ゼクス・マーキス
ぜくすまーきす
概要
地球圏統一国家連合軍特務機OZ(オズ)のスペシャルズに所属する、顔の上半分を覆う仮面を付けた男性。
本編開始時点で階級は上級特尉。後に二階級昇進で二級特佐となる。
(ちなみに上級特尉は少佐、二級特佐は大佐に相当する)
本名はミリアルド・ピースクラフト。
かつて地球に存在したサンクキングダムの王子であり、王国を滅ぼした地球圏統一連合にはその復讐のために顔と名前を隠して所属していた。
ちなみにリリーナ・ドーリアンは実の妹であり、彼女の本名はリリーナ・ピースクラフトである。
この事実はゼクスの方だけ知っていた。
ピースクラフト王家の血筋らしい美貌を持つが、闘争心の強い性格でもあり、相手にハンデをもたれることを嫌う。
またトレーズ・クシュリナーダは早くから彼の正体を見抜いており、彼を有能な部下として評価しつつ動向に関心を寄せていた。
シリーズ前半では、騎士道と、合理的・能率的に破壊と殺戮を実行する近代的兵士のプロフェッショナリティの狭間で葛藤する姿が多くみられた。
二つ名は上級特尉の時に「ライトニング・バロン」。
二級特佐になった時にはトレーズから「ライトニング・カウント」と言われている。
これはOZ内では階級に応じて爵位が与えられている事が理由で、上級特尉は「男爵(バロン)」、二級特佐は「伯爵(カウント)」となるからである。
ちなみにOZの階級は特士から上級特佐官までの八段階だが、連合軍階級に換算すると中尉から少将という、一番下の階級でも軍では十分な階級を受ける事になる。
士官学校の同期であったルクレツィア・ノインとは、恋人同士ともいえない微妙な友情を抱き合う関係だったが、強い信頼感を互いに対して内に秘めていた。
作中では次第に立場を違えて敵同士となり、ノインはゼクスの考えをすぐには理解できず悩む。
一方ゼクスは、立ち塞がるノインを倒せないことを、理想を貫ききれない弱さであると感じ、自分自身の甘さをなじる。
しかし最終的には和解し、せめて傍でその戦いを見届けたいと言うノインに、ゼクスは「好きにするがいい」とそれを許す。
その一年後のマリーメイア軍との戦いでも、数百機のサーペントにノインと共に挑み、窮地に陥るが、互いの背中を守り合った。
その乱が終結した後、火星へのテラフォーミング事業にノインと共に向かっており、その絆の強さが窺える。
名前の由来はドイツ語の6 (sechs ゼクス)、および英語の侯爵 (Merquise マーキス)であるが、TVシリーズ本編開始時点での彼の爵位は上記の通り男爵 (Baron バロン)である。
ヒイロ達、5人のガンダムパイロットが1~5の数字に由来する名前であるように、ゼクスが「6」の数字を名前に持つのは彼がもう一人のガンダムパイロット、ひいてはもう一人の主人公であるということを示している。
パイロットとしての能力は5人のガンダムパイロットと同等で、性能では劣るリーオーを巧みに操作し、機体をウイングガンダムにしがみ付かせてを行動不能にし、海面に叩き付けた。
他にも、最初はその性能に振り回されたトールギスが、最終的にはゼクスの反応速度に追いつけなくなってしまっているなど、肉体の強靭さや反射神経などパイロットに要求される能力については、ガンダムパイロットにも劣らず高度なものを持つ。
後にウイングガンダムゼロに乗り、紆余曲折の末、ヒイロ・ユイの搭乗していたガンダムエピオンと交換する事になり、以後はエピオンに乗り続ける。
また、単独での活動を前提とするゲリラ兵として教育されてきたガンダムパイロットの面々と異なり、正規の訓練を受けた軍人である為、戦略眼はガンダムパイロットより優秀であるとされる。
余談だが、ときた洸一の漫画版では、ハワードに「おまえさんはニュータイプじゃからな」と呼ばれ、宇宙世紀のニュータイプのパイロットによく見られる、額から走る光が描写されていた。
ガンダムパイロットの中でも、最初に出会ったウイングガンダムのパイロットであるヒイロとの関わりが多く、互いにライバルのような認識を持っている。
劇中での活躍
新機動戦記ガンダムW EPISODE ZERO
本編から4年前、テロリストの鎮圧に赴いた際に、テロリストに人質に取られたリリーナと再会、救出する。
しかし、この時は自らの素性を話す事無くその場から立ち去る。
新機動戦記ガンダムW
スペシャルズ(OZ)の部隊長で、地球に降下してきたウイングガンダムを迎撃するなどの功績を認められ、トレーズからは高い信頼を得ている。
アニメ前半は主にトールギスを駆り、ガンダムパイロットと幾度も戦う。
OZを脱退後はハワードの助力を得て、トールギスで宇宙に上がり、サンクキングダム親善大使ミリアルド・ピースクラフトと名乗り、コロニーに和平と非武装化を説き続ける。
しかし時代の流れを変えることが出来ず、また、戦場ではゼクス・マーキスとして仮面を被り2つの顔を使い分けることになる。
後に宇宙で放置されたウイングガンダムゼロを得、地球に降りてヒイロのガンダムエピオンと乗機を交換しエピオンを駆り、ミリアルド・ピースクラフトと名乗りホワイトファングの指導者となる。
人類に戦争の愚かさを見せ付けるため、戦争の根源である地球の存在を否定、地球にリーブラを落とし核の冬に陥れようとする。
最終的にはヒイロ・ユイの乗るウイングガンダムゼロと一騎打ちを繰り広げるも敗退、リーブラの動力部の爆発の中にガンダムエピオンと共に消えた。
新機動戦記ガンダムW ENDLESS WALTZ
本編で一年間行方不明になっていた(どのようにリーブラから脱出したのかは不明)が、マリーメイア軍の動きに焦るレディ・アンの元に現れ、「コードネーム・ウインド」と名乗って(劇中ずっとゼクスゼクスとばかり呼ばれ、一度もその名で呼んではもらえなかったが)、トレーズが残したトールギスⅢを受領、地球降下作戦を開始しようとしていたマリーメイア軍を強襲した。
しかし地球降下作戦を予見できはしたものの、真のオペレーションメテオは読めず、それを盾にされマリーメイア軍の地球降下を許してしまう。
その後、オペレーションメテオに使われるコロニー落下を阻止した報を聴くと同時にマリーメイア軍の使っていた衛星・MOⅢを破壊し、地球に降下したマリーメイア軍を追う。
その後地上にてノインの駆るトーラス、そしてガンダムパイロットと共に多数のサーペントを、パイロットを死傷せず行動不能にさせる。
反乱が終結した後は、ノインとともに火星のテラフォーミングに向かった。
シャアとの共通点
彼の劇中の行動は、機動戦士ガンダムから逆襲のシャアまでのシャア・アズナブルそのものと言えるほどであり、共通点も多い。
自分の親を亡き者にした国や軍に所属→地球の連邦・連合軍への反乱に所属→地球へ向けて質量兵器落としを慣行、など簡素に書けば完全に行動は一致している。
(生き別れた妹と敵味方になる、というのも一致している)
ただし、思想などは多少なりとも異なっている。
ちなみに彼らは軍の階級も同じである。
ガンダムVSガンダムNEXTでは逆シャア時のシャアと組むと特別な台詞が発生するが勝利時の台詞でシャアに本気で地球を潰そうとしていると言われている。(スーパーロボット大戦でゼクス(エンドレスワルツ設定)とシャア(逆シャア設定)の交戦台詞でかつての自分と同じ過ちをさせるわけにはいかないというのがある)
また、シャアは最後まで人類の可能性を否定したが、ゼクスはヒイロとの一騎討ちを経て再び可能性を信じ自ら後始末をつけようとした。