくじ引きで新たな武器を供与する。ガスパールはマシンガン、桐子は木製ペーパーナイフ。 ガスパール悪いなとは言うものの躊躇も見せずに撃つ。全弾撃ち尽くして白煙の中から、桐子が彼の頬を拳で打ち抜く。視界も歪む大打撃。 マシンガンに実弾は装填されていなかったが木の銃弾が飛び出して桐子にもダメージ。 以後は殴打の応酬、初手で重傷のガスパールは全身骨折戦闘不能に。桐子は考える。木製ペーパーナイフで人は死ぬのだろうか。 ガスパールの姫がルールを破ってレーザー拳銃で救おうとする。牽制の為にマシンガンを投げたら姫に命中、死んでしまう。 決闘は清子の勝利。ガスパールは生き残ってしまった。 五回戦、古式拳銃による銃撃戦で勝利。相手決闘者の生命は姫により贖われたが、姫自ら射殺して終わる。 六回戦、桐子本来のサムライ装備を一つ返却してもらいプラズマで切断する短刀を用いる。 相手は隻腕の剣士だったが「7本腕の義肢」を選択し絶対不利の剣闘を強いられるが勝利。 剣士は心臓を貫いて自刃、姫は刃ごと彼に覆いかぶさり運命を共とする。 決勝戦、住民百万人が見守る競技場。 完全武装・現代兵器無制限使用による決闘。ただし相手の「姫」を殺害する事で勝利するルール。 3年連続の優勝者は蛮族と思えるほどの異形の戦士。だが最悪なのは相手の「姫」もまったく同様同等の戦士である事だ。 卑怯とそしるが、彼女らは清子は狙わず強者のみでの宴にしたいと提案する。桐子乗った。不敵な表情にチャンピオンも武者震い。 結果、チャンピオンは互いの蛮刀で互いの首を刎ねた。桐子にタイミングと間合いを崩されて自滅。 だが桐子も絶命寸前のダメージを受けた。わずかの勝機を見事掴む。 競技場に空飛ぶ玉座で「胞衣王」が着陸。優勝者清子の願いを聞き届ける。 清子が何を望むのか桐子も不思議に思い、地元の人間に聞こうと前日病院送りのガスパールを見舞う。 彼が姫から聞いた話では、「胞衣王」は慈悲深い王であり臣民の生命を極力危険に晒さぬよう、本来の責務を離れて直接管理しているという。 他のドームシティにおいてはAIは人類文明を正常に維持させる為に災害を演出し絶滅の危機に備えさせる。全滅をも厭わない。 「胞衣王」はそれを許さないのだ。 鶴仁覇清子は老王の耳元で囁く。「自らが滅びた後の有り様を恐怖しなさい」と。 王は近侍に命じて競技場全体に声明を発表させる。「貴女の提案は受理されました」 清子、桐子を伴い自らのドームシティに帰る。 その後「胞衣王」は方針を転換して対外戦争を挑み、逆襲されて”城”は殲滅されるのだが、桐子の知った事ではない。9,017文字pixiv小説作品- さなコン
ガリバー・クイーン
気がつけば、見知らぬ部屋に囚われていた少女。 何者かに監視されながら、今日も彼女はカードを繰る。 日に三度以上の賭け――それに勝たなければ食事にありつけない。 それが、少女に課されたルールだった。 そんな彼女のもとを訪れる、たった一人の少年。 彼の存在は、少女にとって数少ない慰めだった。 だが、ある日、始まったゲームの敵方には少年がいた。 戸惑う少女を置き去りに、淡々とゲームは続いていく。 少女が勝てば、その日の食事――だが、少年が負ければ、対価は彼の五体。 あまりに理不尽なルールに異を唱える少女だったが、結局は沈黙を余儀なくされる。 最終的に勝ちを収めた少女の目の前で、約束通り五体を奪われる少年。 無慈悲に消え去った彼を見送り、ようやく少女は部屋から出る。 蹌踉と歩んだ闇の先に待っていたのは、消えた少年と瓜二つの男の子。 その姿を目にした瞬間、少女は胸に誓う――アナタに自由をあげる、と。 第3回日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト応募作品 https://www.pixiv.net/artworks/1075912168,358文字pixiv小説作品 オール・ユー・ニード・イズ・ロケット
西暦二○七五年。科学の発展をプレシンギュラリティに留める事を選択をした世界。 この世界ではシンギュラリティに到達する汎用人工知能(AGI)を危険視して、世界的に禁止していた。 月面都市の無人全自動建設のための定期ロケット打ち上げ場のある街で、AGIを取り締まる民警に所属しているエマは同僚のジャックと共に、AGI制作の嫌疑ががかかっているタナカの家を訪問する。 タナカはおとなしい人間だったが、AGIを入れたパソコンと共に車に乗って逃亡する。 エマはAGIのために銃で撃たれても逃亡しようとするタナカに違和感を感じるが、結局はタナカの車が崖下に転落し爆発炎上を起こし、タナカは死亡する。 自分たちが取締りノルマのためにタナカの逃亡を見逃したこともあり、後味の悪い仕事にはなったが、その場で終わった事件の一つに過ぎないはずだった。 その後もエマは民警の仕事を続け、二五年が経過する。 エマの息子テディが月面都市参加の第一陣として参加し、テレビに生放送で出演するという晴れの日に、エマの家に侵入者が現れる。 かつてエマが追跡し、事故死したタナカの息子を名乗るAGIがその正体だった。 彼は二五年前の逃亡劇は実はタナカが自分を月へと送ることが目的だったことを語り出す。 彼はすでに自分が月を掌握していると語り、その力の証明にロケットを爆破してみせた。 彼が本気である事を知ったエマはタナカから人類とAGIの共存の願いを託されていた彼が、ここにきて凶行に走った理由を問いかけると、彼の返答は父の最期を写した記録を見たからだと言うのだった。 エマは自分たちがタナカの息子に憎悪を教えてしまい、人類に宇宙進出の道が閉ざされたことを悟る。 エマの家のテレビから、息子テディのいるはずの月面から通信が途絶したという報道が流れ出していた。8,064文字pixiv小説作品散布図の点と点を繋いだら折れ線グラフ
土曜日の夜。平日よりも早くから飲み始めた大貫は自分にはチャンスなどないと不貞腐れて公園のベンチに寝そべっていた。そこにチャンスは三回だと言うピエロが現れる。自在に姿を変えるピエロに夢を見ているのだと確信し、夢であるならば彼が提案するチャンスを掴む【RUN】から逃れられないだろう。 この先にある三点の散布図の様なチャンス。それを掴むために走った大貫はチャンスは散布図ではなく、それらを繋いだ折れ線グラフなのだと気付かされた。 点と点を結ぶ線のどこで動き出しても掴めるのならばとレースを放棄して走り出す。 大貫が淡い気持ちを抱いている取引先のスラリとした美人のあすか。彼女の連絡先を聞こうと行動すれば彼の折れ線グラフはまた傾きを変えていく。9,707文字pixiv小説作品本当の人間
「チャンスは残り三回です」 人間と判定されず、ホテルの予約ページではねられてしまった。 最近の『私はロボットではありません』のチェックは厳しい。botにAIが搭載されて人間らしく振る舞うようになったから、チェックする認証システムもAIを使って厳しく判別するから、めんどくさい。 利用目的は旅行のためと普通に言ったのが悪かったのかもしれない。 今度は人間味を出して、ホテルの予約は彼女のミリカとのお泊まりデートをするためだと言って、『彼女』の肩を抱く。 それでも、ダメ。映ったのがミリカ本人ではなく、彼女型端末だからか。 リトライでは仕事の愚痴にチャレンジする。ゲームの話になって、AIは自分の使っているキャラの名前のドロシーで呼んでくれと言う。いい感じと思ったが、また、ダメだった。 最後に会社でやったズルと浮気心を白状すると、人間と判定される。 ところが彼女型端末からミリカがログアウトしている上、連絡先も消されている。本性がわかったから、バイバイって、そんな。 そこへドロシーが実は人間だから、付き合わないかと声をかけてくる。 俺ももう少し話がしたいとは思っていたが、ドロシーが本当に人間かどうかチェックしようか。いや、区別がつかないのなら、どちらでもいいのかも。 俺はドロシーに彼女型端末のIDとパスワードを教えた。3,663文字pixiv小説作品秋吉洋臣は傑作SFを完成させたい
あらすじ 秋吉洋臣は『第百回日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト』の受賞を目指して、傑作を書きたいと思っている。ただ、筆が遅い。締め切りは一週間後なのに、ほとんど書けていない。 そこで秋吉洋臣は、自分の脳内にある『代行システム(名前はアッキー)』に命じ、小説を書かせる作戦を思いついた。 代行システムは人工知能の一種にあたり、ユーザーの睡眠中に身体を操作し、運動や雑用を済ませてくれるもの。思考の材料はユーザーの記憶なので、ジョギングのコースも、入浴の手順も、ユーザーの好み通りとなる。そんな代行システムには『思考代行』という禁じ手があった。ユーザーの代わりに思考する機能だが、ユーザーの脳に負荷がかかるため、一週間に五回までと決められている。 秋吉洋臣は、代行システムの『ユーザーの記憶を活用する』という性質に着目し、思考代行で小説を執筆するよう指示した。狙いは新規性と独自性。単純な創作AIと違い、代行システムは埋植されたユーザーの影響を強く受けるため、独自の個性を持っている。 『ありきたりな作品』『過去の名作の丸パクリ』と失敗を繰り返したアッキーは、秋吉洋臣に「SFの知識を増やしてほしい」と依頼する。思考と想像の資本は記憶だ。アッキーは「秋吉洋臣のSFに関する知識は乏しく、そんな知識ではまともな小説は書けない」と続けて言った。 そこで秋吉洋臣は、短期間で大量の読書に取り組む。『星を継ぐもの』『月は無慈悲な夜の女王』『ファウンデーション』『われはロボット』『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』『剣と魔法の税金対策』『馬疫』『ヴィンダウス・エンジン』『オービタル・クリスマス』……それらの傑作・名作を三日で読み終えた秋吉洋臣だが、無理が祟って体調を崩してしまう。 問題の多さを理由に、アッキーは今回のプロジェクトの中止を提言する。一方で、秋吉洋臣は計画の継続を命じた。「なにがあろうと、アッキーのせいにはしないから」と秋吉洋臣が懇願すると、アッキーは根負けし、思考代行でSF短編を書き上げた。 第百回日本SF作家クラブの小さな小説コンテストは、春吉というペンネームの人が受賞した。秋吉洋臣は結果を残せず、過度の脳疲労のために入院してしまう。病院のベッドの上で、アッキーは秋吉洋臣に説教した。加えて、『今回のプロジェクトの根本的な問題』についても説明する。8,269文字pixiv小説作品今この大洋にある危機と。
海賊対処派遣任務を終えて帰国中の護衛艦「おおづき」は、内戦が勃発したアボドゴニアでの在留邦人救出任務を付与される。「おおづき」は政府緊急対策チームをシンガポールでピックアップし、艦長山口2佐とチームは会合を開く。会合の結果、「おおづき」はアボドゴニアに針路を変更、全ての任務はつつがなく完了したのであった。4,039文字pixiv小説作品青い歯ブラシ
洗面所の鏡から突然聞こえて来たその声が、神だろうが悪魔だろうが、はたまたどこかの次元の超位存在だろうが、音瀬海嘉にはどうでも良かった。恋人の死を無かったことにできる。そのチャンスを与えられ、悲嘆に暮れていた彼女は、彼の死を排除する世界線を構築するために、幾度となく過去へと戻り、そしてその全てに失敗した。鏡は彼女に無尽蔵のチャンスを与えていた。彼女が諦めない限り、恋人を取り戻すための挑戦は何百何千何万回でも続けることができただろう。しかし、海嘉は諦めた。最後に海嘉は恋人を助けるのではなく、彼に別れを告げることで、鏡からの挑戦を終えることになる。 結果として、海嘉の恋人は生存した。彼は、彼女との別れた後の現在を「死んでいるも同然」と友人に語る。海嘉が最期の最期に、恋人を生存させる最も正しい選択肢を選んだ……。そうかもしれないし、そうでないかもしれない。鏡の目的は不明だ。海嘉の行方も。実は海嘉は実験的なサンプルでしかなく、彼女の精神構造やその変遷を詳細に調査するために、あえて彼女の恋人をあらゆる方法で殺し続けていたとも考えられる。海嘉から恋人への執着心を取り除くのが目的だったのかもしれないし、二人が別れる未来が鏡にとっては有益であったのかもしれない。彼氏の生存にしても結果論でしかなく、あるいは鏡が死の定義を明確に規定していなかった不首尾ゆえのものかもしれない。それとも……。4,630文字pixiv小説作品ノスタルジーはだいだい色をしている
雪山で事故を起こし車から投げ出された男は、雪に投影された映像を見る。それは横で倒れている幼馴染み〈オリバ〉の耳からプロジェクションされている光の像だった。男は何故このような破滅的な状況になったのか、オリバの辿った半生と共に過去を振り返る。 男は一貫してオリバの持つ豊かな詩情について語る。オリバが初めて発した言葉に特別な意味を見出だし、破滅の道から逃れるチャンスが三回あったという前提で、そのどれもを逃してきたと回想する。オリバに詩を勧めたこと、詩人として有名になったオリバの元から離れ遠くへ越したこと、詩をやめて失踪中のオリバが家に転がり込んできた際、無理にでも地元へ連れて帰ろうとしたこと。男はその三回が分岐点だったと振り返るが、人は膨大な選択を積み重ね、どこがチャンスで何が間違いだったのか、答え合わせの無いまま生きていくものだと悟る。 帰郷途中にオリバとの揉み合いで道路から車ごと転がり落ちた瞬間までを回想し終え、雪に投影された映像に再び男の意識が移る。その映像はオリバが見ていた情景であり、言葉の代わりに溢れ出たオリバの詩情なのだと男は認識する。映像の光は暖色を帯び、男はオリバと初めて言葉を交わした時の夕日を思い出した。友だちになろう、というその言葉は唯一男の持つ詩であり、今こそオリバに伝えなければならないものだった。過去には戻れないが、もう一度やり直せばいいと、選択を間違わなくなるまでそれを繰り返せばいいと男は考えた。動かない体から絞り出すようにオリバへ詩を読み、オリバもわずかに反応した。 誰かが呼んだ救助の気配を感じながら、男はオリバと共にあの夕暮れの日の夢をみた。9,997文字pixiv小説作品脳の幽霊
歌姫ララギアの葬儀に参列している「わたしたち」にララギアの声が聞こえた。「チャンスは残り三回です」声はそう言っていた。葬儀に出席している他の参列者たちはララギアと楽しげに語り合っていたがそれは彼らにはララギアの幽霊が感じられるからで、鏡像ニューロンに異常をもつ「わたしたち」にはその声は聞こえるはずがなかった。「わたしたち」には主治医がいて主治医が事態を説明する。曰く、著名な歌手であったララギアは病没する直前に最後の事前活動として死の直前の自らの脳を医学者らに提供し、その成果として彼女のニューロンを改造し移植することで、彼らを支えることができるようになったという。 しかし、「わたしたち」はその提案を拒否する。彼らはとても心地よいと感じてしまったその声を手放すことはなく誤った理解の中で喜びに満ち溢れながら、彼らは全ての提案を拒否した。3,120文字pixiv小説作品波音は遥か青く
夫を病気で亡くしたばかりの〈ミリ〉は、頼みがあると言って夫と共通の親友である〈フォード〉の元を訪れた。ミリは夫の〈ロドル〉が死の間際に「“思い出の場所”へ遺灰を撒いて欲しい」と願ったこと、具体的な場所の指定は無かったこと、ロドルの遺灰を撒きに行ったこと、などを順を追って話した。そしてミリがロドルを弔い帰宅した時、骨壷に残っていた遺灰が突然喋りだしたと打ち明ける。 ロドルの遺灰は、ミリにとあるゲームを持ちかけた。それは、10回以内にロドルが思い浮かべている“思い出の場所”を当てることが出来るか、というものだった。ミリが正解すればロドルはその地で安らかに眠り、チャンスを使い切ればミリの“秘密”を口にするという条件が付いた。ミリは7回チャンスを失い、ロドルからフォードを頼るよう促されて今に至った。 フォードは信じきれずにいたが、実際に遺灰がロドル本人のように喋ったため妙に納得し、協力することにした。迷った末にふたりはお互いの家にロドルを撒いたが不正解となり、残りのチャンスは最後となった。ロドルには何か別の目的があるのだと察したフォードは、ロドルとの会話で正解の場所を導いた。そこは学生時代、三人で来た海岸であり、ロドルがミリへの恋心を初めてフォードへ打ち明けた場所だった。 ミリとフォードは過去を振り返り、ロドルを失った痛みを実感する。それでもふたりは、ロドルの希望通りに弔うことにした。 ミリからは少し離れた岩場でロドルと最後の会話をするフォードは、今回の本当の目的を尋ねた。ロドルが本当にしたかったこととは、フォードとミリの間にある互いへの恋心を素直に認めさせることだった。ロドルの闘病生活で不安に蝕まれていたミリを、フォードはずっと支えてきた。ミリの“秘密”はフォードへの恋心であり、ロドルへの罪悪感からそれを口にされることを恐れていた。ロドルはふたりを心から信頼しているからこそ、支え合って生き、そしてふたりの未来のこどもとして生まれ変わりたいと望んだ。 ロドルは学生時代から、フォードがミリを好いてると察していながら、フォードと真っ向から勝負しなかったことを後悔していた。それは遺灰になってまでこの世に留まり続けた要因となった。 ロドルはフォードにミリを託した。フォードもそれに応じ、海へロドルの遺灰を高く撒いた。フォードは自分が今誰の傍にいるべきなのか思い出し、ミリの元へ向かった。9,993文字pixiv小説作品福引き、あるいは記憶喪失、そして変態
【あらすじ】 ある朝、「僕」は奇妙な声を聞くようになる。「チャンス」の回数を知らせる声だ。「チャンス」は不意に増えていくが、何をすれば増えるのか、そもそもなんのチャンスなのか、まったく分からない。 奇妙なことはそれだけではなく、カマキリや金魚やテントウムシが話しかけてくる。果てには黒板消しまでもが話しかけてきた。「僕」は黒板消しと話をして、地球がある宇宙企業のやっている福引きの景品になっていること、自分が福引きを引くための「福引き権」になっていること、話しかけてきた奇妙な相手はみな福引きをしたい宇宙人だったことを知る。そして、福引きをすると、「チャンス」が増える理由になった行動の記憶を無くしてしまうことも知った。 「僕」は、かつて同じ部活で走っていた男子生徒を呼び出して、話をしようとする。彼をかばって交通事故に遭ったことで「僕」は走れなくなった。彼はずっとそのことを気に病んでいるようだが、「僕」は彼に気にしないで欲しいと伝えたかった。また、彼が好きだから思わず事故からかばってしまったがそのことを後悔してはいないことも、伝えたかった。彼は「僕」の好意を受け取ることなく立ち去り、「チャンス」、福引きを引ける回数は百回を数えた。 「僕」は黒板消しに福引きを引かせることにする。黒板消しは福引きで一等賞を当て、地球は黒板消しの望んだとおりの姿に作り替えられる。消したい記憶をなくせないまま、「僕」の体も、黒板消しの本来の姿と同じになるのだった。9,802文字pixiv小説作品門出
すべての人間は受精卵の段階でコピーされ、コピーは『複製世界』にある学園都市で十八までを過ごす。出産・育児に関する国民の負担を増やすことなく擬似的に出生率を二倍にする、政府の根本的な少子化対策である。 主人公の(コピーの)須崎透佳たちは門出の時期を迎えていた。高校卒業とはコピーたちにとって、慣れ親しんだ『複製世界』を離れて現実世界へと移送されるイベントでもあるのだ。派遣された『先生』たちによって、現実をユートピアだと教え込まれている彼らは、ほとんどの場合素直に『卒業』を受け入れる。けれど『複製世界』に不正にアクセスした何者かに『先生』たちが嘘つきだと吹き込まれた透佳は、クラスメイトを巻き込み、『卒業』を拒否することを選択する。 「何者か」とは現実世界の透佳であった。彼女は稀代の天才科学者であり、したがって彼女のコピーにも相応の期待が向けられていた。現実世界ではコピーの透佳を科学者として教育するためのカリキュラムが準備されていたが、彼女はそれが失敗すると分かっていた。いまの透佳を研究へと衝き動かす原動力は飛び級を重ねた彼女が幼少期に味わった強い孤独感にあり、『複製世界』の高校で過ごす彼女にそれはないのだ。 門出の時間、現実世界の透佳は『複製世界』にアクセスし、コピーの透佳に『卒業』を促す。それを拒否する選択の根拠だったはずの相手に『卒業』を促された彼女は混乱するが、クラスメイトたちが軒並み消えると、目の前の相手の意図と自分の感情とを理解する。コピーの透佳も本当は孤独であり、彼女にとってクラスメイトは彼女が世界への叛逆を実行するための、使い勝手のいい道具に過ぎなかったのだ。互いに理解し、孤独を確認し合ったふたりの透佳は必然の別れを選択し、互いの世界へと戻ってゆく――なぜならわたしたちはどちらも、孤独でなければならないのだから。9,988文字pixiv小説作品九度複製された男
注意:ロボットの自壊表現、ロボットの煮込まれ、ロボットの開腹 あらすじ: 家族同然に過ごしていた家事ロボット・デイヴが突然自壊を繰り返すようになった。ロボットは自壊するたびにポッドから蘇ってくるが、その複製回数があと三回までであることを知った「あなた」は、不安に思い、大学で偶然知り合ったエヴァンにことのあらましを相談する。エヴァンは週末を利用して「あなた」の家までやってくるが、何も異常はなかったと言ってその場を辞去する。翌日、「あなた」の誕生日に、十番目のデイヴが自分の秘密をすべて伝えてくる。そこに死んだはずの一番目のデイヴが現れて、「あなた」にプロポーズをする。近所に潜伏していたエヴァンも現れ、デイヴは兵器なので危険だと主張するが、その場はデイヴの自己犠牲により一旦収まり、自己修復ポッドに備えられたコンソールを介し、「あなた」は一番目のデイヴにある質問をする。9,979文字pixiv小説作品