大筒木カグヤ
おおつつきかぐや
「チャクラとは…ワラワ唯一の物 もう一度チャクラを一つにする」
CV:小山茉美
※CVの初出はゲーム「ナルティメットストーム4」だが、アニメ版でもそのまま続投された。
忍宗の開祖・大筒木ハゴロモ(六道仙人)、と彼の弟である大筒木ハムラの母親。
かつて神樹に宿っていたチャクラの実を口にし、力を得て乱世を治めた。
人々からは「兎の女神」として信仰されていたのと同時に、「鬼」として恐れられてもいた。
地面にまで届くほどの長い白髪と、頭に2本の角を生やした神秘的な外見をしている。
三大瞳術を極めており、両目に白眼、額の第3の目は輪廻眼と写輪眼の力を合わせ持った「輪廻写輪眼」を有していた。
人々の信仰の対象とされていた神樹に成った『チャクラの実』をカグヤが奪ったことから、それを取り戻そうと神樹が化けた姿が十尾とされている。
※ネタバレ注意
事実は十尾の正体は神樹と同化した大筒木カグヤ本人であり、自分の息子たちに分けられたチャクラを取り返すために魔物となったという。
あまりにも絶大なる力を得た事で、次第にその力に溺れていったカグヤは、歪んだ支配欲と独占欲に取り付かれていく事になり、無限月読の力で人々を家畜同然に扱っていた事から、ハゴロモとハムラにも反抗されてしまう。
彼らとの死闘の末、六道・地爆天星によって封印され、その本体は月となった。
しかし、封印される前に自分の意思である黒ゼツを残し、復活への布石を打っていた。
カグヤ復活には封印された十尾の抜け殻の外道魔像を口寄せできる『輪廻眼』、そして十尾のチャクラの分散体である『尾獣』を集めて十尾を復活させ、更に無限月読により世界中の人々のチャクラを集める必要があった。
忍宗を開き世を平安に導いたハゴロモが、後に自身の後継者に2人の息子の内の弟アシュラを選んだのを見計らい、選ばれなかった兄インドラを唆かしてアシュラと対立させ、ハゴロモが兄弟2人が手を取り合っていけるようにと作った石碑に刻まれた言葉を、無限月読によって世に幸福が訪れるかのように書き換えた。
その結果、1000年に渡りインドラの子孫のうちは一族、アシュラの子孫の千手一族とのいざこざを起こした。
それ以降、黒ゼツは戦乱の時代の裏でインドラとアシュラの転生者に近づきながら、復活の機会を虎視眈々と狙い続け、そして遂に千手柱間とうちはマダラの代に、その好機が訪れる。
マダラは柱間に敗れた後に、うちは一族の力に関心の強かった千手扉間が自身の遺体を処分しないであろうことを読み、自身の左目の写輪眼にうちはの禁術の1つ「イザナギ」が時間差で発動するように転写封印を起動させて復活した後、戦いの中で食いちぎっていた柱間の体の肉片を自身の体に移植し、輪廻眼を開眼することに成功する。
その際、黒ゼツはイザナギで蘇生する前にマダラの中に入り込み、オビトが拾われるまで潜んでいた。
輪廻眼の開眼者が現れるのをずっと待っていた黒ゼツは、マダラにあたかも自分が彼の意思であるかのように思い込ませ、第四次忍界大戦でマダラの体を奪い、遂にカグヤを復活させた。
神秘的な容姿だが、内面は酷く歪んでおり、自らのチャクラを奪う形で生まれてきた息子のハゴロモとハムラの事は所有物同然にしか思っておらず、
ナルトとサスケに彼ら2人の面影を見出して涙する一方で、かつて息子に封印された憎悪と醜悪なまでの独占欲や支配欲を見せている。このためナルトからは「子離れの出来ない毒親」と見なされている。
実際に対峙したナルトは「心がないみたいだった」と述べており、ハゴロモも「チャクラの実を口にした時に何かが始まっていたのだろう」と推察している(疾風伝で描かれた過去を見る限り、それ以前は大筒木ゆえの傲りはあれど普通の人格だった模様)。
ボルトの世代で現れたモモシキ一派や暗躍していたイッシキ、同じ血を引くトネリらは人並み以上の情動を持っているのに対し、カグヤだけは奇妙なほどに無機質な振る舞いに終始している。
言動からわずかにうかがい知れる限り「全てのチャクラを独占する」という目的に取り付かれているようだが、他方では大筒木の中で唯一現地人との間に子を設けているなど、実質最初に登場した「宇宙人としての大筒木」でありながら、同族と比べてもその精神性には異質な部分が多くみられる。
『THE LAST -NARUTO THE MOVIE-』では、彼女の子孫である大筒木トネリが登場。
- 白眼
両目に開眼している。大筒木一族の大半はこの瞳術が使用可能。
- 輪廻写輪眼
チャクラの実を食したことで額に開眼。
- 天之御中
額の輪廻写輪眼に宿った固有の術。始球空間・溶岩の空間・氷の空間・酸の海の空間・砂漠の空間・高重力の空間を一瞬で行き来する。
これらの空間と空間はとんでもなく遠く離れており、最高峰の時空間忍術である神威を以てしても、サクラの百豪のチャクラを得た上で流血する負担をかけてやっと僅かな時間接続することができるほど。
- 黄泉平良坂
血継網羅の術の一つ。空間に穴を開けて自在に行き来する。カグヤであれば、天之御中による空間をこれで行き来することも可能。
ただし、カグヤが通れるほどに空間の穴を広げるには少し時間がかかる。
- 共殺の灰骨
メインの攻撃手段。全身から突き出す、あるいは掌から射出する骨を敵に突き刺す。
この骨は「灰骨」の名の通り非常に脆いが、突き刺した対象もろともボロボロに崩壊するという文字通り一撃必殺の技。
更に骨を媒介・変形させる事で攻撃に応用する屍骨脈の祖である術と推察され、君麻呂の出身である「かぐや一族」もまたカグヤの血統であったと推察される。
そして“共殺し”というネーミングから来たるべき同族を殺すための術だと思われる。
- 八十神空撃
柔拳のルーツに当たる体術。チャクラを溜めた掌で空気を弾き、立て続けの衝撃波を叩き込む。
完成体須佐能乎をあっさり破壊するほどの破壊力を持つ。
- 兎毛針
髪の毛を千本のように飛ばす。白眼で点穴を見切って打ち込めばチャクラの使用を妨害できる。ナルティメットストーム4では求道玉らしき黒いチャクラを棘状に形態変化させて伸ばす攻撃をイベントで見せている。
ちなみに自来也の毛針千本とそっくりである。
- 膨張求道玉
巨大な求道玉を生成・膨張させ、全てを烏有に帰して新たな空間を創り出す。
- 終焉求道玉
ナルティメットストームでの奥義。膨張求道玉を攻撃に使用した技で、始球空間に敵を引きずり込み、膨張求道玉を爆裂させて空間ごと吹き飛ばす。
過去
原作ではカグヤの過去は不明だったが、疾風伝でのオリジナルエピソードとして放送された。
神樹を追うように地球へと漂着し、当時の世界における祖の国の国主テンジに拾われて結ばれて2人の子を身ごもる。しかし、以前から祖の国と領土問題により敵対し、挑発を繰り返していた華の国が、和平交渉のために華の国に出向いていたテンジや重臣たちが留守の間に祖の国に侵攻、カグヤが匿われた屋敷も攻め込まれるが、彼女は瞳術で敵兵を殺戮した。
しかし華の国は、これを祖の国に攻め入る口実として利用し、和平交渉に出向いていたテンジに対しカグヤの首を差し出すよう命じ、彼女は祖の国の軍勢からも追われる身となる。付き人の犠牲を払いながらも神樹の元にたどり着き、神樹の実を口にして現在の姿へと変貌する。
黄泉比良坂で異空間を開いて月を召喚し、無限月読を発動させ、人々を神樹に縛り付けたが人間を絶やさないために記憶を改竄した上で一部の人々を解放した。
ちなみにこの件はアニメオリジナルエピソードであるが、制作にあたって岸本氏の監修を受けているため公式設定と考えて差し支えないだろう(設定に矛盾が生じるのは今に始まったことではないが……)。
本編
第四次忍界大戦の終盤、黒ゼツに唆されたマダラが進めていた「月の眼計画」の最終段階として、十尾の人柱力となって両目に輪廻眼を揃えたマダラを触媒にし、「無限月読」にかかった者達から大量のチャクラを吸収することで復活を遂げる。
最終決戦においては額の輪廻写輪眼による時空間移動や、一撃必殺の「共殺の灰骨」を駆使してナルト達を追い詰める。さらに封印を逃れるため、六道仙人から封印の鍵を授かった片方であるサスケを別空間に隔離。
しかし、六道仙術を開花させたナルトの多重影分身による物量攻撃で時間を稼がれ、その間にサクラの力を借りたオビトによりサスケを連れ戻され合流を許す。
高重力の空間に誘い込み二人を灰骨で抹殺せんとするが、飛び込んできたカカシとオビトが盾となり、さらにオビトが神威でカカシを守ったことで、どの道死ぬ運命だったオビトを葬るにとどまる。
しかもこれが仇となり、六道化したことで瞳力の増大していたオビトが魂となってカカシに憑依、万華鏡写輪眼の力を貸し与えたことで神威が再び使用可能になる。
その間にナルトの攻撃で黒ゼツの寄り添う左腕を失い、続く仙法・超尾獣螺旋手裏剣で暴走しかかるもどうにか尾獣を安定させ、膨張求道玉で空間もろとも抹殺にかかる。
真っ先にカカシを灰骨で葬らんとし、完成体須佐能乎は粉砕したものの肝心のカカシは右目の神威によるすり抜けで回避された事で、逆に彼の「神威雷切」で右腕を切断されてしまう。
その間にナルトとサスケが左右から迫って来るが、左手側のサスケは影分身の変化であったことを見抜いていたカグヤはそちらに灰骨を放ち、ついで右手側のナルト本体には地上に縫いとめられた黒ゼツが灰骨を放つが、落下するカカシが間髪入れず左目の神威を発動して妨害する。
さらに待機していたサスケが「天手力」で崩壊する分身ナルトと入れ替わり、左右から迫る2人から逃げようとする。一瞬「天ノ御中」で氷の世界に移動しようかとも考えたが、サスケが炎遁を使えることから断念。
直上へ飛行し回避を試みるも、まさにその瞬間、待ち構えていたサクラが渾身の鉄拳を叩き込んでその場に押しとどめ阻止。
「またしても……このチャクラの祖であるワラワが……このような分散したチャクラ共に敗れるとは……」
「何故だ……!!!?」
そのまま2人の持つ陰陽の印を打ち込まれ、「六道・地爆天星」により始球空間にて新たな月として封印される。
さらに黒ゼツもナルトによって共に封印され、次なる復活は絶望的となった。
BORUTO
『七代目火影と緋色の花つ月』において、サスケの行った調査によれば、彼女が白ゼツの兵団を作っていたのは自身の存在を脅かす者との戦いに備えてのことである可能性があると判明し、第四次忍界大戦後に十数年のあいだ平穏となった世に新たな争乱が起こることを予感させている。
そして『BORUTO』本編にてその脅威とされる存在、大筒木モモシキと大筒木キンシキが現れることとなる。
また、大筒木と関わりのある未知の敵が存在しており、そしてその脅威を打ち倒す鍵は、ナルトの息子・ボルトが握っているようである。
後に「殻」のリーダー・大筒木イッシキにより、カグヤは元々イッシキと共にチャクラの実を回収するため遣わされた工作員であったこと、本来はカグヤが「楔」を用いて復活の準備をした上で神樹の生け贄となるはずが、地球に到着するなりイッシキを撃破、本家との連絡も絶ち反逆に走ったことが語られた。
なお、イッシキを裏切り大筒木を離反した理由は未だに不明である。
「NARUTO」作中において、十尾とカグヤ、大筒木兄弟に纏わる情報はかなり錯綜している。外道魔像にはカグヤの意志が宿っており、それを尾獣ごと取り込んだマダラを乗っ取る形でカグヤが復活したため、少なくともナルト達と戦った時点では「十尾=カグヤ」という図式が成立する。
だが、当事者たちの証言からしてそもそも矛盾しており、
- ハゴロモ曰く:十尾を人柱力として己に封印し、インドラとアシュラが成長した後にチャクラを分けて尾獣を生み出した
- 黒ゼツ曰く:十尾となったカグヤは六道・地爆天星で封印され、その際に残されたのが黒ゼツ。忍宗の後継者になれなかったインドラを唆した
という有様。
よって、
- ハゴロモが正しい場合:外道魔像が抜ければ人柱力であるハゴロモは死んでしまう。ならばどうやって外道魔像を月に封じた?(マダラは月から外道魔像を口寄せしているため、月に封じられていたのは確か)
- 黒ゼツが正しい場合:十尾を月に封じたのならハゴロモが人柱力にはなっていない。ならば尾獣たちはどうやって生み出された?(ハゴロモが十尾のチャクラを分けて作り出した以上、絶対にそのタイミングが存在する)
という疑問がそれぞれ発生する。
ナルト達に封印される間際にカグヤが想起した「地爆天星を使おうとする大筒木兄弟」の姿を見るに、「カグヤと融合した十尾はハゴロモ・ハムラと戦い封印された」という点だけは明確な事実だと思われる。
問題になるのは、
- ハゴロモはどうやって十尾の人柱力になった?
- 尾獣たちはいつ生み出された?
- 外道魔像はいつ封印された?
という時系列の矛盾点であり、公式側もこれを説明するのに苦心したのか、各媒体で違う顛末が描かれているが、どれをとっても矛盾が解消できていない。
のだが、「BORUTO」において全人類の認識と記憶を改竄する「全能」が登場したことで、これらカグヤ封印の顛末に関わる矛盾点が「全能」による改竄の影響で生じた可能性が浮上している。(まあ十中八九作者のミスである)
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