キング・ジョージ5世級とは、イギリス海軍の戦艦の艦級の一つ。イギリス国王ジョージ5世にちなんで名づけられた。2代が存在し、初代は第一次世界大戦の、二代は第二次世界大戦時のもの。ここでは、pixivでメインとなっている二代について説明する。
戦艦キング・ジョージ5世級(二代)
ワシントン海軍軍備制限条約に基づく、戦艦建造休止期間明けに建造された「新戦艦」の艦級の一つ。時代の流れに即した高速戦艦である。
しかし、イギリスは、ワシントン条約で確定した世界(同率)一位という立場を維持しようと、英米仏でワシントン・ロンドンに続く第三の海軍軍備制限条約である第二次ロンドン条約を締結し、そこで戦艦の性能を主砲口径14インチ(36センチ)・基準排水量35,000トンの枠で制限したため、いわば自縄自縛の形で、キング・ジョージ5世級の主砲は14インチとなってしまった(日本が新戦艦、つまり大和型戦艦の性能を公表しなかったため、この口径制限は16インチまで緩められ、米仏の新戦艦はノースカロライナ級16インチ、リシュリュー級15インチとなっている)。このため、敵国となったドイツ海軍のビスマルク級やイタリア海軍のリットリオ級の15インチ砲に見劣りすることとなった。
これを4連装3基積む予定であったが、重量オーバーのため、二番目の砲塔を連装としている。イギリスとしては初の4連装砲であるため、初期の稼働率は低かった。
攻撃力の不足を補うために防御力は充実させており、舷側装甲の厚さは世界でも大和型に次ぐ374mmに達している(ただし防御空間を広めるために傾斜装甲は採用されていない)。40cm砲を搭載しつつ装甲は対36cm砲防御であったノースカロライナ級とは対称的な攻防性能となっている。
副兵装としては13.3センチ砲両用砲を搭載し対空・対小型艦用の砲を一本化しているが、この砲は対艦攻撃を主眼とした副砲寄りの性能であり、発射速度や運動速度が劣り対空砲としては使いづらいものであった。それを補う機銃のポンポン砲や対空ロケット砲(ロケットで空中に機雷をばら撒くという珍兵器、いわゆる英国面)も信頼性が極めて低く、後にアメリカから供与されたボフォース及びエリコンの機関砲に装換されている。
速力は28ノットとこの時代として標準だが、航続力が計算違いに短く、世界を股にかけなくてはいけないイギリス海軍としては大きな欠点だった。
他国の新戦艦と違いドイツ、イタリアとの開戦を睨んだ建造スケジュールで建造されたため、上記のように戦艦としての性能はあまり煮詰める事が出来なかったが、その甲斐あって第二次大戦中に5隻の同型艦を就役させる事に成功している。
戦艦も空母もポコポコ造る某チート国家のせいで失念しがちであるが、新戦艦を一挙に5隻も建造するというのは一大国家事業であり、それらの戦力化に成功した事はイギリスの戦略上非常に有意義な事だったと言えよう。
実際大戦中はイギリス海軍の主力戦艦として働き続け、ビスマルク・シャルンホルスト撃沈や船団護衛、大戦末期の日本本土艦砲射撃など多方面で活躍しており、単純な性能比較では推し量る事の出来ない価値を持った戦艦でもあった。
ある意味日本の大和型とは対極的な存在であるのかもしれない。
同型艦は、キング・ジョージ5世、マレー沖海戦で沈められたプリンス・オブ・ウェールズ、デューク・オブ・ヨーク、アンソン、ハウの5隻である。
建造当時の国王はジョージ6世だったが、兄エドワード8世が既婚女性との恋愛の末に王位を投げ捨てたため即位せざるを得なかったという背景のためか、一番艦に父王の名、二番艦に兄エドワードの(第一王子の)称号、三番艦にやっと自分(第二王子の称号)という形になっている。なお、四、五番艦は著名な提督の名前である。