対戦車ミサイル
たいせんしゃみさいる
概要
歩兵が携行するほか、車両や航空機、ヘリコプターに搭載される。
主に戦車や装甲車両、陣地などの地表の硬目標の撃破に用いられる。
弾頭には成形炸薬(HEAT)が用いられ、戦車砲などに比べ低速であるが貫通力を持っている。
誘導方法としては操作用ワイヤーを曳きながら飛ぶ有線誘導型と目標にレーザーを照準して反射光を捕らえる事で誘導を行うレーザー誘導型、誘導弾自体が目標を捉える撃ちっぱなし型がある。
有線誘導型は妨害に強いが弾着まで操作する必要がある為、移動が出来ず反撃されるおそれがある。
また、飛翔途中にコントロールワイヤーが障害物等で切断されるとコントロール不能となる、残ったワイヤーがクローズラインというトラップのようになってしまうという問題もある。
レーザー誘導型も同様に着弾まで照射し続ける必要があるが、発射母機以外がレーザーを照準することにより撃ちっぱなしのように撃った後すぐに離脱する事も可能となっている。
レーザーをうまく反射しない目標や天候等により影響を受けて誘導が行えない事もある。
一方、撃ちっぱなし型は撃った後すぐに離脱できるが、シーカーに対するレーザー照射や電波妨害、欺瞞赤外線の放出などにより妨害されたり、誘導の問題で外れたり(条件次第では建築物といった固定目標であっても外れる事がある)、発射後に目標変更が行えない等がある。
対戦車誘導弾は自衛隊の呼称でありMATの略称を与えられている。
運用法
以下のように対戦車に限らず多くの目標に使用可能なことから多目的誘導弾とも呼ばれている。
我が国で運用されている主な対戦車誘導弾
AGM-114 ヘルファイア
撃ちっぱなし方式/レーザー誘導方式。射程約8km。
一部のモデルのみが撃ちっぱなし可能で、レーザー誘導型が主となっている。
AGM-65 マーベリック
撃ちっぱなし方式/レーザー誘導方式。射程約25km。
対戦車だけでなく対地、対艦など多目的に使用可能。
弾頭重量は57kg(125ポンド)と136kg(300ポンド)。
軽量型は成形炸薬弾頭、重量型は貫通後に内部爆発をする爆風破片効果弾頭となっている
87式対戦車誘導弾
レーザー誘導方式。
三脚発射、肩撃ち可能。
通称「中MAT」
中距離多目的誘導弾
赤外線画像およびレーザー誘導方式の複合。
撃ちっぱなし可能。
車両搭載だけでなく下ろしての運用も可能。
通称「中多」
96式多目的誘導弾システム
有線誘導型。
車両に搭載。
通称「96マルチ」