注意
アニメ映画『風立ちぬ』における登場人物としては、苗字のみの「本庄」が正式な役名である。このため、当該キャラクターのイラストを検索する場合は、「本庄」で完全一致検索を行うか、「本庄 風立ちぬ」で検索するのが望ましい。
実在の本庄季郎
東京府(現在の東京都)出身。東京帝国大学工学部航空工学科で航空技術を学んだ後、三菱内燃機製造(後の三菱重工業)へ入社。八試特偵、九六式陸上攻撃機、一式陸上攻撃機など、日本を代表する大型機を設計した他、零式艦上戦闘機の設計にも一部携わっている(三二型設計、主脚柱の強度不足改善のための設計)。
戦後はGHQによって航空機の開発や製造が禁じられていた時期に、日本初のアルミ合金(ジュラルミン)製自転車を設計している。晩年、色物番組の一企画でしかなかった鳥人間コンテストにうっかり本気で作った機体とプロの滑走者を持ち込んで、ギネス記録を叩き出したのはこの人である。
人物像
彼の息子によれば、「飛ぶものなら何でも手にする」人で、飛ぶこと以外に興味がなく、わがままだけれど面白い人であったという。また、近所の野原へ一応息子二人を連れて飛行機や凧(子供を引っ張る程度の能力を持つサイズ)を飛ばしに行くが、本人が一番楽しんでいたそうである。
零戦との関わり
三二型を設計したのは主設計者である堀越二郎が過労で倒れていたためだが、零戦を勝手に改設計したことで堀越との確執があった模様。本庄が主翼を三角形にちぎり取った三二型を、回復後に見た堀越は甚だ不機嫌だったそうである。ただ、これは海軍がやれといったためで、本庄はこの改編を「折角の凝った設計が台無しに成りはしないかと」改造をためらったが、やったと回想している。
尚、本庄は零戦脚柱の強度不足改善のための設計もやっている他、「操縦舵面の比率を五分の一とする」など、成功例の共有もしている。
『風立ちぬ』における「本庄」
アニメ映画版
CV:西島秀俊
堀越二郎の学生時代からの友人にして同僚の飛行機設計士。史実では二郎の一年先輩であったが、作中では同期として描かれている。
結構なヘビースモーカーで、「マンネリズム」「アバンギャルド」といった西洋の言葉を度々使用しており、当時の人間としては割と垢抜けた雰囲気の男性。
良くも悪くもマイペースな二郎と比べるとシビアかつ鼻っ柱の強いリアリストではあるが、飛行機にかける情熱は彼にも負けていない良きライバル。
ドイツのエンジニアであるユンカース博士ことフーゴー・ユンカースを尊敬しているが、彼の作ったユンカース社のことは「ケチ」と評している。
作中で本人は「本腰を据えるため」結婚すると話していたが、実はそれは彼なりの照れ隠しであり、実際は幼なじみで大好きな女性と結婚したとされている(ビジュアルブック参照)。尚、妻は全編にわたって全く登場していない。
原作漫画
漫画版での登場シーンは、七試艦戦の失敗でへこみ、会社と一緒に燃え尽きた堀越が軽井沢へ行く前に(帰ってからでなくて)八試特偵機を製作中の(アルミの押し出し材によるフランジを使っている)本庄と会うところだけで、アニメ版のように親密な関係は描かれない。