概要
1985年にレイレガリア・ヴァース・レイヴァース博士を「皇帝」として火星に建国された帝政国家。物語は2014年が舞台となっており、国家としての歴史は30年にも満たない。
1972年の月面探査の際に発見されたハイパーゲートによって火星に移民した開拓団が前身となった。資源に恵まれず、生存環境の厳しい火星に於いて過酷な開拓生活を余儀なくされていた上に、地球からの物資援助まで滞ったため、火星側の不満は次第に増大。
調査団の一員として真っ先に火星入りしていたレイレガリア博士も、地球に対して度重なる陳情を行っていたが受け入れられず、ついには火星先史文明の遺産たる「アルドノア」の力を以って、開拓民を扇動し武装蜂起に至った。
超テクノロジー・アルドノアとその起動因子を基にした封建社会を打ち立てており、その頂点にはアルドノアの起動因子を有するレイレガリアとその親族たる「皇族」が存在している。さらに貴族として起動因子を借り受けた「火星騎士」が名を連ねており、これによって文明的には民主主義・社会主義が誕生する以前の復古調かつ貴族主義的な趣を見せる。
アルドノアを用いて火星を開拓しており、特に二代目皇帝・ギルゼリアの政策に基づいて高度な工業社会を形成、その成果として航宙艦の開発や新機軸の機動兵器たるカタフラクトの実用化を成し遂げている。
しかし本来の目的であったはずのテラフォーミングにアルドノアの応用は適さず、工業発展への注力も相俟って資源開発の面では目立った改善は見られない。地磁気が弱く大気の薄い火星においては動植物の生育も難しく、保存に適した鶏の加工肉ですら貴重品であり、クロレラやオキアミなど繁殖力の強い水棲生物が彼らの台所事情を支えているのが現状。
豊かな資源、多様な生態系を有する地球に対する羨望は、時を置かずしてそこに住む人類を「下等人種」「旧人類」と見下し蔑む選民思想に変化し、それを掲げる事で国家の結束を保っている(一方で、それがヴァースの文化的な後進を加速させていると言える)。対する地球側もヴァースを「火星人」と揶揄し、長く緊張状態が続いている。
1999年にはギルゼリアの宣戦布告を伴い、圧倒的な軍事力で地球へ襲来するも、月面のハイパーゲートが暴走。後に「ヘブンズ・フォール」と呼ばれる惨事を引き起こし、ギルゼリアも戦死。共に大損害を被ったヴァース、地球間で翌年に休戦協定が結ばれた。
それから15年、和平交渉の中で成長した皇女・アセイラムが親善大使として地球へ来訪するが、「地球のテロリストによって姫が殺害された」ことからヴァースは協定を一方的に破棄。雌伏の時を過ごした軌道騎士たちの揚陸城降下によって再び戦端が開かれる。
火星騎士
ヴァース帝国には一元的な命令体系を持つ「軍隊」は存在せず、貴族たる火星騎士が軍の代わりを担う。
火星騎士の中で特に有力な「37家門」と呼ばれる貴族家を中心とした軍閥に近い組織体系を有しており、それぞれが独立した命令系統を有し配下となる部隊を指揮、これによって国家としての正式な宣戦布告を待たずしてそれぞれが独自に作戦行動を取る事が可能となっている。
騎士達はそれぞれ専用のカタフラクトとアルドノアの起動因子が与えられており、それだけでも地球の大部隊を相手取れるだけの戦闘能力を発揮する。
1999年のゲート暴走によって半壊した月の残骸と共に15年もの間、軌道上から地球を見下ろし続ける火星騎士たちは軌道騎士と呼ばれ、月にも月面騎士が駐留している。
「揚陸城」という名の巨大な航宙艦による地球への降下・制圧は彼らにとって文字通りの陣取り合戦であり、それぞれが武勲とより多くの領地を求めて動くため、家門同士の連携は見られず最高指揮官も存在しない。
主な構成人員
皇族
火星騎士