最後の物語は、はじめての愛。
概要
正式タイトルは『THE LAST -NARUTO THE MOVIE-』。2014年11月をもって、原作コミックが約15年の連載を終了した『NARUTO』の劇場版シリーズ第10弾にして、うずまきナルトが主人公である作品としては、最後の劇場用アニメ作品。製作発表時には、「劇場版NARUTO最終作」として全国に公表され、原作コミック終了決定というのも含めて日本全国もしくは全世界中で騒がれるほど大きなニュースとなった。
『NARUTO』の劇場版シリーズは通常、夏休みに公開されるのが恒例であるが、『NARUTO 新時代開幕プロジェクト』の一環として制作された事への関係で、11月の原作の連載完結に合わせて、12月上旬の公開となった。
前作『ROAD TO NINJA』と同じく、原作者である岸本斉史自らがストーリー総監修、キャラクターデザインを手がける。監督は、2012年からアニメ版の演出を須間雅人という名義で行っていた、小林常夫。
ストーリー
ナルトとサスケの因縁の戦いが決着した木ノ葉隠れの里。
それから2年後・・・冬の祭典が迫る木ノ葉隠れの里。ナルトはラーメン屋『一楽』で、共に成長した仲間たちと楽しい時を過ごしていた。そんな中、こっそり編んだマフラーに込めたヒナタの想いは、未だ届かずにいた。ずっと見守ることしか出来なかった自分を嫌うヒナタ。その時突如、謎の男が現れる。
間一髪でナルトが助けに入ったが「お前たちは滅亡する運命にある。その前にヒナタ、君を必ず迎えに来る」と奇妙な言葉を残して消えた。滅亡する運命とは?なぜヒナタが狙われるのか?
その時、強烈な光と共に隕石が夜空を貫いた!
緊急開催される五影会談。このままでは月が崩壊し、その残骸が地上に降り注いでしまうという。ナルトはサクラ、シカマル、サイ、そしてヒナタと共に調査に向かい、巨大な呪印が刻まれた地底空間へとたどり着く。
そこで彼らを待ち受けていたのは『ある計画』と信じられない名前だった。里に現れた謎の男の名は大筒木トネリ。かつてナルトとサスケが死闘を繰り広げた末に封印した、チャクラの祖・大筒木カグヤの子孫だった。
彼が成そうとしている計画とは?
それぞれの曲がらない想いが時を越えて激突する!
備考
原作者の岸本斉史曰く、今作はこれまでとは違い、原作にも繋がっている映画作品とのことで、最終話である700話が掲載したジャンプの裏表紙には本作が『699.5話』と銘打たれており、岸本自らがキャラクターデザインはもちろんストーリー監修も行っている。
さらに、公式サイトの作品紹介のページに「今回の映画はぶっちゃけ恋愛です!」とあるように本作はナルトの恋愛模様が中心になっており、ずっとサクラを好きだと公言していたはずのナルトがヒナタと結ばれる過程が原作では描かれなかったため、それを補完する形になっている。
公開されるやいなや、興行通信社の調べによる映画観客動員ランキングで初登場第1位を獲得、最終的には興行収入20億円を記録し、歴代劇場版シリーズで最高(当時)の大ヒットとなった。
そして、公開と同時に2015年8月にはナルトの息子が主役となる次回作が公開される事が正式に発表された事でも話題になった。
幼い頃から一途にナルトを想い続けてきたヒナタの恋が報われ、ずっと家族を欲しがっていたナルトにようやく家族が出来るというハッピーエンドで締めくくられた本作は多くのファンの感動を呼んだ。
ただ、本作を視聴したファンの中には、原作やそれまでの劇場版作品とは大きく異なる作風や本作における一部のキャラクターの扱い等に不満を覚えている者もおり、賛否が大きく分かれている。
真実
公開前にはサスケをメインの1人として宣伝をしておきながら、実際の出番はたったの数十秒。事実上のサスケ詐欺である。彼以外にも、テンテンやテマリなどの人気キャラも、本作のために新しくデザインされているにもかかわらず、出番も台詞もほとんどない事も不満の1つとなった。
NARUTO原作ファンは恋愛を求めていなかった(岸本先生曰く「ナルトとヒナタの恋愛には思入れがない」とのこと)ため、「NARUTOらしさが感じられない」と言われている。 そもそも「NARUTO史上最後の物語」としてさんざん宣伝されていたのに、1年も経たない内に「次回作の公開が決まった」と宣伝した事で、終わる終わる詐欺扱いされた。
しかもその次回作は、あまりにもシリーズとしての出来が良すぎた事から、初公開から1ヶ月もしない内に興行収入が20億円を上回ってしまった。 こうした問題から本作は、シリーズ史上最低酷評ともなってしまった。 それが原因かは不明だがBORUTOのインタビューで岸本先生は「映画に関わるのは『ROADTONINJA』以来です」と言っている。
その様にして不評の映画となっている本作だが、「これまでのNARUTOとは違うからいいんじゃないか」と、高く評価するNARUTOキャラファンも少なからずいる。
なお次回作は、そんなサスケのいままでの扱いを覆すかのようにサスケが大活躍する映画となるような形で製作された。
※本作の公開中に「幕張メッセ」で開催された『ジャンプフェスタ』にて『次はボルトとサスケがメインです。特にサスケが大活躍します。サスケの活躍をしっかり描きたいんです』と仰っていた。ある意味計算していたのではないだろうか...?
なお、今作で監督・ストーリーコンセプト・画コンテ・イメージボードを務めた小林常夫は、公開から約半年後の2015年5月に、享年約50歳(49歳?)で他界した(その原因や正確な享年については、まだほとんど公表されていない)ため、彼にとっては、1996年6月公開の『映画 忍たま乱太郎』以来2度目のアニメ映画監督作にして、事実上の遺作となった(なお、小林は次回作で絵コンテを担当しており、彼にとってそれが、事実上最後の参加作品となった)。
参考記事
『NARUTO』完結編はヒナタがヒロイン?主題歌ジャケットの意味深ビジュアルが公開
ありがとう、アニナルスタッフ様。
ありがとう、岸本先生。
そして15年間本当にお疲れ様でした…!