概要
具体的には映画として作られた映像作品のうち、実際にカメラを回して撮られた実写映像を使って作られる作品を指し、映画の表現方法としてはもっとも多い形式で、「映画化」という場合多くの人間はこちらを思い浮かべると思われる。
実写で撮られた映画ならばオリジナル映画から小説、漫画、アニメ、ゲーム、楽曲、舞台、ドラマ、童話、実話の映画化作品までも「実写映画」に当たる。
対義語はアニメ映画。ただし近年の映像技術の向上により、実写映画ながら画面上はほぼCGという作品も少なくない(特にハリウッドなどの海外で作られた映画が多い)。
映画の製作というのは基本的にだがTVドラマやアニメよりも予算を使い、製作期間もそれなりのものを要することから、ある作品の実写版映画の製作が決まるということはその作品がそれだけの価値と人気があることの証左であるとして大々的に宣伝発表されることも多く、現在では“実写映画化=そのシリーズにとって最大のステータス”という意味合いも強くなっている。
かつては大人向けの純文学小説かあるいはヒューマンドラマが主体の社会派系マンガ(ロマンス、サスペンス、ホラー、歴史、エロス含む)といった比較的現実に即した内容の作品を原作をしたものが主流だったが、最近はCGなどの特殊撮影技術の向上および映像産業の発展により少年漫画やライトノベルのような元より基礎設定が現実離れした作品のみならずゲームやアニメなど表現描写が極めて特殊な作品も続々と実写映画化されるようになっていき、同時に映画産業全体にとっても決して無視できないコンテンツであるとして積極的な人気のマンガ作品の実写映画化が試みられている。
しかし、実写化に伴う“登場キャラクターを実在の俳優が演じることのビジュアル的なギャップ”、“現実的な描写に基づく場面演出の陳腐化”、“尺の都合や商業的な理由から来る強引な設定とストーリーの改変”などの要因から良い意味でも悪い意味でも原作本来のイメージとは大きく乖離した作風になっているケースも少なくなく、その上でそれがその原作ファンにとって納得、許容できない内容と見なされた場合、純粋なオリジナルの映画作品よりもさらに厳しい評価に晒されやすいのも事実である。
取り分け世界観やキャラの設定が現実離れしたファンタジー系作品(SF含む)や非日常系作品の実写化の場合、その映像技術および実在の俳優を使った表現、演出が原作の持ち味を再現しきれずどこか中途半端なクオリティの作品になってしまうことも多く、完成した作品がそんな出来だったりすると原作ファンの間でそれは“そのシリーズの一部として認めたくない、認められない汚点的存在”のように扱われることとなり、近年ではそんな感じの実写映画化作品の乱造も目立ったことから「その原作への愛からではなくただネームバリューから来る集客力だけで実写映画化を決めている」とか「監督も脚本家もそして俳優もその原作に対してろくな知識も思い入れもなく適当かつ事務的に作品を作っている」とかといった映画業界全体に対する批判もにわかに噴出している。
他にもTVドラマなどと違い映画だと客の方から劇場や映画館に赴き、かつそれなりの代金を支払って鑑賞する分、なおさらその期待にそぐわないと判断された際の反発が激しいものになりやすいのもある。
pixivでは「アニメ・漫画・ゲームなどの二次元作品を原作に実在の役者をキャスティングして制作された映画作品」を指すタグとして機能している。オリジナルの実写映画の場合、わざわざ「実写」と付ける必要がないためである。