概要
題材や種類は様々で、「浮世」とは「社会」や「現代風」という意味があり、風俗画が多い。
一般的に木版画とされているが、絵画や巻物の肉筆画も含まれる。後者の肉筆画は有名な絵師による高価な一点ものだった。前者の版画は大量に刷れるため、大衆が安価で手に取れるポピュラーなものだった。本や冊子、チラシの挿絵になったり、おもちゃになるものもあり、江戸の土産物になった。現代では貴重な芸術作品として見られている。
はっきりした図柄や大胆な構図、影の無い表現などが技法の特徴として多い。時代を経るごとに、西洋の遠近法や顔料など色々な技術が取り込まれた。
浮世絵の制作には絵師・彫師・摺師の大きく三つに分業された。
19世紀のヨーロッパに伝わり、当時の印象派をはじめとする画家に影響を及ぼし、フランスでは「ジャポニズム」を生み出した。
もっとも最初は、輸出品の緩衝材として浮世絵が使われており、それを画家達が発見したのが始まりである。その後あらためて浮世絵自体が輸出された。それほど当時の日本人にとっては当たり前な日用品の一つにすぎなかった。今も海外では依然高く評価されている。
また、制作当時の庶民の生活の様子が細かく描かれ、高品質の芸術作品が一般民衆に広く普及していた事も世界的に珍しい。現代の漫画の原点の一つと言える。